育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消し、人材育成と人材確保を目的として設けられる制度です。出入国在留管理庁は、2027年4月1日から実際の受入れを開始すると案内しています。
現在の特定技能費用シミュレーターを、そのまま育成就労の費用計算には使えません。監理支援、育成就労計画、教育・試験、送出手続など、特定技能1号の支援委託料とは異なる確認項目があるためです。
特定技能1号側の試算が使う数値の出典・確認日・次回確認予定は試算データの出典で確認できます。
特定技能1号・技能実習・育成就労の違い
3制度は、名称だけでなく目的、転籍、人数枠、支援の主体が異なります。受入れ方法を選ぶときは、費用だけでなく、どの制度で受け入れ、誰が支援・監理を担うかを先に確定してください。
| 確認点 | 特定技能1号 | 技能実習 | 育成就労 |
|---|---|---|---|
| 制度目的 | 人手不足分野で一定の専門性・技能を持つ人材を受け入れる | 技能等の移転による国際貢献 | 人手不足分野での人材育成と人材確保 |
| 本人意向の転籍 | 同じ業務区分内等で転職できるが、新しい所属機関での在留資格変更許可が必要 | 原則として想定されず、やむを得ない事情等の制度上の手続を確認 | 一定の要件を満たす場合に認められる |
| 受入れ人数枠 | 機関ごとの一般的な上限はないが、介護・建設には分野固有の上限がある | 常勤職員数等に応じた基本人数枠がある | 常勤職員数に応じた人数枠があり、優良な実施者には拡大枠がある |
| 支援・監理の主体 | 受入れ機関が1号支援計画を実施。全部または一部を登録支援機関へ委託できる | 実習形態に応じて実習実施者と監理団体が関与 | 育成就労実施者と、監理型では監理支援機関が関与 |
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」、外国人技能実習機構「技能実習制度 運用要領」、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年8月11日)
| 扱い | 事項 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 確定 | 制度の施行日と受入れ開始日 | 2027年4月1日 |
| 確定 | 施行日前の許可・認定申請の受付予定 | 公式案内の日程を確認 |
| 確定 | 特定技能1号への移行時に試験合格が必要 | 技能試験と日本語能力A2相当以上の試験を確認 |
| 確定 | 本人意向による転籍が、一定条件下で可能に | 2年:介護・建設・造船・自動車整備・外食・工業製品製造・飲食料品製造・資源循環。1年:その他の育成就労対象15分野。航空・自動車運送業は育成就労分野なし |
| 更新待ち | 分野別運用要領、上乗せ基準、申請様式等 | 対象分野の最新版を再確認 |
| 個別確認 | 受入れ総額と各費目の金額 | 対象分野・送出国・契約ごとの見積書を確認 |
本人意向による転籍の制限期間は、全ての転籍を一律に禁じる期間ではなく、一定の要件の下で本人意向の転籍を認めるために分野別に定められた期間です。2年とされたのは介護、建設、造船・舶用工業、自動車整備、外食業、工業製品製造業、飲食料品製造業、資源循環の8分野です。
ビルクリーニング、宿泊、農業、漁業、林業、木材産業、鉄道、リネンサプライ、物流倉庫は1年と整理されています。航空・自動車運送業は育成就労産業分野が設定されていません。
2年とされた分野でも、育成就労実施者の判断で1年とすることが可能です。転籍時には、該当分野の期間に加え、技能・日本語能力、同一業務区分、転籍先側の計画認定などを最新の公式資料で確認してください。
出典:厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項②」、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年8月22日)
参考として、現行の技能実習制度で監理団体が実習実施者から徴収する監理費について、外国人技能実習機構が2022年1月に公表したアンケート調査の結果は、初期費用(一人当たりの徴収額)平均341,402円、定期費用(1号)月額平均30,551円という統計値を示しています。育成就労制度の監理支援機関の費用体系がこの現行値と同一になるとは限らず、施行後の公式案内・見積書で確認してください。
出典:外国人技能実習機構「監理団体が実習実施者から徴収する監理費等の費用に係るアンケート調査について(結果の概要)」(確認日:2026年8月11日)
施行日と施行前の申請
