この記事の対象:特定技能外国人の在留申請書類を準備する受入れ企業の総務・経理担当者、書類の取りまとめを支える登録支援機関の担当者

特定技能の受入れ機関が守る社会保険・労働保険・税の義務を、基準省令と運用要領から整理。適用事業所かどうかで変わる提出書類、24か月分の領収証書、未納があるときの扱い、本人の国民健康保険・国民年金の確認までを確認できます。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。

基準省令が求めるもの:労働・社会保険・租税に関する法令の遵守

受入れ機関は、労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していることが基準の1つです。

特定技能基準省令の第2条第1項第1号は、特定技能雇用契約の相手方となる機関の基準として、「労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること」を挙げています。運用要領は、この基準を労働関係法令、社会保険関係法令、租税関係法令の3つに分けて確認内容を示しています。

確認の対象は受入れ機関自身です。外国人本人の納税や保険料納付は別の項目(本人の公的義務の履行)で見られますが、運用要領は、受入れ機関が特別徴収した個人住民税を納入していないために本人に未納が生じた場合は、受入れ機関が基準に適合しないものとして扱い、本人の未納とは評価しないとしています。

出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)

労働保険・社会保険・税で運用要領が確認する条件

適用事業所かどうか、法人か個人事業主かで、確認される内容が分かれます。

運用要領によると、雇用保険・労災保険の適用事業所であれば、適用手続と保険料の納付を適切に行っていることが条件です。健康保険・厚生年金保険の適用事業所であれば、加入手続と被保険者資格取得手続を行い、所定の保険料を適切に納付していること(猶予制度による分割納付の許可を得ている場合を含む)が条件です。

社会保険の適用事業所でない場合は、事業主本人が国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を納付していることが条件です。税は、法人であれば源泉所得税及び復興特別所得税・法人税・消費税及び地方消費税と、法人住民税を納付していることが対象です。個人事業主は、源泉所得税等・申告所得税等・消費税等・相続税・贈与税と、個人住民税が対象です。

納付できていない税目があっても、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づいて納付した場合や、換価の猶予・納税の猶予・納付受託といった納付緩和措置を受けている場合は、遵守していると評価されると運用要領は書いています。個別の事情が当たるかどうかは、管轄の出入国在留管理局へ確認してください。

受入れ機関の区分ごとの確認内容(運用要領)
区分条件の要点
労働保険(雇用保険・労災保険)の適用事業所適用手続と保険料の納付を適切に行っている
健康保険・厚生年金保険の適用事業所加入手続・被保険者資格取得手続を行い、保険料を納付している(猶予制度による分割納付の許可を含む)
社会保険の適用事業所でない事業主本人が国民健康保険・国民年金に加入し、納付している
法人の租税源泉所得税及び復興特別所得税・法人税・消費税及び地方消費税・法人住民税を納付している
個人事業主の租税源泉所得税等・申告所得税等・消費税等・相続税・贈与税・個人住民税を納付している

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)

在留申請で添える書類:24か月分の領収証書か納入状況照会回答票

社会保険の書類は、申請日の属する月の前々月までの24か月分を基本に、区分ごとに決まっています。

運用要領は、労働保険の適用事業所には労働保険料等納付証明書(未納なし証明)を挙げています。健康保険・厚生年金保険の適用事業所には、保険料領収証書の写し(申請日の属する月の前々月までの24か月分すべて)か、社会保険料納入状況照会回答票を挙げています。納付から回答票への反映前に出す場合は、回答票に加えて該当月の領収証書の写しも出します。

租税の書類として、法人は源泉所得税及び復興特別所得税・法人税・消費税及び地方消費税の納税証明書(その3)と、法人住民税の直近2年度分の納税証明書を挙げています。個人事業主も、対象の国税の納税証明書(その3)と、個人住民税の直近2年度分の納税証明書です。未納の税目があるときは、猶予中であることが備考欄に記載された納税証明書(その1)か、猶予の通知書の写しを出します。

運用要領は、これらの資料は、地方出入国在留管理局が実地調査などで領収書の写しや証明書を求めることがあるとも書いています。申請の種類(認定・変更・更新)ごとの提出書類の一覧は、出入国在留管理庁の申請のページで公開されているので、申請前にその時点の様式を確認してください。

