この記事の対象:介護分野で育成就労外国人の受入れを検討する介護事業者

育成就労制度の介護分野に固有の上乗せ基準(厚生労働省告示第156号)について、日本語能力の段階要件、育成就労指導員の配置、常勤介護職員数を分母にした受入れ人数枠、訪問系サービスの追加要件を公的一次資料から整理します。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。

上乗せ基準の位置づけと出典

育成就労は全分野共通の基準に加え、分野ごとに固有の要件を告示で上乗せします。

外国人技能実習機構のページは、監理支援機関の許可基準に関し育成就労産業分野ごとに上乗せ基準が定められる分野を「介護・工業製品製造業・自動車整備・物流倉庫・漁業」の5分野とし、分野所管省庁が上乗せ基準を告示で規定した後、分野別の運用要領で提出資料等を案内するという手順を示しています。介護分野の上乗せ基準は、厚生労働省告示第156号(令和8年3月31日、厚生労働大臣上野賢一郎による制定)として公布されました。

この告示は、外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則の複数条項(第13条第2項第9号、第15条第1項第13号及び同条第2項第2号、第19条第3項、第44条第2項、第67条第20号)に基づいて定められ、令和9年4月1日から適用されます。同日付けで、介護職種について技能実習の分野別基準を定めていた平成29年厚生労働省告示第320号は廃止されます。

出典:外国人技能実習機構「監理支援機関の許可基準に関し、育成就労産業分野ごとに定める上乗せ基準がある分野(介護・工業製品製造業・自動車整備・物流倉庫・漁業の各分野)」(確認日:2026年9月4日厚生労働省告示第百五十六号「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則の規定に基づき介護分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等」(確認日:2026年9月4日

育成就労の内容の基準:日本語能力の段階要件

介護分野は、開始時点だけでなく1年経過後の水準まで告示で定められています。

告示第一条第一号は、育成就労外国人について「基礎的な日本語を理解し、使用することができる水準」の日本語能力を試験その他の評価方法により証明されていることを求めます。第一条第二号はさらに踏み込み、育成就労の対象期間の合計が1年に達した日から終了日までの間、外国人が「自立して日本語を理解し、使用することができる水準の日本語能力を修得するために継続的に学ぶ意思を表明していること」と「育成就労を行わせる事業所においてその水準を修得するために必要な日本語を学ぶこと」の両方を満たすよう求めます。既に自立した水準の日本語能力が試験等で証明されている場合はこの限りではありません。

第一条第三号は入国後講習の内容も規定しています。日本語科目は講義の総時間数が240時間以上(既に自立水準を満たす者は80時間以上)、技能修得に資する知識科目は「介護の基本」「コミュニケーション技術」「移動の介護」「食事の介護」「排泄の介護」「衣服の着脱の介護」「入浴・身体の清潔の介護」の各6時間で合計42時間以上を、告示別表第1〜第3が定める時間数を標準として実施することを求めています。入国前講習で該当科目を受講済みの部分は、時間数を一部免除できます。

告示とは別に、出入国在留管理庁の分野別運用方針(別紙1 介護)は、育成就労の各段階で満たすべき技能水準・日本語能力水準を試験名まで具体的に定めています。育成就労を開始するまでに「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の水準が求められ、開始後1年経過時までに技能水準は介護育成就労評価試験(初級)、日本語能力水準はA2.2相当以上に加え日本語学習プランの作成(「日本語教育の参照枠」のB1相当以上に合格している場合は作成不要)が求められます。育成就労を終了するまでには、技能水準は介護育成就労評価試験(専門級)、日本語能力水準はA2.2相当以上に加え介護特定技能評価試験(日本語)への合格が求められます。

介護分野の育成就労・段階別の技能水準と日本語能力水準(出入国在留管理庁 分野別運用方針)
時点技能水準日本語能力水準
育成就労を開始するまで「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上
開始後1年経過時まで介護育成就労評価試験(初級)A2.2相当以上+日本語学習プランの作成(B1相当以上に合格していれば作成不要)
育成就労を終了するまで介護育成就労評価試験(専門級)A2.2相当以上+介護特定技能評価試験(日本語)

出典:厚生労働省告示第百五十六号「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則の規定に基づき介護分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等」(確認日:2026年9月4日出入国在留管理庁「育成就労制度に係る分野別運用方針 別紙1 介護」(確認日:2026年9月12日

育成就労を行わせる体制の基準:指導員配置と受入れ人数枠

指導員配置と受入れ人数の上限は、常勤介護職員数を分母にした数式で定められています。

第二条は、事業所ごとに選任する育成就労指導員のうち1名以上が介護福祉士資格保有者等であること、かつ指導員の数が育成就労外国人の数を5で除した数以上(外国人5人につき指導員1人以上)であることを求めます。