制度の運用開始と特定技能制度の適正化等の施行日は2027年4月1日です。施行前には、監理支援機関の許可申請を2026年4月15日から、育成就労計画の認定申請を2026年9月1日から受け付ける予定と案内されています。
分野によっては監理支援機関の許可基準に上乗せ基準があり、所管省庁の告示や分野別運用要領で提出資料等が案内されます。外国人技能実習機構は、この上乗せ基準がある分野を介護・工業製品製造業・自動車整備・物流倉庫・漁業の5分野としており、2026年9月時点でいずれも所管省庁の告示(介護は厚生労働省告示第156号、工業製品製造業は経済産業省告示第62号、自動車整備は国土交通省告示第637号、物流倉庫は国土交通省告示第788号、漁業は農林水産省告示第575号)が公布済みです。分野別の内容は介護分野・工業製品製造業分野・自動車整備分野・物流倉庫分野・漁業分野の各ガイドで整理しています。日程だけで準備完了と判断せず、対象分野の最新版を確認してください。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」(確認日:2026年8月1日)、外国人技能実習機構「監理支援機関の許可基準に関し、育成就労産業分野ごとに定める上乗せ基準がある分野」(確認日:2026年9月4日)
現在実施中の技能実習の経過措置
施行日(2027年4月1日)時点ですでに技能実習を行っている人材は、経過措置の対象です。出入国在留管理庁のQ&Aは、施行後も行える技能実習を、施行の際現に行っているもの・施行日から3か月以内に上陸許可を受け開始するもの・施行日後に前段階を修了した場合の次段階に係るものの3つに限ると説明しています。
技能実習2号から技能実習3号への移行については、施行日時点で技能実習2号の在留資格をもって技能実習を行っている期間が1年以上であることが必要です。そのため、遅くとも2026年4月1日までに技能実習2号を開始している必要があります。
また、育成就労制度施行後に技能実習を行っている者は、技能実習の途中から育成就労に切り替えることはできません。受入れ体制を検討する際は、現在の技能実習生をこのまま技能実習として継続するのか、新規に育成就労外国人を受け入れるのかを分けて確認してください。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置Q&A」(確認日:2026年8月10日)
特定技能1号への移行
育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成する設計です。ただし、3年間在籍すれば自動的に特定技能1号へ移行できるわけではありません。
出入国在留管理庁のQ&Aは、移行時に技能に係る試験と、日本語能力A2相当以上の試験への合格が必要と説明しています。対象分野の試験、学習支援、受験時期を育成計画と費用確認に含める必要があります。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年8月1日)
特定技能1号への移行後は、受入れ機関が支援計画に基づく支援を実施する必要があります。自社支援と登録支援機関への委託のどちらを選ぶかは、自社支援と委託の違いを整理したガイドで確認できます。なお、現行の技能実習2号から特定技能1号への移行手続・費用は技能実習から特定技能への移行ガイドで別に整理しています。
施行前に確認する費用
現時点で全国一律の受入れ総額を示せる一次資料はありません。少なくとも、次の費目が対象分野・送出国・契約内容のどこに含まれるかを分けて確認します。
- 監理支援費用:月額等の基本料金と、通訳・訪問・交通等で別途請求される実費を分けます。
- 計画・申請費用:育成就労計画の作成・認定申請に必要な社内工数と、外部へ依頼する場合の業務範囲を確認します。
- 教育・試験費用:日本語教育、技能教育、各段階の試験について、受講料・受験料・移動費と再受験時の扱いを確認します。
- 送出国側の費用:国別手続、送出機関、翻訳・証明書取得の各費目と負担者を契約書で確認します。
- 分野固有費:分野別運用要領や実施法人が定める加入・負担の有無を、対象分野の最新版で確認します。
- 渡航・生活立上げ費用:航空券、国内移動、住居準備、生活用品等を一括せず、負担者と発生時期ごとに見積もります。
出入国在留管理庁のQ&Aは、送出機関が外国人本人から徴収できる費用に月給2か月分までの上限を設け、上限を超える部分は育成就労実施者または監理支援機関が負担すると説明しています。契約書では金額だけでなく、誰が何を負担するかを確認してください。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」Q74(確認日:2026年8月22日)