社会保険・労働保険の提出書類(運用要領)
区分書類
労働保険の適用事業所労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
健康保険・厚生年金保険の適用事業所保険料領収証書の写し(前々月までの24か月分)、または社会保険料納入状況照会回答票
健康保険組合管掌で領収証書の写しが難しい回答票に加えて、健康保険組合が発行する納付状況証明書
社会保険の適用事業所でない事業主本人の医療保険の資格情報の写しまたは資格確認書の写し、直近2年度分の国民健康保険料(税)納付証明書、国民年金の被保険者記録照会回答票と領収証書の写し(24か月分)または被保険者記録照会(納付Ⅱ)

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」」(申請の提出書類一覧)(確認日:2026年10月6日)

書類の提出を省略できる場合:定期届出への添付に切り替える

一定の基準を満たす機関は、在留申請時の提出を省略し、年1回の定期届出に添付します。

運用要領は、受入れ機関の適格性を示す書類(労働保険料・社会保険料・国税・法人住民税または個人住民税の納付に係る資料を含む)は、基準を満たせば在留諸申請時の提出を省略できるとしています。その場合は、年1回の定期届出に添付します。

基準は、同一年度内に特定技能外国人を既に受け入れていること、または過去3年間に指導勧告書の交付や改善命令処分がなく、オンライン申請・電子届出を行い、かつ上場企業など6つの類型のいずれかに該当することです。6類型には、前年の源泉徴収税額が1,000万円以上の団体・個人も含まれます。省略できるかどうかは、申請の前に管轄の出入国在留管理局へ確認してください。

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)

外国人本人の確認と、罰金刑5年の欠格事由

本人の国民健康保険・国民年金・個人住民税の納付状況も確認され、受入れ機関には社会保険各法の罰金刑による欠格事由もあります。

運用要領によると、特定技能外国人本人が国民健康保険・国民年金に加入している、または加入していたときは、保険料の納付が求められます。一定程度の未納は消極的な要素として評価され、確認書類の例として、個人住民税の納税証明書、国民健康保険料(税)納付証明書、国民年金保険料領収証書の写し(24か月分)が挙げられています。滞納があるときは、公的義務履行に関する誓約書(参考様式第1-26号)を添えます。

運用要領は、留学生から特定技能へ変更する場合は、納税や保険料の未納があると審査に時間がかかり、許可されないとしています。受入れ機関は、納税義務と保険料納付義務を本人に十分に理解させることが求められます。

欠格事由として、基準省令第2条第1項第4号ニは、健康保険法・船員保険法・労働者災害補償保険法・厚生年金保険法・労働保険の保険料の徴収等に関する法律・雇用保険法の定める条文により罰金刑に処せられ、執行を終わってから5年を経過しない者を挙げています。刑罰の4区分の全体は、受入れ機関の要件のガイドで確認できます。

  • 雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険の適用状況と、直近24か月の納付記録をそろえる
  • 法人か個人事業主かで、納税証明書(その3)の税目と住民税の書類を分けて確認する
  • 納付できていない税目があるときは、猶予の通知書の写しなど、猶予中であることを示す書類を準備する
  • 特別徴収した個人住民税は、期限どおりに納入する
  • 外国人本人に、国民健康保険・国民年金・個人住民税の納付義務を説明し、記録を残す

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)

よくある質問

特定技能の在留申請で、社会保険料の書類は何か月分必要ですか?

運用要領は、健康保険・厚生年金保険の適用事業所について、保険料領収証書の写しを申請日の属する月の前々月までの24か月分すべて、または社会保険料納入状況照会回答票を挙げています。

社会保険の適用事業所でない場合は、どの書類を出しますか?

運用要領は、事業主本人が国民健康保険・国民年金に加入して納付していることを条件とし、医療保険の資格情報の写しまたは資格確認書の写し、国民健康保険料(税)納付証明書、国民年金の被保険者記録照会回答票と領収証書の写し(24か月分)などを挙げています。

税金の未納があると、特定技能の受入れはできませんか?

運用要領は、地方出入国在留管理局の助言・指導に基づいて納付した場合や、換価の猶予・納税の猶予・納付受託を受けている場合は、遵守していると評価されるとしています。個別の事情は管轄の出入国在留管理局へ確認してください。

書類の提出を省略できるのはどんなときですか?

運用要領は、同一年度内に特定技能外国人を既に受け入れている機関などが、基準を満たせば在留申請時の提出を省略し、年1回の定期届出に添付できるとしています。

外国人本人の国民年金や住民税の未納も審査で見られますか?

運用要領は、本人が国民健康保険・国民年金に加入している場合の保険料納付や個人住民税の納付を確認するとし、滞納があるときは公的義務履行に関する誓約書(参考様式第1-26号)を添えるとしています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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