この記事の対象:介護事業所・医療機関で特定技能人材の受入れを検討する担当者

介護分野の特定技能について、対象施設、従事業務、人数枠に数える常勤介護職員、訪問系サービスの条件、協議会加入と派遣の可否を公的一次資料から整理します。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。

対象施設と、主たる業務を最初に照合する

介護事業所であれば一律に受け入れられるわけではありません。施設類型と担当業務を別々に確認します。

厚生労働省の対象施設一覧は、介護福祉士国家試験の受験資格要件で「介護等の業務」の実務経験として認める施設のうち、技能実習の対象になる現行施設を整理したものです。児童福祉法関係、障害者総合支援法関係、老人福祉法・介護保険法関係、生活保護法関係、その他の社会福祉施設等、病院又は診療所の6区分に分かれ、区分内にも対象となるものと一部のみ対象となるものがあります。名称だけで判断せず、一覧の凡例と注記を事業所ごとに照合してください。

特定技能で担当する主たる業務は、利用者の状態に応じた入浴・食事・排せつ・整容・衣服着脱・移動の介助等の身体介護等です。レクリエーションの実施や機能訓練の補助等の支援業務、掲示物管理や物品補充等の関連業務に付随的に従事することは差し支えない一方、関連業務だけに従事させることは認められません。求人票、雇用条件書、勤務シフトの業務内容を同じ根拠で確認します。

  • 対象施設一覧で事業所の類型と注記を照合した
  • 身体介護等を主たる業務として割り当てる
  • 関連業務だけの配置にならないことを勤務シフトで確認した

出典:厚生労働省「介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について」(確認日:2026年8月22日出入国在留管理庁「介護分野」(確認日:2026年8月3日法務省・厚生労働省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について-」(確認日:2026年8月11日

人数枠は「日本人等」と常勤介護職員を分けて数える

上限は事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を超えないこととされています。

分母となる「日本人等」には、日本人に加え、介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士、在留資格「介護」により在留する者、永住者、特別永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者など、身分又は地位に基づく在留資格等により在留する者が含まれます。これは例示を含む整理であり、3つだけに限定して扱いません。技能実習生、EPA介護福祉士候補者、留学生は「日本人等」に含まれません。

さらに、算定対象の職員は介護等を主たる業務として行う常勤職員です。介護施設の事務職員、就労支援を行う職員、看護業務を行う看護師・准看護師は含まれません。

一方、医療機関で療養生活上の世話等を行う診療報酬上の看護補助者と、同一病棟でその看護補助者を指導する看護師・准看護師は、算定基準に含まれます。人員台帳の職種名だけでなく、実際の主たる業務と勤務形態を確認してください。

人数枠の分母に数える主な区分
区分分母に数えるか
日本人の常勤介護職員数える
EPA介護福祉士(国家試験合格者)数える
在留資格「介護」の在留者数える
永住者・特別永住者・日本人の配偶者等・定住者など数える
技能実習生・EPA介護福祉士候補者・留学生数えない
介護施設の事務職員・就労支援を行う職員数えない
看護業務を行う看護師・准看護師数えない
医療機関の診療報酬上の看護補助者等数える

出典:法務省・厚生労働省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について-」(確認日:2026年8月11日出入国在留管理庁「介護分野」(確認日:2026年8月3日

訪問系サービスは追加の本人要件と事業所要件を確認する

特定技能では2025年4月21日から、一定の条件の下で訪問系サービスへの従事が認められています。

本人には、介護職員初任者研修課程等の修了と、原則として介護事業所等での実務経験1年以上が求められます。実務経験が1年未満の場合に高い日本語能力等を条件とする例外があり、同行訪問の期間も利用者ごとのサービス頻度に応じて定められています。施設内勤務と同じ条件で訪問系サービスへ配置できるわけではありません。

受入事業所は、事前の利用者・家族への説明に加え、訪問系サービスの基本事項等の研修、責任者等による同行訓練、キャリアアップ計画、ハラスメント対策、緊急時対応とICT活用を含む環境整備を行います。必要書類は、地方出入国在留管理局への在留申請時ではなく、巡回訪問等実施機関へ従事前に提出して確認を受けます。

