この記事の対象:特定技能外国人の受入れ企業の人事・経理の担当者と、登録支援機関の担当者
定められた方針:入管庁が納付情報を直接取得
関係閣僚会議が令和8年1月23日に決定した総合的対応策は、在留審査で使う税・社会保険料の情報を、マイナンバーによる情報連携で出入国在留管理庁が直接取得する方針を示しています。
総合的対応策は、課題として次の点を挙げています。「特定技能」「永住者」「高度専門職2号」以外の在留資格では、税・社会保険料の納付状況等が未確認であること、また税・社会保険料の確認が電子化されておらず、申請人の負担になっていることです。
対応として、公共サービスメッシュ(行政機関どうしが情報をやり取りする仕組み)を使い、マイナンバーによる関係機関間の情報連携で、出入国在留管理庁が関係機関から情報を直接取得する仕組みの準備を進めるとしています。目的は、提出資料の省略による手続の利便性の向上と、正確な情報に基づく審査です。
あわせて、全ての在留資格の在留申請の提出資料に、社会保険に関する法令の規定を遵守していることを証する文書等の規定を、入管法施行規則に追加したと記載されています。ただし、この記載は総合的対応策によるもので、個別の申請でどの文書が必要かは、申請時点の出入国在留管理庁の案内で確認してください。
開始時期:令和9年3月以降は納付・課税・資格の情報、令和9年6月は国民健康保険料
時期が書かれているのは、令和9年3月以降の情報提供と、令和9年6月からの国民健康保険料(税)の電子確認です。後者は「仕組みを検討する」という書きぶりです。
令和9年3月以降は、出入国在留管理庁が関係機関から、国民健康保険料と国民年金保険料の納付情報、地方税の課税情報、医療保険被保険者等資格情報等の提供を受けると記載されています。逆に、出入国在留管理庁も関係機関へ、国籍、在留資格情報、出入国関連情報等を提供します。
令和9年6月からは、全ての在留資格について、国民健康保険料(税)の納付情報を電子的に確認できるようにするため、マイナンバーによる情報連携を行い、上陸審査(再入国許可を受けている人への上陸審査を除く)、在留審査、未納がある場合の納付勧奨に活用する仕組みを検討するとされています。あわせて、市町村が外国人の国民健康保険料(税)の収納状況を把握するシステム改修を、令和8年度中に行うとされています。
| 時期 | 内容 | 書きぶり |
|---|---|---|
| 令和8年度中 | 市町村が外国人の国民健康保険料(税)の収納状況を把握するためのシステム改修 | 速やかに実施する施策 |
| 令和9年3月以降 | 国民健康保険料・国民年金保険料の納付情報、地方税の課税情報、医療保険被保険者等資格情報等の提供を、出入国在留管理庁が受ける | 速やかに実施する施策(施策番号7) |
| 令和9年6月から | 全ての在留資格について、国民健康保険料(税)の納付情報を電子的に確認できるようにし、上陸審査・在留審査・未納の納付勧奨に活用する仕組み | 速やかに実施する施策の中で「検討する」(施策番号116) |
検討段階のもの:地方税の納税情報と国税の連携
「今後の課題」に置かれた項目は、実施が決まったものではなく、検討するとされたものです。
地方税の納税情報を関係機関から出入国在留管理庁へ提供することは「検討する」とされています。国税と地方税の納税情報の連携も検討項目です。
国税は納税情報等の連携、地方税は公共サービスメッシュを使ったマイナンバーによる連携を想定しています。活用先として検討されているのは、上陸審査(再入国許可を受けている人への上陸審査を除く)、在留審査、未納がある場合の納付勧奨です。
もう一つ、悉皆調査(全数調査)の結果を踏まえ、マイナンバーによる情報連携かそれ以外の方法による連携かを検証し、出入国在留管理庁と他機関の間の情報共有を検討する項目もあります。時期は書かれていません。
このため、検討段階の項目を「始まる」と読んで、社内の手順を先に変える必要はありません。実際に始まる時期と提出書類の変更は、出入国在留管理庁の案内を待って確認します。
特定技能の現行の確認:運用要領と定期届出で、すでに納付状況を見ている
特定技能は、総合的対応策が「未確認」とした資格に入っていません。現在も、運用要領と届出の仕組みで、法令の遵守や納付状況を見ています。
運用要領は、在留中の外国人が特定技能へ変更する場合などの審査で、国民健康保険や国民年金の保険料を一定程度滞納し、納付するよう助言・指導があったのに納付しない場合を、消極的な要素として評価するとしています(納付緩和措置や免除制度の適用中は除く)。
受入れ側では、特定技能所属機関が毎年5月31日までに行う定期届出に、労働、社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していることなどを判断するために必要な事項と、それを明らかにする資料を添えます。この届出の定めは、入管法第19条の18第2項と入管法施行規則第19条の18にあります。
国民健康保険・国民年金の保険料の滞納が審査で見られる点は、現行の運用要領のとおりです。令和9年以降の審査の運用は、出入国在留管理庁の案内を確認してください。
- 採用予定者の住民税・国民健康保険・国民年金の納付状況を、本人の証明書で確認している
- 自社の健康保険・厚生年金保険・労働保険の加入と納付を、届出の前に点検している
- 出入国在留管理庁の案内(提出書類の変更)を、更新・変更の申請前に確認する担当を決めている
よくある質問
令和9年3月から、在留申請で税や保険料の書類は不要になりますか?
総合的対応策には、令和9年3月以降に出入国在留管理庁が関係機関から納付情報等の提供を受けると書かれていますが、個別の申請で書類が不要になるとは書かれていません。提出書類は、申請時点の出入国在留管理庁の案内で確認してください。
令和9年6月から、全ての在留資格で国民健康保険料の納付が電子確認されますか?
総合的対応策は、全ての在留資格について、令和9年6月から国民健康保険料(税)の納付情報を電子的に確認できるよう、マイナンバーによる情報連携を行い、在留審査などに活用する仕組みを「検討する」としています。実施が決まったとは書かれていません。
特定技能は、すでに納付状況を確認されていますか?
運用要領と定期届出に、確認の仕組みがあります。総合的対応策も、「特定技能」「永住者」「高度専門職2号」以外の在留資格で、税・社会保険料の納付状況等が未確認としています。運用要領では、国民健康保険・国民年金の保険料の滞納が消極的な要素とされています。
企業は今、何を準備すればよいですか?
自社と外国人従業員の社会保険・税の納付状況を日ごろから点検し、出入国在留管理庁の案内を更新や変更の申請の前に確認する担当を決めておくことです。個別の審査結果はこのガイドでは断定できません。
参照した公的一次資料
- 外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(令和8年1月23日)本文(確認日:2026年10月25日、次回確認:2027年1月25日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則」(第19条の21 支援体制が整備されていない者)(確認日:2026年10月1日、次回確認:2026年12月1日)
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日、次回確認:2026年12月1日)