この記事の対象:特定技能の雇用条件書を初めて確認する企業
雇用条件書と特定技能の基準の照合項目
職種名と月給だけでなく、特定技能雇用契約の基準を確認します。
従事業務、労働時間、報酬、休暇、契約期間、退職事項を雇用条件書と照合し、対象分野・業務区分と実際の配置を一致させます。
外国人であることを理由に不利益な条件を置かず、同等業務に従事する日本人との報酬比較を説明できる資料を準備します。
特定技能基準省令は、外国人が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させることを受入れ機関が満たすべき基準の一つとして定めています。業務上やむを得ない事情がある場合を除き、既に年次有給休暇を使い切っていても追加的な有給・無給休暇の取得に配慮することが求められ、休暇取得を理由とした不利益な取扱いは基準不適合になり得ます。業務上の事情で希望日の取得を認められない場合は、代替日を提案する等の配慮が案内されています。
一時帰国で出国する場合の再入国の手続は、出国前に確認します。出入国在留管理庁によれば、有効な旅券と在留カードを所持し、在留期間が「3月」以下でない方は、出国の日から1年以内に再入国するなら、原則として通常の再入国許可は不要です(みなし再入国許可)。有効期間は出国の日から1年間で、在留期限がそれより前に来る場合は在留期限までです。
みなし再入国許可で出国するときは、再入国出国記録の該当欄にチェックして入国審査官へ提示し、希望する旨を伝える必要があります。在留資格取消手続中の方、出国確認の留保対象者、難民認定申請中の「特定活動」の方などは対象外で、通常の再入国許可が必要です。
通常の再入国許可は出国前に申請し、許可時の手数料は1回限り4,000円、数次7,000円で、収入印紙で納付します(オンライン申請は3,500円・6,500円)。標準処理期間は当日です。
1年を超えて日本を離れる可能性がある場合や在留期限が近い場合は、通常の再入国許可が必要かを出国前に出入国在留管理官署へ確認します。費用を誰が負担するかは出入国在留管理庁のページに記載がないため、雇用条件書の費用負担の定めと合わせて整理してください。
確認結果は、雇用条件書の該当欄と比較資料の保存場所まで記録します。担当者の判断だけを残さず、本人へ交付した条件と申請資料の条件が一致する状態にします。 確認記録には根拠資料の名称と確認日も残します。
- 従事業務が対象分野・業務区分と一致している
- 労働時間が雇用条件書のとおりである
- 報酬が雇用条件書のとおりである
- 休暇の条件が雇用条件書のとおりである
- 契約期間が雇用条件書のとおりである
- 退職事項が雇用条件書のとおりである
- 同等業務に従事する日本人との報酬比較資料がある
- 一時帰国を希望した場合の有給休暇取得への配慮を契約・運用に反映した
- 一時帰国の出国前に、みなし再入国許可の対象か(在留期限・出国期間・対象外の類型)を確認した
本人が理解できる言語での説明方法
署名だけで契約内容を理解した証明になるとは限りません。
雇用条件書等を本人が十分に理解できる言語で作成し、控除や手取りに影響する条件も説明します。翻訳費は独立費目として見積もります。
説明日、使用言語、説明者、交付した版を記録し、条件変更時にも差分を説明します。古い版への署名を流用しません。
翻訳文と日本語原文には同じ版番号を付けます。修正時は両方を更新し、本人が質問した事項と回答も残すことで、署名だけに依存しない説明記録にします。 確認記録には根拠資料の名称と確認日も残します。
| 記録項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 説明日 | 実施した日付 |
| 使用言語 | 本人が理解できる言語 |
| 説明者 | 説明を行った担当者 |
| 交付した版 | 雇用条件書等の版 |
本人負担と会社負担の区分
渡航、住居、食費等を一括して本人負担とせず、根拠を分けます。
義務的支援の実施費用を本人へ転嫁せず、給与控除は法令と本人同意を確認します。保証金や違約金を伴う契約を締結しません。
契約相手が複数でも本人の最終負担を横断し、未確認額を0円にしません。支払先、時期、返金条件も記録します。
控除額が未確定なら見込額を断定せず、算定方法と確認先を示します。給与明細に現れる名称と契約時の説明名称も揃え、本人が後から照合できるようにします。 確認記録には根拠資料の名称と確認日も残します。
- 義務的支援の実施費用を本人へ転嫁していない
- 給与控除について法令と本人同意を確認した
