この記事の対象:食品工場・食料品スーパーマーケット等で特定技能人材の受入れを検討する企業

飲食料品製造業分野の特定技能・育成就労について、対象事業所を決める日本標準産業分類の9業種、製造・加工に当たらない作業、食品産業特定技能協議会・食品産業育成就労協議会の加入要件、2号の管理等実務経験を公的一次資料から整理します。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。

対象事業所は日本標準産業分類の9業種で決まる

食品を扱っているかどうかではなく、事業所が主として行う産業の分類で判定します。

分野別運用要領は、特定技能外国人が活動を行う事業所について「令和5年総務省告示第256号(統計法第28条の規定に基づき、統計基準として日本標準産業分類を定める件)に定める日本標準産業分類に掲げる産業のうち、主として次のいずれかに掲げるものを行っていること」と定め、9つの分類を挙げています。出入国在留管理庁・厚生労働省が公表する分野別協議会の資料も、食品産業特定技能協議会の加入要件として同じ9分類を掲げています。

小売の分類が5つ含まれている点が、他の製造系分野と違うところです。総合スーパーマーケットと食料品スーパーマーケットは「食料品製造を行うものに限る」という条件付きで、菓子小売業とパン小売業は製造小売、豆腐・かまぼこ等加工食品小売業は「豆腐・かまぼこ等加工食品の製造を行うものに限る」という条件が付きます。店舗のバックヤードで製造しているかどうかが分かれ目になります。

自社の事業所がどの分類に当たるか判断できない場合の問合せ先として、運用要領別冊は農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品製造課を案内しています。分類の判定は受入れの可否に直結するため、求人を出す前に確認してください。

対象となる日本標準産業分類(分野別運用要領・協議会加入要件)
分類番号産業条件
09食料品製造業条件なし
101清涼飲料製造業条件なし
103茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)条件なし
104製氷業条件なし
5621総合スーパーマーケット食料品製造を行うものに限る
5811食料品スーパーマーケット食料品製造を行うものに限る
5861菓子小売業製造小売
5863パン小売業製造小売
5896豆腐・かまぼこ等加工食品小売業豆腐・かまぼこ等加工食品の製造を行うものに限る

出典:法務省ほか「『飲食料品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針』に係る運用要領」(確認日:2026年8月21日出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について」(確認日:2026年8月10日法務省・農林水産省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-飲食料品製造業分野の基準について-」(確認日:2026年9月5日

「製造・加工」に当たる作業と、当たらない作業を分ける

食品工場の作業がすべて対象業務になるわけではありません。

運用要領別冊は「飲食料品(酒類を除く。)の製造・加工」を「原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥等の一連の生産行為等」と定義したうえで、「単なる選別、包装(梱包)のみの作業を行う行為は、製造・加工には当たりません」と明記しています。選別ラインや梱包工程の人手が足りないという理由だけで受入れを設計すると、対象業務から外れます。

もう一つの柱である「安全衛生の確保」は、「使用する機械に係る安全確認、作業者の衛生管理等、業務上の安全衛生及び食品衛生の確保に係る業務」と定義されています。製造・加工と安全衛生の確保の両方が業務区分に含まれる点が、この分野の特徴です。

日本人が通常あわせて行う関連業務、すなわち原料の調達・受入れ、製品の納品、清掃、事業所の管理の作業に付随的に従事することは差し支えないとされています。ただし運用要領別冊は「専ら関連業務に従事することは認められません」と注記しています。

販売業務の扱いは事業所の分類で逆になります。総合スーパーマーケット(食料品製造を行うものに限る)と食料品スーパーマーケット(同)に該当する事業所では、運用要領別冊が「関連業務としても販売業務に従事することはできません」としています。一方、それ以外の産業では、同一事業所内において製造・加工・販売が密接不可分の場合に、日本人が通常従事することとなる販売業務に付随的に従事することは差し支えないとされています。

販売業務に従事させられるかどうか
事業所の分類販売業務の扱い
総合スーパーマーケット(食料品製造を行うものに限る)関連業務としても従事できない
食料品スーパーマーケット(食料品製造を行うものに限る)関連業務としても従事できない
上記以外の対象産業製造・加工・販売が密接不可分の場合は付随的に従事できる

