特定技能人材の初年度費用は、ひとつの「相場」だけでは整理できません。給与・社会保険、行政手続、1号特定技能外国人支援、人材紹介や渡航・住居準備など、根拠と支払先が異なる費用を分けて確認する必要があります。
本サイトのシミュレーターが自動計算するのは、公的調査で数値を確認できた登録支援機関への報酬だけです。その他は、企業ごとの雇用条件や見積書をもとに任意入力します。
初年度費用を4つに分ける
次の表は、何を同じ合計に含め、どの情報で金額を確認するかを整理したものです。金額欄を埋める前に、まず費目の性質を分けてください。
| 費用区分 | 確認元 | 自動計算 |
|---|---|---|
| 給与・社会保険 | 雇用条件、社内の労務資料 | 対象外 |
| 行政手続の手数料 | 申請時点の公式案内 | 対象外 |
| 登録支援機関への報酬 | 公的調査、個別見積書 | 公的調査分のみ |
| 紹介・渡航・住居準備等 | 契約条件、個別見積書 | 任意入力 |
給与・社会保険
給与は受入れ費用の大きな部分ですが、業務、地域、勤務時間などによって異なります。出入国在留管理庁のQ&Aは、雇用契約上の報酬額について、日本人が同等の業務に従事する場合と同等以上であること等への留意を求めています。シミュレーターに一律の給与相場を置くと、この条件を無視するため自動計算していません。
行政手続の手数料
在留資格変更許可申請では、2026年7月26日に確認した公式ページ上の許可時手数料は、窓口申請が6,000円、オンライン申請が5,500円です。ただし手数料制度の改定が進行しているため、申請時点の公式案内を確認してください。
この行政手数料と、行政書士等へ依頼する場合の報酬は別の費目です。依頼報酬は一律ではないため、自動計算には含めていません。
出典:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」(確認日:2026-07-26)
登録支援機関への報酬
本サイトでは、受入時報酬について1人当たり平均119,121円、月額支援委託料について1人当たり平均28,386円という別時点の公的調査を参照しています。
受入時報酬は登録支援機関へのアンケート調査、月額支援委託料は在留中の特定技能外国人について直近の許可申請で示された受入れ企業側の支払額を集計した資料で、母集団が異なります。本サイトは、受入時報酬には前者の調査を使い、月額には時点が新しく受入れ企業側の支払額と分布を確認できる後者の資料を使っています。
月額の概算レンジは、公式分布で構成比の大きい連続3区分の境界である15,000円超〜30,000円以下から派生させています。公的資料が「相場」として示したレンジではないため、実際の見積額と置き換えてください。
人材紹介・渡航・住居準備等
採用経路、国籍国で必要な手続、渡航経路、住居の契約条件などによって費用が変わります。本サイトは民間事業者の記事から相場を合成せず、見積書で確認できた1人当たりの初期費用と月額費用を任意入力する方式にしています。
なお、出入国在留管理庁は、特定技能制度には監理団体を設けず、受入れ機関が直接採用するか、国内外の職業紹介機関を活用すると説明しています。
見積書の前に確認する追加費目
次の項目は、申請経路、国籍国、受入れ分野によって発生条件や負担者が変わります。共通の金額を自動入力せず、該当する公式案内と契約書・見積書を確認してください。
- 健康診断の受診費用:特定技能の在留諸申請に関する参考様式には「健康診断個人票」があります。受診時期、医療機関、費用の負担者を事前に確認します。
- 国籍国での送出手続に伴う費用:協力覚書を作成した国では、本国で必要な送出手続を含む流れが国別に案内されています。対象国の公式手続と、利用する機関の契約条件を確認します。
- 建設分野の受入負担金:建設技能人材機構(JAC)は、1号特定技能外国人を受け入れる建設企業が、共同事業に要する受入負担金を負担する仕組みを案内しています。最新の対象・金額・徴収方法をJACで確認します。
- 工業製品製造業分野の加入費用:経済産業省は、同分野で受け入れる全事業所に工業製品製造技能人材機構(JAIM)への加入が必要と案内しています。最新の入会条件と会費規程を確認します。
出典:出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」、出入国在留管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書」、建設技能人材機構「受入れにかかる費用」、経済産業省「工業製品製造業分野の特定技能制度」(確認日:2026年8月1日)
一次資料で確認できる費用の負担者
費用の名称だけで負担者を決めることはできません。ここでは、公式Q&Aまたは実施法人の案内が負担者と本人への転嫁可否を明示している費目だけを整理します。
