この記事の対象:技能実習修了者を継続雇用または新規採用する企業
技能実習の修了状況と希望分野を照合する
『技能実習経験がある』だけでは試験免除を判断できません。
出入国在留管理庁のQ&Aによれば、「技能実習2号を良好に修了」とは技能実習計画に従って2年10か月以上修了していることをいいます。修了した技能実習の職種・作業と特定技能で従事する業務区分に関連性が認められる場合は技能試験・日本語試験の両方が、関連性が認められない場合は日本語試験のみが免除されます(技能試験は合格が必要です)。
介護分野はこの一般原則の例外です。介護職種・介護作業の技能実習2号を良好に修了した場合は技能試験(介護技能評価試験)・日本語試験(介護日本語評価試験を含む)がすべて免除されますが、介護職種・介護作業以外の技能実習2号を良好に修了した場合は技能試験(介護技能評価試験)は免除されません。日本語試験のうち国際交流基金日本語基礎テストと日本語能力試験(N4以上)は免除される一方、介護日本語評価試験は引き続き合格が必要です。
日本語試験と技能試験では免除条件の考え方が同一とは限りません。候補者ごとに免除根拠と証明資料を残します。
技能実習から特定活動を経て特定技能へ進む場合の流れは、特定活動を経由する移行の手順で確認できます。
| 分野 | 良好修了の要件 | 免除される試験 |
|---|---|---|
| 介護以外の分野 | 技能実習2号を良好に修了(2年10か月以上) | 関連業務なら技能・日本語試験の両方、非関連業務なら日本語試験のみ(技能試験は合格必須) |
| 介護分野(介護職種・作業を修了) | 介護職種・介護作業の技能実習2号を良好に修了 | 技能試験(介護技能評価試験)・日本語試験(介護日本語評価試験含む)をすべて免除 |
| 介護分野(介護職種・作業以外を修了) | 介護以外の職種・作業の技能実習2号を良好に修了 | 日本語試験(基礎テスト・N4以上)のみ免除、技能試験・介護日本語評価試験は合格が必要 |
同じ会社での継続と転職を分けて考える
実習先で継続雇用する場合と、別の受入れ機関へ移る場合では、確認する契約・引継ぎが異なります。
新しい雇用条件が特定技能の基準を満たすか、従事業務が対象範囲か、支援を誰が担うかを確認します。技能実習時の監理費と特定技能の支援委託費は別の役務です。
外国人技能実習機構の調査(2022年1月公表)では、現行の技能実習制度における監理費の定期費用は月額平均で2号29,096円・3号23,971円、不定期費用は平均154,780円という参考値が示されています。技能実習の在籍期間中の累計は、2号(3年間)まで約141万円・3号(5年間)まで約198万円という統計です。特定技能移行後の支援委託費はこれとは別の料金体系のため、両者を合算せず費目ごとに確認します。
転職を伴う場合は、退職・住居・生活契約・申請中の生活維持を含め、候補者に空白期間が生じない工程を作ります。
| 制度・費目 | 対象期間 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 技能実習の監理費(2号、定期費用平均) | 在籍3年間の累計 | 約141万円 |
| 技能実習の監理費(3号、定期費用平均) | 在籍5年間の累計 | 約198万円 |
| 特定技能移行後の支援委託費(受入時報酬の平均119,121円+月額支援委託料の平均28,386円×12か月) | 移行後の初年度 | 約46万円 |
- 新しい雇用条件が特定技能の基準を満たすか
- 従事業務が対象範囲か
- 支援を誰が担うか(技能実習時の監理費と特定技能の支援委託費は別役務)
- 転職を伴う場合は退職・住居・生活契約・在留手続で空白期間が生じないか
移行申請が間に合わない場合の制度を確認する
必要書類の準備が在留期限に間に合わない事情がある場合は、特定技能移行を希望する人向けの特定活動の案内を確認します。
特定活動は自動的に認められる猶予ではなく、対象要件と提出資料があります。申請の必要性を企業だけで断定せず、公式案内で確認します。
育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置も、開始時期や実習段階で扱いが異なります。移行時点の最新Q&Aを参照します。
令和9年4月1日の育成就労の施行後に技能実習がどこまで続くかは、育成就労の施行後の技能実習の経過措置で整理しています。
実習中の採用と、修了後の変更許可までの空白期間
技能実習が終わっていない人を特定技能で採用することはできませんが、変更許可の申請は実習中から行えます。
出入国在留管理庁のQ&A(Q47)によれば、技能実習計画を終了していない実習中の外国人は、技能実習という在留資格の性格上、特定技能への在留資格の変更は認められません。実習の途中で特定技能の雇用契約を結んでも、その時点で特定技能として働かせることはできません。
同Q&A(Q49)によれば、技能実習2号の実習中であっても変更許可の申請は可能で、必要な書類の準備ができ次第、申請するよう案内されています。一方、技能実習2号を修了した後は、特定技能への在留資格変更許可を受けるまでの間は働くことができません。
このため、修了日から変更許可までの間は就労できない期間になり得ます。この間の給与や住居費の扱いは、雇用契約と見積書の両方で事前に決めておきます。
また、同Q&A(Q49)では、実習が休みの日などに特定技能外国人として働くための就職先を探すことは問題ないとされています。ただし、在留期間が満了する場合であっても、技能実習生が就職活動を行うための在留資格変更はできません。
申請の時期や審査にかかる期間は、個別の事情で変わります。実際の申請時期は、地方出入国在留管理局または出入国在留管理庁の相談窓口で確認してください。
- 実習計画の終了日(修了予定日)
- 変更許可申請の書類がそろう時期
- 修了日から変更許可までの就労できない期間の取扱い
- その期間の給与・住居費の負担者
修了日から逆算した申請時期
出入国在留管理庁は、技能実習から特定技能への変更を、就労開始予定日の2か月以上前に申請するよう案内しています。
出入国在留管理庁の注意喚起(技能制度関係者向けのお知らせ)によれば、技能実習生が特定技能への在留資格変更許可申請をした後に実習計画が修了し、技能実習として働けず生活に困る事例が報告されています。同庁は、就労開始予定日の2か月以上前に申請するようお願いしています。
同じお知らせでは、申請の処理に1〜2か月程度かかり、繁忙期にはさらに日数を要することもあるとされています。申請をしたことで生じる特例期間の中であっても、実習計画が修了した場合は、技能実習生として働くことはできません。