出典:法務省・農林水産省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-飲食料品製造業分野の基準について-」(確認日:2026年9月5日法務省ほか「『飲食料品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針』に係る運用要領」(確認日:2026年8月21日

技能要件はHACCPに対応できる水準に置かれている

試験の水準は、衛生管理の法改正を背景に設定されています。

分野別運用要領は、飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験について「食品等を衛生的に取り扱う基本的な知識を有しており、飲食料品の製造・加工作業について、特段の育成・訓練を受けることなく、直ちにHACCP(原材料の受入れから最終製品までの工程ごとに、微生物による汚染、金属の混入等の潜在的な危害要因を分析し、特に重要な工程を継続的に監視、記録する工程管理システム)に沿った衛生管理に対応できる程度の業務に従事できるレベルであることを認定するもの」と説明しています。

この水準が置かれた背景は運用方針に書かれています。運用方針は「平成30年の食品衛生法(昭和22年法律第233号)改正(令和3年6月施行)により、全ての飲食料品製造業者にHACCPに沿った衛生管理の実施が求められることとなり、HACCPを含む衛生管理の知識を有する人材の確保が急務となっている」としています。人手不足の指標としては、令和4年度の飲食料品製造分野の有効求人倍率が3.11倍で全産業の1.19倍より高いこと、厚生労働省「雇用動向調査」による令和5年6月末現在の欠員率が2.4%に達していることが挙げられています。

試験の実施主体は農林水産省が選定した民間事業者で、試験言語は日本語、実施方法はコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式又はペーパーテスト方式です。日本語能力は国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上)で判定します。国内で試験を実施する場合は、在留資格を有する者に限り受験資格が認められます。

技能実習2号を良好に修了した候補者の扱いは2通りに分かれます。当該職種に係る第2号技能実習を良好に修了した者は技能測定試験が免除されます。職種・作業の種類にかかわらず第2号技能実習を良好に修了した者は、日本語試験(国際交流基金日本語基礎テストと日本語能力試験N4以上)が免除されます。

出典:法務省ほか「『飲食料品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針』に係る運用要領」(確認日:2026年8月21日「飲食料品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(閣議決定、別紙15)(確認日:2026年9月5日

協議会への加入と、加入時に確認される書類

協議会は飲食料品製造業分野と外食業分野で共通です。

農林水産省は、関係業界団体、特定技能所属機関、登録支援機関その他の関係者により構成される「食品産業特定技能協議会」を組織しています。出入国在留管理庁・厚生労働省の分野別協議会資料によれば、加入企業数は18,387社(令和7年6月末時点)です。同資料は、特定技能・育成就労制度では分野所管省庁が分野ごとに協議会を設置し、受入れ機関にはこの協議会への加入を義務付けている、と整理しています。

加入方法は、食品産業特定技能協議会のホームページから必要事項を記入して申請する形です。同資料によれば、申請内容の根拠として「特定技能雇用契約に係る届出書の写し」「飲食料品製造業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書の写し」等の提出を受けて、構成員であることの要件を満たしたことが確認されます。

特定技能とは別に、令和9年4月からの育成就労制度開始に備え、飲食料品製造業分野と外食業分野が共同で「食品産業育成就労協議会」を設置しています。農林水産省は、育成就労実施者(受入れ機関)に協議会構成員となることを求める一方、監理支援機関は加入不要としています。加入は外国人技能実習機構への育成就労計画認定申請より前に行う必要があり、当面は入会金・年会費を徴収しないと案内されています。2026年9月時点で加入受付は開始しておらず、受付開始日は決まり次第、農林水産省のホームページで案内される予定です。育成就労を検討する場合は、特定技能版の協議会と混同せず、開始時期を公式ページで確認してください。

総合スーパーマーケット(食料品製造を行うものに限る)又は食料品スーパーマーケット(同)を行っている場合は、加入時に「販売業務に従事させないことの誓約」が確認されます。業務範囲の制限が、協議会の加入手続の側でも重ねて確認される仕組みです。

協議会が協議する事項として分野別運用要領が挙げているのは、外国人の受入れに関する情報の周知その他制度理解の促進、法令遵守に関する通知及び不正行為に対する横断的な再発防止、外国人の受入れ状況の把握及び農林水産省への報告、人材が不足している地域の状況の把握及び当該地域への配慮、その他外国人の適正で円滑な受入れ及び外国人の保護に資する取組の5点です。特定技能所属機関には、農林水産省又はその委託を受けた者が行う一般的な指導、報告の徴収、資料の要求、意見の聴取又は現地調査その他の指導に対する協力も求められます。