- 保証金・違約金を伴う契約を締結していない
- 支払先を記録した
- 時期を記録した
- 返金条件を記録した
変更・終了時の届出の管理
契約締結で終わらず、変更後の手続まで工程化します。
賃金、時間、期間等の変更時は本人への説明と随時届出を確認し、変更日と提出日を同じ台帳で管理します。
退職時は契約終了だけでなく、受入れ困難、支援、住居の引継ぎが関係するかを確認します。
変更を把握する部署と届出担当が異なる場合は、社内通知の期限を決めます。提出後は受付証跡を雇用契約の案件記録へ戻し、次回更新時にも確認できるようにします。 確認記録には根拠資料の名称と確認日も残します。
| 場面 | 確認する内容 |
|---|---|
| 賃金・時間・期間等の変更時 | 本人への説明、随時届出の要否、変更日と提出日の台帳管理 |
| 退職時 | 受入れ困難、支援の引継ぎ、住居の引継ぎが関係するかを確認する |
契約終了後の活動状況の文書の備付け
雇用契約の書類は、締結後も就労状況を示す文書として、契約が終わってから1年以上備える基準があります。
特定技能基準省令第2条第1項第5号は、特定技能雇用契約に係る外国人の活動の内容に係る文書を作成し、その外国人に活動をさせる事業所に、契約の終了の日から1年以上備えて置くことを基準として定めています。雇用契約の内容や雇用条件は、この文書に含める事項として運用要領が挙げています。
運用要領は、この文書に少なくとも、外国人の管理簿(名簿と活動状況に関する帳簿)、特定技能雇用契約の内容、雇用条件、賃金台帳等の待遇に係る書類、出勤簿等の出勤状況に関する書類を含めるよう求めています。毎月の報酬を口座振込で支払う場合は、口座振込明細書を、受入れに要した費用の額と内訳に係る添付資料として活動状況の帳簿に編てつするよう案内されています。
書面に代えて電磁的記録で備えることも認められています。他の法令に基づいて作成した書類は、別に作り直さず、この文書として備え付けて差し支えないとされています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 外国人の名簿 | 氏名、国籍・地域、生年月日、性別、在留資格、在留期間、在留期間の満了日、在留カード番号、外国人雇用状況届出の届出日 |
| 活動状況に関する帳簿 | 活動場所、従事した業務、雇用状況、労働保険・社会保険の状況、安全衛生の確保状況、受入れ・支援に要した費用の額と内訳、休暇の取得状況、行政機関からの指導・処分 |
| 契約・待遇の書類 | 特定技能雇用契約の内容、雇用条件、賃金台帳等、出勤簿等 |
よくある質問
雇用条件書は日本語だけでよいですか?
日本語だけでは足りない場合があります。雇用条件書等は本人が十分に理解できる言語で作成し、控除や手取りに影響する条件も説明します。署名だけで理解した証明になるとは限らないため、説明日、使用言語、説明者、交付した版を記録します。
雇用契約や出勤簿の記録はいつまで備えておきますか?
特定技能基準省令は、活動の内容に係る文書を、特定技能雇用契約の終了の日から1年以上、外国人が業務に従事する事業所に備えて置くことを基準としています。他の法令に別の保存期間がある書類は、その法令に従って保存します。
住居費を控除できますか?
義務的支援の実施費用を本人へ転嫁する形の控除はできません。それ以外の控除は、法令と本人同意を確認したうえで、実費、根拠、労働関係法令との整合を示せる場合に限ります。支払先、時期、返金条件も記録します。
条件変更時に届出は必要ですか?
賃金、時間、期間等を変更したときは、本人への説明と随時届出の要否を確認します。変更の内容によって随時届出の対象になるため、変更日と提出日を同じ台帳で管理します。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「雇用における注意点」(確認日:2026年8月2日、次回確認:2026年11月2日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(確認日:2026年8月1日、次回確認:2026年11月1日)
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」(確認日:2026年8月3日、次回確認:2026年11月3日)
- 出入国在留管理庁「再入国許可申請」(確認日:2026年10月1日、次回確認:2027年1月1日)
- 出入国在留管理庁「みなし再入国許可」(確認日:2026年10月1日、次回確認:2027年1月1日)