第四条は受入れ人数枠を定めます。単独型育成就労(一定要件を満たすものを除く)は、事業所の常勤介護職員総数に20分の3を乗じた数(3人未満の端数は0人扱い)を基本とし、技能・日本語修得実績等を総合評価して高い水準と認められた申請者は10分の3を乗じた数まで拡大できます。監理型育成就労又は継続的・安定的な実施体制を出入国在留管理庁長官・厚生労働大臣が認めた単独型の場合は、常勤介護職員数の区分に応じた表(301人以上は20分の3、201〜300人は45人、101〜200人は30人、51〜100人は18人、41〜50人は15人、31〜40人は12人、21〜30人は9人、11〜20人は6人、10人以下は3人)を用い、高評価の申請者はこれを2倍、高評価の監理支援機関の監理を受けかつ事業所が指定区域内にある場合はこれを3倍とします。ただし事業所の育成就労外国人総数は常勤介護職員総数を超えません。

常勤介護職員数の区分別・受入れ人数枠(監理型等の基本表)
常勤介護職員の総数育成就労外国人の数
301人以上常勤介護職員総数の20分の3
201〜300人45人
101〜200人30人
51〜100人18人
41〜50人15人
31〜40人12人
21〜30人9人
11〜20人6人
10人以下3人

出典:厚生労働省告示第百五十六号「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則の規定に基づき介護分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等」(確認日:2026年9月4日

訪問系サービスと事業所の設備基準

利用者の自宅でサービスを提供する場合は、実務経験・講習・同行訓練など追加の要件が課されます。

第三条は、事業所の設備基準として介護等の業務を行うものであることを求めたうえで、育成就労外国人を利用者の居宅でサービスを提供する介護等の業務に従事させる場合には、実務経験等を有する者のみをその業務に従事させること、業務の基本事項・生活支援技術等を修得させる講習の実施、従事開始から一人で適切に行えると認められるまでの一定期間の同行訓練、キャリアアップ計画の作成、ハラスメント相談窓口の設置、緊急時連絡体制の整備を追加で求めています。

同条第三号は、事業所が開設後3年以上経過していること、経営法人の他事業所が3年以上経過していること、又は研修体制・相談体制・受入れ前の説明会・法人内の協議体制が整っていることのいずれかに該当することも求めます。夜勤等の少人数状況下の業務や緊急対応が求められる業務に従事させる場合には、利用者の安全確保のための措置も必要です。

出典:厚生労働省告示第百五十六号「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則の規定に基づき介護分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等」(確認日:2026年9月4日

監理支援機関の業務実施基準

監理支援機関側にも、技能に関する経験・知識を持つ役員・職員の配置が求められます。

第六条は、修得させようとする技能について一定の経験又は知識を有する役員又は職員が、5年以上介護等の業務に従事した経験を有し介護福祉士の資格を有する者、又はこれと同等以上の専門的知識及び技術を有すると認められる者であることを、監理支援機関に求めています。

これらの基準は厚生労働省告示第156号として令和8年3月31日に制定され、令和9年4月1日の施行日から適用されます。最新の運用要領・様式は外国人技能実習機構の分野別ページで確認できます。

出典:厚生労働省告示第百五十六号「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則の規定に基づき介護分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準等」(確認日:2026年9月4日外国人技能実習機構「分野別運用方針・告示・運用要領等」(確認日:2026年9月4日

よくある質問

介護分野の育成就労「上乗せ基準」はどこで正式に確認できますか?

厚生労働省告示第156号(令和8年3月31日制定、令和9年4月1日施行)が根拠です。外国人技能実習機構のページで、分野別の告示・運用要領の掲載状況を確認できます。

育成就労指導員は何人配置すればよいですか?

事業所ごとに1名以上は介護福祉士資格保有者等であることに加え、指導員数は育成就労外国人数を5で除した数以上(外国人5人につき指導員1人以上)が必要です。

受入れ人数の上限はどう計算しますか?

単独型は常勤介護職員数の20分の3(高評価なら10分の3)が基本です。監理型等は職員数の区分表を用い、高評価の法人・監理支援機関・指定区域であれば倍率が上がります。

利用者の自宅でサービスを提供させることはできますか?

可能ですが、実務経験者のみの配置、講習・同行訓練の実施、キャリアアップ計画の作成、ハラスメント相談窓口の設置など、追加の要件を満たす必要があります。

介護分野の育成就労では、各段階で具体的にどんな試験に合格すればよいですか?

出入国在留管理庁の分野別運用方針は、技能水準について開始後1年経過時までに介護育成就労評価試験(初級)、終了までに介護育成就労評価試験(専門級)への合格を求めています。日本語能力水準は開始時から「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上が基本で、終了時にはこれに加えて介護特定技能評価試験(日本語)への合格が必要です。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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続けて確認する場合は、育成就労制度の全体像を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、特定技能・介護分野の対象施設と人数枠を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、工業製品製造業分野の上乗せ基準と比較するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、受入れ機関全体の共通基準を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

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