この記事の対象:初めて特定技能人材を受け入れる企業の人事・総務担当者
最初に確認する4つの領域
受入れ可否は、費用を払えるかだけでなく、雇用契約・企業の適格性・支援体制・分野固有要件を分けて確認します。
出入国在留管理庁は、受入れ機関について、外国人と結ぶ雇用契約が適切であること、機関自体が適切であること、外国人を支援する体制があること、支援計画が適切であることを主な基準として案内しています。
金額入力の前に、該当する証拠資料と社内担当を確定してください。
- 雇用契約の報酬・労働時間・業務内容
- 法令順守、欠格事由、保証金・違約金契約の有無
- 支援責任者・支援担当者と実施方法
- 対象分野の協議会・許認可・人数枠
在留カードの真正性と有効性を確認する
在留カードの確認は、読取アプリで偽変造の有無を、失効情報照会で有効性を確かめます。
出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーションは、在留カードのICチップ内に保存された身分事項や顔写真等を読み取り、券面の記載と見比べることで偽変造の有無を確認するものです。同庁は、アプリを使う場合は併せて失効情報照会を利用するよう案内しており、失効情報照会で在留カードの有効性を確認できるとしています。失効情報照会は令和7年(2025年)11月14日以降、アプリからも利用できます。
同庁のページによると、アプリの利用には本人の同意を得たうえで在留カードの提示を受ける必要があります。令和8年(2026年)6月14日から新様式の在留カードの交付が始まり、新様式では券面に「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」が記載されなくなったため、これらはアプリで確認します。アプリは古いバージョンだと正常に動作しないことがあるため、最新版への更新が必要です(本ページ確認日:2026年10月1日)。
カードの有効性の確認は、就労できる在留資格かどうかや資格外活動許可の有無の判断に代わるものではありません。在留資格と活動内容の確認は別に行ってください。
- 在留カードの提示を本人の同意を得て受けた
- 読取アプリでICチップの情報と券面を見比べた
- 失効情報照会で在留カードの有効性を確認した
- 読取アプリを最新版に更新してある
雇用契約と報酬を確認する
特定技能外国人の報酬は、同等の業務に従事する日本人と同等以上であることが前提です。
給与額だけを比較せず、所定労働時間、休日、業務内容、控除項目、昇給の取扱いまで雇用条件書で確認します。外国人であることを理由に低い条件を置く設計にはできません。
給与・社会保険は企業ごとの条件差が大きいため、現在の費用シミュレーターでは自動計算しません。社内の給与設計と公的手続を別に確認し、支援・準備費の小計と混同しないようにします。
企業の適格性と支援体制を確認する
支援を外部委託しても、受入れ機関としての責任や雇用主としての義務がなくなるわけではありません。
全部委託・一部委託・自社支援のどれを選ぶ場合も、誰が支援を実施し、誰が記録を残し、問題発生時に誰が対応するかを契約前に切り分けます。
登録支援機関へ全部委託すると支援体制に関する基準を満たすものと扱われる場合がありますが、委託範囲外の雇用管理や届出まで一括して移るとは限りません。
出入国在留管理庁の運用要領は、受入れ機関になれない欠格事由のうち刑罰に関するものを4区分に整理しています。区分ごとの該当条件は下の表のとおりで、いずれも5年を経過しない者が対象です。
これ以外にも、技能実習の実習認定取消しから5年を経過しない者、外国人への暴行・報酬不払い・私生活の自由の不当な制限等、出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者、暴力団員またはそれに準ずる者、精神の機能の障害により契約履行に必要な判断ができない者・破産手続開始決定を受けて復権を得ない者も欠格事由に該当します。法人の場合は役員が該当するかどうかも確認対象です。該当の可能性がある場合は、地方出入国在留管理局に確認してください。
2027年4月1日に施行される育成就労制度では、この体制要件に加えて、育成就労責任者・育成就労指導員・生活相談員という3つの役職を置く必要があります。
出入国在留管理庁・厚生労働省の資料によると、育成就労責任者は自己以外の育成就労指導員・生活相談員など育成就労に関与する職員を監督できる立場にあり過去3年以内に養成講習を修了した常勤の職員、育成就労指導員は従事させる業務に必要な技能について5年以上の経験と過去3年以内の養成講習修了が求められる常勤の職員、生活相談員は過去3年以内に養成講習を修了した常勤の職員とされています。
3役職とも、育成就労計画の認定の欠格事由に該当する場合や未成年者は選任できません。養成講習は、施行後当分の間、技能実習制度の養成講習で代替される予定です。