このため、特定技能での就労開始予定日から2か月以上さかのぼった日を、申請の目安日として工程表に置きます。審査の期間は個別の事情で変わるため、許可の時期は見込めません。実際の申請時期は、地方出入国在留管理局または出入国在留管理庁の相談窓口で確認してください。
| 項目 | 原文の内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 申請の時期 | 就労開始予定日の2か月以上前に在留資格変更許可申請を行うよう依頼している。 | 入管庁の注意喚起 |
| 処理にかかる期間 | 1〜2か月程度かかり、繁忙期にはさらに日数を要することもある。 | 入管庁の注意喚起 |
| 実習計画が修了した後 | 技能実習生は、実習計画の修了後は稼働できない。 | 入管庁の注意喚起 |
| 特例期間中の扱い | 変更許可申請に伴う特例期間中でも、実習計画が修了した場合は技能実習生として稼働できない。 | 入管庁の注意喚起 |
- 特定技能での就労開始予定日
- 予定日から2か月以上さかのぼった申請の目安日
- 実習計画の修了日と、申請の目安日との前後関係
- 修了日から許可までの間の生活費・住居の扱い
評価調書を実習先が出さないときの代わりの書類
評価調書を提出できない場合でも、代わりの文書を添えて総合的に評価される道が公式Q&Aに示されています。
出入国在留管理庁のQ&A(Q48)によれば、評価調書を実習先に依頼しても発行してもらえない場合は、評価調書を提出できないことの経緯を説明する理由書を用意します。あわせて、評価調書に代わる文書として、例えば当時の技能実習指導員など実習状況を知りうる立場の方が作成した、技能実習の実施状況を説明する文書を提出します。
これらを提出したうえで、地方出入国在留管理局が技能実習2号を良好に修了したか否かを総合的に評価することも可能とされています。代わりの文書を出せば必ず認められるという意味ではなく、結果は個別の審査によります。
実習先と連絡が取れる間に、評価調書の発行可否を早めに確認しておくと、代わりの文書を準備する時間を確保できます。書類の選び方や書き方は、申請先の地方出入国在留管理局で確認してください。
- 評価調書の発行を実習先へ依頼した記録
- 発行されない経緯を説明する理由書
- 実習状況を知る立場の方が作る実施状況の説明文書
- 申請先の地方出入国在留管理局への事前確認
二重計上と計上漏れを防ぐ
技能実習時の費用項目を、そのまま特定技能の費用へコピーしないことが重要です。
監理団体への監理費、登録支援機関への支援委託費、人材紹介料、在留手続費、住居費等を役務と発生期間で分けます。
同じ会社で継続雇用する場合も、支援計画の作成・実施、在留資格変更、分野別の加入・届出等に必要な工数や外部費用を確認します。
技能実習時に支払い済みの住居備品や健康診断等は、再利用できるか、新たな契約・受診が必要かを項目ごとに確認します。過去に支払ったことだけで移行後の費用を二重計上しません。
- 技能実習の修了証明
- 職種・作業と業務区分の対応
- 試験免除の根拠
- 新しい雇用条件
- 支援体制と委託範囲
- 在留期限と申請予定日
よくある質問
技能実習2号修了者はすべての試験が免除されますか?
一律ではありません。良好修了の確認に加え、実習した職種・作業と希望する特定技能分野の関連性を確認してください。
同じ会社で雇用を続けても在留資格変更は必要ですか?
必要です。技能実習と特定技能は別の在留資格であり、特定技能として働く前に変更許可等を確認します。
技能実習の監理費は特定技能でも続きますか?
役務を分けて確認してください。特定技能では支援体制や委託契約に基づく費用を改めて見積もります。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」(確認日:2026年8月1日、次回確認:2026年11月1日)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動(『特定技能1号』への移行を希望する場合)」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」(確認日:2026年10月20日、次回確認:2026年11月19日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置Q&A」(確認日:2026年8月10日、次回確認:2026年11月10日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「分野別情報」(確認日:2026年10月29日、次回確認:2026年11月5日)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年10月26日、次回確認:2027年1月26日)
- 法務省・厚生労働省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について-」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「雇用における注意点」(確認日:2026年8月2日、次回確認:2026年11月2日)
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(確認日:2026年10月26日、次回確認:2027年1月26日)
- 外国人技能実習機構「監理団体が実習実施者から徴収する監理費等の費用に係るアンケート調査について(結果の概要)」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2027年2月11日)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度の現状について」参考資料4(確認日:2026年7月26日、次回確認:2027年1月26日)
- 出入国在留管理庁委託「外国人材受入支援体制の強化事業」事業報告書(公式サイトでは2026年9月21日時点で閲覧できません。数値は掲載中に確認した値です)(確認日:2026年7月26日、次回確認:2027年1月26日)
- 出入国在留管理庁「技能制度関係者の皆様へ(技能実習から特定技能への在留資格変更許可申請は就労開始予定日の2か月以上前に)」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2027年1月16日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について」(確認日:2026年8月10日、次回確認:2026年11月10日)