出入国在留管理庁・厚生労働省の共同資料は、分野所管省庁が分野ごとに設置する協議会への加入を、受入れ機関(特定技能所属機関・育成就労実施者)にそれぞれ義務付けていると説明しています。同資料が公表する特定技能側の分野別協議会一覧には、協議会そのものへの入会金・年会費の記載は分野を問わずありません。特定技能の建設分野・工業製品製造業分野で発生する登録法人(JAC・JAIM)への加入費用のような枠組みが育成就労制度でも同様に設けられるかは、施行前の情報として今後の公式案内で確認します。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年8月1日)、出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について」資料1-1(確認日:2026年8月10日)
特定技能側の受入れ機関が満たすべき基準は受入れ機関自体が満たすべき基準で整理しています。
未確定・更新待ちとして扱うこと
制度の骨格と施行日は確定していますが、次の事項は施行に向けた更新または個別条件の確認が必要です。
- 対象分野の分野別運用要領(上乗せ基準の告示は介護・工業製品製造業・自動車整備・物流倉庫・漁業の5分野で公布済み。他分野は未確認)
- 送出国との協力覚書と国別手続
- 許可・認定申請の様式と提出資料
- 監理支援、教育・試験、送出手続等の見積額
- 本人意向の転籍時に転籍先が負担する初期費用の金額(主務大臣の告示待ち)
本人意向による転籍の際は、転籍元が受入れに要した初期費用について、転籍先が一定以上の金額を負担する仕組みが予定されています。出入国在留管理庁のQ&Aは、この金額を「主務大臣が告示で定める金額に、育成就労外国人が在籍していた期間に応じた按分率を乗じて算出する」と説明しており、確定額は本ページ執筆時点で未公表です。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年8月1日)
公的一次資料の確認日:2026年9月4日。本ページの費目名から金額を推定せず、対象分野と送出国が決まった段階で公式資料を再確認してください。
現在の費用シミュレーターは特定技能1号の支援・準備費を対象とします。育成就労の見積額を混ぜず、制度ごとに見積書と計算範囲を分けてください。特定技能1号側の対象はシミュレーターの計算範囲で確認できます。
最新情報:出入国在留管理庁「育成就労制度」
よくある質問
育成就労制度で外国人を受け入れられるのはいつからですか?
出入国在留管理庁のQ&Aでは、実際に育成就労外国人を受け入れられるのは2027年4月1日からと案内されています。監理支援機関の許可と育成就労計画の認定には施行日前申請の日程があります。
現在の費用シミュレーターで育成就労の費用を計算できますか?
できません。現在のシミュレーターは特定技能1号の登録支援機関への報酬を公的調査から計算するもので、育成就労の監理支援費用や教育・試験費用を自動計算していません。
育成就労を終えれば自動的に特定技能1号へ移行できますか?
自動移行ではありません。出入国在留管理庁のQ&Aは、技能に係る試験と日本語能力A2相当以上の試験への合格を移行要件として案内しています。分野別の要件も最新資料で確認してください。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」(確認日:2026年8月1日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年8月1日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」(確認日:2026年8月1日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について」(確認日:2026年8月10日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置Q&A」(確認日:2026年8月10日)
- 外国人技能実習機構「監理団体が実習実施者から徴収する監理費等の費用に係るアンケート調査について(結果の概要)」(確認日:2026年8月11日)
- 外国人技能実習機構「技能実習制度 運用要領(令和8年3月31日改正)」(確認日:2026年8月11日)
- 外国人技能実習機構「監理支援機関の許可基準に関し、育成就労産業分野ごとに定める上乗せ基準がある分野」(確認日:2026年9月4日)
本ページの費用や制度説明は、概算を含む一般的な情報提供です。実際の受入れ可否・費用は登録支援機関・関係機関等による確認と見積もりが優先します。本サイトは在留資格申請の代行、書類作成、受入れ可否の判断、個別の労務助言を行いません。