受入れ後は、出入国在留管理庁長官が受入れ機関に対し、報告や帳簿書類の提出・提示、出頭を求めたり、入国審査官等に関係人への質問や事業所への立入検査をさせたりできます。運用要領は、これを拒んだり虚偽の回答をしたりした場合は30万円以下の罰金の対象になり得ると案内しています。
地方出入国在留管理局が実地調査等を行うことがあるため、協力し受入れが適正に行われていることを明らかにすることが求められます。契約書、支援計画、実施記録の保管場所をあらかじめ統一し、提出できる担当者を決めておきます。
| 区分 | 該当する刑・違反の対象 | 期間 |
|---|---|---|
| ①禁錮以上の刑 | 禁錮以上の刑に処せられた者 | 5年を経過しない者 |
| ②出入国・労働関係法令 | 労働基準法・労働者派遣法・技能実習法等、出入国又は労働に関する法律に違反し罰金刑に処せられた者 | 5年を経過しない者 |
| ③暴力・脅迫関係 | 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律や刑法(暴行・傷害・脅迫等)に違反し罰金刑に処せられた者 | 5年を経過しない者 |
| ④社会保険・労働保険関係 | 健康保険法・厚生年金保険法・労働保険の保険料の徴収等に関する法律等、事業主としての義務に違反し罰金刑に処せられた者 | 5年を経過しない者 |
- 担当を決める
支援責任者、支援担当者、社内窓口を決めます。
- 委託範囲を決める
10項目ごとに自社・外部の担当を記録します。
- 証拠を残す
契約書、支援計画、実施記録の保管場所を統一します。
分野固有要件と人数枠を重ねて確認する
共通基準を満たしても、対象分野の許認可、協議会加入、人数枠等を満たさなければ受入れ準備は完了しません。
出入国在留管理庁は分野別ページで、受入れ機関に特に課す条件を案内しています。建設、介護、自動車運送業、リネンサプライ等では確認対象が異なります。
介護分野と建設分野には受入れ人数に関する枠があります。介護分野は事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数を、建設分野は特定技能所属機関の常勤の職員(技能実習生・特定技能1号外国人を除く)の総数を、それぞれ受入れ人数の上限とすると出入国在留管理庁が案内しています。
現行の分野別運用方針の説明資料は、漁業に特定技能、林業に育成就労の受入人数上限という上乗せ基準を示します。2号への適用範囲はこの表から判断せず、分野別資料を確認してください。フォーム上の人数上限は制度上限ではないため、自社の常勤職員数や事業所単位の条件と照合してください。
よくある質問
登録支援機関へ全部委託すれば、受入れ機関側の確認は不要ですか?
不要にはなりません。支援体制の一部は委託で満たせますが、雇用契約、企業の適格性、分野固有要件、届出等は受入れ機関側でも確認が必要です。
シミュレーターで受入れ可能人数を判定できますか?
判定できません。フォームの人数上限はUI設定です。人数枠がある分野では公式の分野別要件と自社の常勤職員数等を照合してください。
分野を選ぶと費用と要件が自動判定されますか?
費用は自動推定しません。分野固有の確認事項は結果に表示します。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」(確認日:2026年10月1日、次回確認:2026年11月1日)
- 出入国在留管理庁「受入れ機関の方」(確認日:2026年10月26日、次回確認:2027年1月26日)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年10月26日、次回確認:2027年1月26日)
- 出入国在留管理庁「分野別情報」(確認日:2026年10月29日、次回確認:2026年11月5日)
- 出入国在留管理庁「介護分野」(確認日:2026年8月3日、次回確認:2026年11月3日)
- 出入国在留管理庁「建設分野」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項②」(確認日:2026年8月22日、次回確認:2026年11月22日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(確認日:2026年10月26日、次回確認:2027年1月26日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の関係省令等について」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2027年1月3日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」(確認日:2026年10月22日、次回確認:2026年11月22日)