  • 自社の事業所が対象9業種のいずれかに当たることを確認した
  • 食品産業特定技能協議会への加入手続を採用工程に入れた
  • 特定技能雇用契約に係る届出書・誓約書の写しを用意した
  • スーパーマーケットの場合は販売業務に従事させない体制を整えた

出典:出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について」(確認日:2026年8月10日法務省ほか「『飲食料品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針』に係る運用要領」(確認日:2026年8月21日出入国在留管理庁「飲食料品製造業分野」(確認日:2026年8月15日農林水産省「食品産業育成就労協議会」(確認日:2026年9月10日

2号は試験に加えて管理等実務経験2年以上が要る

この分野は2号の対象ですが、試験に合格するだけでは移行できません。

分野別運用要領は、飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験の合格に加えて、「飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験(以下「管理等実務経験」という。)を2年以上有すること」を要件としています。試験対策だけでは満たせない要件のため、1号の在籍中に指導・工程管理の経験を積ませる配置設計が必要になります。

同要領には経過措置の注記もあります。令和5年6月9日の運用要領改正の時点で飲食料品製造業分野の1号特定技能外国人として本邦において就労している期間が2年6か月を超える者については、運用要領改正の翌日以降、特定技能1号の在留期間上限の日までの日数から6か月を減じた期間を目安とした管理等実務経験を積んでいることとされています。

2号に想定される業務も具体化されています。運用要領別冊は、1号の製造・加工及び安全衛生の確保に加えて、衛生管理、安全衛生管理、品質管理、納期管理、コスト管理、従業員管理、原材料管理等を「飲食料品製造業全般に関する管理業務」として挙げ、2号特定技能外国人は「事業所責任者(工場長等)が行う飲食料品製造業全般に関する管理業務を補助することを前提に雇用していただくことになりますので、役職等を命じ、業務に従事させる必要があります」としています。

受入れ規模の前提も確認しておいてください。運用方針は「飲食料品製造業分野における令和6年度からの向こう5年間の受入れ見込数は、最大で13万9,000人であり、これを令和10年度末までの5年間の受入れ上限として運用する」と定めています。分野ごとの受入れ人数枠の有無は分野により異なるため、受入れ機関側の基準とあわせて確認してください。

出典:法務省ほか「『飲食料品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針』に係る運用要領」(確認日:2026年8月21日法務省・農林水産省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-飲食料品製造業分野の基準について-」(確認日:2026年9月5日「飲食料品製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(閣議決定、別紙15)(確認日:2026年9月5日

よくある質問

選別と包装だけの作業を任せられますか?

対象業務にはなりません。運用要領別冊は「単なる選別、包装(梱包)のみの作業を行う行為は、製造・加工には当たりません」としています。製造・加工とは原料の処理、加熱、殺菌、成形、乾燥等の一連の生産行為等を指します。

スーパーマーケットでも受け入れられますか?

総合スーパーマーケットと食料品スーパーマーケットは「食料品製造を行うものに限る」という条件付きで対象です。ただしこの2業種に該当する事業所では、関連業務としても販売業務に従事することはできません。協議会への加入時にも販売業務に従事させないことの誓約が確認されます。

飲食料品製造業分野の技能試験はどの水準ですか?

分野別運用要領は、特段の育成・訓練を受けることなく直ちにHACCPに沿った衛生管理に対応できる程度の業務に従事できるレベルであることを認定するものと説明しています。食品衛生法改正(令和3年6月施行)により全ての飲食料品製造業者にHACCPに沿った衛生管理の実施が求められることになった経緯が背景にあります。

2号へ移行するには何が必要ですか?

飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験の合格に加えて、複数の作業員を指導しながら作業に従事し工程を管理する者としての実務経験(管理等実務経験)を2年以上有することが要件です。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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続けて確認する場合は、受入れ機関全体の基準を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、技能実習からの試験免除を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、2号移行で費用構造がどう変わるかを見るで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、分野固有費を見積書へ分けて記録するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、工業製品製造業分野と比較するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、飲食料品製造業分野の確認費目を表示するで条件と確認範囲をつなげられます。

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