  1. 本人の研修・実務経験を確認する

    初任者研修等と実務経験、例外を使う場合の日本語能力・同行要件を資料で確認します。

  2. 事業所の体制を整える

    研修、同行訓練、キャリアアップ計画、相談窓口、緊急時の連絡・ICT環境を整えます。

  3. 従事前に必要書類を提出する

    巡回訪問等実施機関の案内で書類と提出方法を確認します。

出典:厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」(確認日:2026年8月22日法務省・厚生労働省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について-」(確認日:2026年8月11日

協議会加入を申請前に終え、派遣を前提にしない

受入れ時期と雇用形態には、介護分野特有の制約があります。

介護分野で1号特定技能外国人を受け入れる場合、在留諸申請の前に介護分野の特定技能協議会へ加入します。令和6年6月15日以降は、初めて受け入れる場合も、在留諸申請で構成員であることの証明書が必要です。協議会加入に必要な期間と証明書の取得を、雇用開始日から逆算して採用工程へ入れてください。

介護分野の1号特定技能外国人は労働者派遣によるものではならず、派遣することも派遣された者を受け入れることもできません。違反した場合、以後5年間は特定技能外国人を受け入れられない取扱いです。また、介護分野は特定技能2号の対象外であり、在留期間と資格取得の計画は別途最新の公式資料で確認してください。

  • 在留諸申請より前の協議会加入を採用工程に入れた
  • 初回受入れでも構成員証明書が必要なことを確認した
  • 労働者派遣による配置を計画に含めていない
  • 特定技能2号の対象外である前提を確認した

出典:法務省・厚生労働省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について-」(確認日:2026年8月11日出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について」(確認日:2026年8月10日厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」(確認日:2026年8月15日

国全体の受入れ見込数13万5,000人の算定根拠を確認する

事業所単位の人数枠とは別に、国全体では5年間の受入れ上限が運用方針で定められています。

運用方針は、介護分野における令和6年度からの向こう5年間の受入れ見込数を最大13万5,000人とし、これを令和10年度末までの5年間の受入れの上限として運用するとしています。令和10年度の就業者数は約213万2,000人となる見込みで、同年度には22万7,000人程度の介護人材が不足すると推計されています。

この見込数は、介護ロボット・ICT等の活用による5年間で2%程度の生産性向上(4万7,000人程度)や、処遇改善、高齢者及び女性の就業促進等による追加的な国内人材の確保(4万5,000人程度)を行ってもなお不足すると見込まれる最大13万5,000人を、1号特定技能外国人の受入れ上限として運用するものです。事業所ごとに確認する「日本人等」の常勤介護職員数を分母とする人数枠(前掲)は、この国全体の受入れ上限とは別の枠組みです。

出典:「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」(閣議決定、別紙1)(確認日:2026年9月3日

よくある質問

人数枠は職場の全職員を数えてよいですか?

数えられません。上限は事業所単位の日本人等の常勤介護職員の総数で、分母に含める在留資格等と職種が定められています。特別永住者は含まれますが、技能実習生、EPA介護福祉士候補者、留学生は含まれません。

特定技能外国人に訪問介護を任せられますか?

本人の研修・実務経験等と、受入事業所の研修、同行訓練、計画、緊急時体制等の条件を満たす場合に限られます。従事前に巡回訪問等実施機関の確認を受けます。

人材派遣会社から介護の特定技能人材を受け入れられますか?

できません。介護分野では1号特定技能外国人について、派遣することも派遣された者を受け入れることもできません。

介護分野で特定技能2号へ移行できますか?

できません。介護分野は特定技能2号の対象分野ではありません。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する

続けて確認する場合は、受入れ機関全体の基準を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、介護職種の技能実習からの移行条件を見るで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、2号対象外分野の在留期間の考え方を見るで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、育成就労・介護分野の上乗せ基準を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、初年度費用の内訳を試算するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、介護分野の確認費目を表示するで条件と確認範囲をつなげられます。

個別の申請可否や審査結果を保証するものではありません。申請時点の最新資料と関係機関の案内を優先してください。