| 費目 | 一次資料で確認できる扱い | 確認先 |
|---|---|---|
| 義務的支援の実施費用 | 特定技能外国人本人へ負担させることは認められない | 出入国在留管理庁Q&A Q76 |
| 建設分野のJAC受入負担金 | 受入企業が負担し、本人へ直接・間接に負担させない | 建設技能人材機構の受入れマニュアル |
健康診断、国別送出手続、行政手数料、紹介・渡航・住居準備などは、この整理だけで負担者を断定しません。対象となる公式手続、雇用条件、契約書、見積書で確認してください。
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q76、建設技能人材機構「受入れにかかる費用」
シミュレーターの計算範囲
登録支援機関へ委託する場合は、公的調査にある受入時報酬と、設定した月数分の月額支援委託料を人数倍します。そこへ利用者が入力したその他の初期費用と月額費用を、選択した入力単位に応じて加えます。
公的調査のデータだけで計算した例
登録支援機関へ委託して1人を12か月受け入れ、その他の費用を計上しない条件では、現在のデータから次の結果になります。これは公的調査の数値を使ったモデル計算であり、個別の見積額ではありません。
| 表示項目 | 計算結果 |
|---|---|
| 受入時の支援報酬 | 119,121円 |
| 月額支援委託料 | 180,000円〜360,000円 |
| 入力済み費用の小計 | 299,121円〜479,121円 |
| 公的統計の平均値ベース | 459,753円 |
実際に提示された受入時報酬と月額支援委託料は、シミュレーターの見積額欄へ入力して公的調査の数値と置き換えてください。紹介、手続依頼、渡航、住居準備などの確認済み費用も別途入力します。
自社支援の場合、登録支援機関への報酬は計上しません。ただし、社内担当者の工数や通訳、移動などがなくなるという意味ではありません(残る費用は自社支援で見落としやすい内部費用で整理しています)。条件を整理できたら、初年度費用シミュレーターで試算できます。
見積書を入力する前の確認順序
同じ「初期費用」でも、支払先・入力単位・対象月・実費の扱いを分けて確認します。
- 支払先と費目を分ける。行政手数料、専門家報酬、支援委託料、人材紹介料を同じ名称の「初期費用」にまとめないようにします。
- 1人当たりか一契約当たりかを確認する。人数を掛ける費用と、企業単位で発生する費用を区別します。
- 月額費用の対象月を確認する。入社月や支援開始月により初年度の月数が12か月未満になる場合は、シミュレーターの計上月数を見積書に合わせます。
- 実費の扱いを確認する。交通、通訳、住居関連の実費が定額報酬に含まれるか、別請求かを見積書で確認します。
よくある質問
シミュレーターの結果に給与と社会保険料は含まれますか?
含まれません。給与と社会保険料は、雇用条件や企業ごとの加入状況によって異なるため、現在のシミュレーターでは自動計算の対象外です。
自社支援を選ぶと支援費用は0円ですか?
0円になるとは限りません。登録支援機関への外部委託料は計上されませんが、担当者の人件費、通訳、移動、住居確保等の実費は別に確認が必要です。自社支援の費用が未入力の間、シミュレーターは小計を「要入力」と表示します。
在留資格変更許可の手数料は自動計算されますか?
自動計算していません。申請方法や申請時点の制度によって変わるため、申請時の出入国在留管理庁の案内を確認し、必要なら任意入力欄へ加えてください。
義務的支援にかかった費用を本人に負担してもらえますか?
出入国在留管理庁のQ&Aでは、義務的支援の実施にかかった費用を特定技能外国人本人に負担させることは認められないと説明されています。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」
- 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
- 出入国在留管理庁委託「外国人材受入支援体制の強化事業」
- 出入国在留管理庁「特定技能制度の現状について」参考資料4
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」
- 出入国在留管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書」
- 建設技能人材機構「外国人受入れマニュアル 第2章 03. 受入れにかかる費用」
- 経済産業省「工業製品製造業分野の特定技能制度」
本ページの内容は一般的な情報提供です。実際の受入れ可否・費用は登録支援機関・関係機関等による確認と見積もりが優先します。本サイトは在留資格申請の代行、書類作成、受入れ可否の判断、個別の労務助言を行いません。