この記事の対象:鉄道事業者・軌道経営者で特定技能人材の受入れを検討する担当者
対象業務は6区分。区分ごとに技能水準試験が異なる
運輸係員だけ日本語要件がN3以上と高く設定されています。
運用要領別冊は、1号特定技能外国人が従事する業務区分を「軌道整備」「電気設備整備」「車両整備」「車両製造」「運輸係員」「駅・車両清掃」の6区分に分け、区分ごとに技能水準試験(鉄道分野特定技能1号評価試験の区分別試験、車両製造は技能検定3級との併用可)を定めています。日本語能力水準は運輸係員(駅係員、車掌、運転士等)のみ「日本語能力試験(N3以上)」が必要で、他の5区分は「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」です。
いずれの区分も、当該業務に従事する日本人が通常従事する関連業務(事務作業、作業場所の整理整頓や清掃等)への付随的な従事は認められますが、専ら関連業務にのみ従事することは認められません。
| 区分 | 主な対象業務 | 日本語要件 |
|---|---|---|
| 軌道整備 | 軌道等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等 | N4以上 |
| 電気設備整備 | 電路設備、変電所等設備、信号保安設備等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務等 | N4以上 |
| 車両整備 | 鉄道車両の整備業務等 | N4以上 |
| 車両製造 | 鉄道車両、鉄道車両部品等の製造業務等 | N4以上 |
| 運輸係員 | 駅係員、車掌、運転士等 | N3以上 |
| 駅・車両清掃 | 車両内部・外部の清掃、駅舎・ホームの清掃等 | N4以上 |
- 採用する候補者の対象業務区分(軌道整備/電気設備整備/車両整備/車両製造/運輸係員/駅・車両清掃)を確認した
- 区分ごとの技能水準試験(鉄道分野特定技能1号評価試験の区分別試験、車両製造は技能検定3級との併用可)を確認した
- 運輸係員はN3以上、他5区分はN4以上又は国際交流基金日本語基礎テストであることを確認した
技能実習2号からの試験免除は区分によって大きく異なる
免除ルートがある区分と、無い区分に分かれます。
運用要領別冊の別表(鉄道)によると、技能試験の免除ルートは区分ごとに差があります。次の技能実習2号を良好に修了していれば、技能試験が免除されます。
軌道整備区分は、「軌道施設保守整備」職種の「軌道保守整備」作業です。車両整備区分は、「鉄道車両整備」職種の「走行装置検修・解ぎ装」又は「空気装置検修・解ぎ装」作業です。車両製造区分は、機械加工・仕上げ・電子機器組立て・電気機器組立て・塗装・溶接等の作業です。
一方、電気設備整備区分・運輸係員区分・駅・車両清掃区分には免除等となる技能実習2号の欄が設けられておらず、免除ルート自体がありません。
日本語試験は、修了した技能実習2号の職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者は国際交流基金日本語基礎テスト及び日本語能力試験(N4以上)のいずれも免除されます。ただし、日本語能力試験(N3以上)の合格が求められる運輸係員の業務区分はこの免除の対象外です。
別冊は、令和9年4月1日以降の扱いも書いています。技能実習2号を良好に修了し、その技能が1号で従事する業務の技能と関連すると認められる場合は、令和9年4月1日以降も当分の間、技能と日本語能力の証明は要しません。
対象の職種・作業は別表で確認します。関連性が認められない場合は、技能の証明は必要ですが、日本語能力は当面の間、技能実習2号の修了の事実で証明されたものとして、別に証明する必要はありません(運輸係員の業務区分を除く)。
| 区分 | 技能試験の免除ルート |
|---|---|
| 軌道整備 | 技能実習2号「軌道施設保守整備」職種の「軌道保守整備」作業 |
| 電気設備整備 | 免除ルートなし |
| 車両整備 | 技能実習2号「鉄道車両整備」職種の「走行装置検修・解ぎ装」又は「空気装置検修・解ぎ装」作業 |
| 車両製造 | 機械加工・仕上げ・電子機器組立て・電気機器組立て・塗装・溶接等 |
| 運輸係員 | 免除ルートなし(日本語試験の免除対象外でもある) |
| 駅・車両清掃 | 免除ルートなし |
特定技能2号の受入れ可否(受入れ不可)
6区分いずれも2号への移行ルートはありません。
運用要領別冊は「なお、鉄道分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません」と明記しています。林業分野・木材産業分野と同様に、鉄道分野には6区分いずれについても2号への移行要件(実務経験年数等)自体が定められていません。
長期的な人材確保を計画する場合は、2号が無いことを前提に在留期間の見通しを立てる必要があります。育成就労制度への移行を含め、最新の公式資料で確認してください。
特定技能所属機関は鉄道事業法・軌道法の該当事業者に限られる
協議会加入に加え、事業の種類そのものが要件になっている点が他分野と異なります。
運用方針は、特定技能所属機関に対する条件として、鉄道事業法による鉄道事業者、軌道法による軌道経営者、又はこれら鉄道事業・軌道事業の用に供する施設若しくは車両の整備・車両の製造に係る事業を営む者であることを求めています。
これに加えて、国土交通省が設置する「鉄道分野特定技能協議会」の構成員になること、協議会及び国土交通省が行う調査・指導等に必要な協力を行うことが条件です。登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託する場合は、協議会・国土交通省への協力を行う登録支援機関に委託する必要があります。
雇用形態は直接雇用に限られます。鉄道分野の運用要領別冊も他分野と同じく、1号特定技能外国人を労働者派遣の対象とする契約や、派遣された者の受入れを禁じており、これに違反すると出入国に関する法令上の不正又は著しく不当な行為に該当し、以後5年間は特定技能外国人を受け入れられなくなります。
- 特定技能所属機関が鉄道事業法による鉄道事業者又は軌道法による軌道経営者等に該当することを確認した
- 国土交通省が設置する鉄道分野特定技能協議会の構成員であることを確認した
- 登録支援機関へ委託する場合、協議会・国土交通省への協力を行う登録支援機関であることを確認した
- 直接雇用であり労働者派遣に該当しないことを確認した
- 6区分いずれも特定技能2号への移行ルートが無い前提で在留期間の見通しを確認した
受入れ見込数4,000人の算定根拠を確認する
有効求人倍率は分野別ガイドの中でも高い水準です。
運用方針は、鉄道分野における令和6年度からの向こう5年間の受入れ見込数を最大4,000人とし、これを令和10年度末までの受入れの上限として運用するとしています。令和6年度の鉄道分野の有効求人倍率は2.60倍で、令和10年度には17万5,600人の就業者が必要となる中、2万500人程度の人手不足が生じると推計されています。
この見込数は、国内での対応でもなお不足すると見込まれる人数で、最大4,000人を上限として運用します。国内での対応とは、技術開発等による生産性向上(令和10年度までに2,400人程度)と、処遇改善の取組等による追加的な国内人材の確保(令和10年度までに1万4,100人程度)です。
内訳は、1号特定技能外国人が2,900人(5年間の上限)、育成就労外国人が1,100人(令和9年度からの2年間の上限)です。受入れ見込数を超えることが見込まれる場合は、在留資格認定証明書の交付を一時停止する仕組みがあります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 有効求人倍率(令和6年度) | 2.60倍 |
| 令和10年度の必要就業者数 | 17万5,600人 |
| 取組前に見込まれる人手不足 | 2万500人程度 |
| 生産性向上による緩和 | 令和10年度までに2,400人程度 |
| 国内人材確保による緩和 | 令和10年度までに1万4,100人程度 |
| 取組後もなお見込まれる人手不足=受入れ見込数(上限) | 4,000人(1号特定技能2,900人・育成就労1,100人) |
よくある質問
6区分とも技能実習2号を修了していれば技能試験は免除されますか?
区分によります。軌道整備・車両整備・車両製造の一部職種・作業を良好に修了していれば技能試験は免除されますが、電気設備整備・運輸係員・駅・車両清掃には免除ルート自体がなく、技能実習2号の経験にかかわらず該当区分の評価試験の合格が必要です。
運輸係員だけ日本語要件が違うのはなぜですか?
運輸係員(駅係員、車掌、運転士等)は旅客対応や安全運行に関わるため、他の5区分(N4以上)より高い日本語能力試験(N3以上)が求められています。技能実習2号良好修了者に対する日本語試験の免除も、運輸係員には適用されません。
鉄道分野で特定技能2号へ移行できますか?
できません。運用要領別冊は鉄道分野において特定技能2号での受入れを行うことができないと明記しています。
どんな会社でも特定技能所属機関になれますか?
なれません。鉄道事業法による鉄道事業者、軌道法による軌道経営者、又はこれらの事業の用に供する施設・車両の整備や車両の製造に係る事業を営む者であることに加え、国土交通省が設置する協議会の構成員になることが条件です。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「鉄道分野」(確認日:2026年8月24日、次回確認:2026年11月24日)
- 法務省・国土交通省編「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-鉄道分野の基準について-」(確認日:2026年9月5日、次回確認:2026年12月5日)
- 出入国在留管理庁「運用要領-鉄道分野の基準について-」の一部改正について(令和8年8月28日・新旧対照表)(確認日:2026年10月22日、次回確認:2027年1月22日)
- 「鉄道分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(閣議決定、別紙11)(確認日:2026年9月5日、次回確認:2026年12月5日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について」(確認日:2026年8月10日、次回確認:2026年11月10日)