この記事の対象:分野ごとの人件費の外側にある法定費用を見積もる特定技能所属機関の担当者、登録支援機関

労災保険料の計算式と負担者

労災保険料は、賃金総額に労災保険率を掛けて計算し、労災保険分は全額を事業主が負担します。

厚生労働省の案内は、労災保険料を「賃金総額 × 労災保険率」と示しています。賃金総額は、原則として事業主が雇用するすべての労働者に支払う賃金の総額です。労災保険率は事業の種類ごとに決まっていて、率表の区分は事業の種類だけです。

大阪労働局の案内は、労働保険料のうち労災保険料分は全額事業主負担、雇用保険料分は事業主と労働者の双方で負担するとしています。外国人本人の給与から労災保険料を引く扱いは、この案内からは読み取れません。

令和8年度の労災保険率は、令和7年度と同率です。実際の保険料額は賃金総額などで変わるため、ここでは額を示さず、率の比べ方だけを扱います。

出典:厚生労働省「『請負による建設の事業』における労務費率を用いた労災保険料の算定について」(確認日:2026年10月13日)、大阪労働局「労働保険料の計算方法」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「令和8年度の労災保険率等について(令和7年度と同率)」(確認日:2026年10月13日)

特定技能の分野ごとの事業の種類と令和8年度の率

細目表で分野の業務に当たる行が確認できたものだけを、事業の種類の番号と率に対応させました。

率は1,000分の何かで表され、たとえば3は賃金総額の0.3パーセント、23は2.3パーセントです。同じ分野でも、行う事業の内容で事業の種類が分かれることがあります。

自動車整備分野は、細目表に整備の事業を直接示す行を確認できなかったため、表に載せていません。工業製品製造業分野は製品ごとに番号が分かれるため、製造する製品に当たる行で確認します。

特定技能の分野と労災保険率(令和8年度、1,000分の。厚生労働省の率表と細目表から作成)
分野事業の種類(番号)率細目表の行
介護その他の各種事業(94)39432 社会福祉又は介護事業
外食業卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業(98)39802 飲食店
宿泊卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業(98)39803 宿泊業
自動車運送業(旅客)交通運輸事業(71)47102 自動車又は軽車両による旅客の運送事業
鉄道交通運輸事業(71)47101 鉄道、軌道又は索道による旅客又は貨物の運送事業
航空交通運輸事業(71)47104 航空機による旅客又は貨物の運送事業
飲食料品製造業食料品製造業(41)5.54101 食料品製造業
ビルクリーニングビルメンテナンス業(93)69301 ビルの総合的な管理等の事業
自動車運送業(貨物)貨物取扱事業(72)8.57203 自動車又は軽車両による貨物の運送事業
建設(建築工事)建築事業(既設建築物設備工事業を除く)(35)9.53501 鉄骨造り又は鉄骨鉄筋若しくは鉄筋コンクリート造りの家屋の建設事業
農業農業又は海面漁業以外の漁業(95)139501 土地の耕作又は植物の栽植、栽培若しくは採取の事業その他の農業、9502 動物の飼育若しくは畜産の事業又は養蚕の事業
漁業(海面漁業)海面漁業(定置網漁業又は海面魚類養殖業を除く)(11)181101 海面において行う水産動物の採捕の事業
造船・舶用工業(船舶製造)船舶製造又は修理業(59)235901 船舶製造又は修理業

出典:厚生労働省「令和8年度の労災保険率等について(令和7年度と同率)」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省告示第16号「労災保険率適用事業細目表」(確認日:2026年10月13日)

製造業と建設業は事業の内容で率が分かれる

工業製品製造業と建設は、行う事業の内容によって、同じ分野でも率が変わります。

製造業では、令和8年度の率表に、機械器具製造業(56)が1,000分の5、電気機械器具製造業(57)が3、その他の製造業(61)が6と並んでいます。どれに当たるかは、製造する製品で細目表に当たって決まります。

建設では、建築事業(35)が9.5、既設建築物設備工事業(38)が12、機械装置の組立て又は据付けの事業(36)が6、その他の建設事業(37)が15です。細目表では、鉄道又は軌道の改修、復旧又は維持の事業(3704)がその他の建設事業に入っています。請負による建設の事業で賃金総額を正確に算定することが困難な場合は、請負金額に労務費率を掛けて賃金総額を出す特例があります。

漁業は、海面漁業が18、定置網漁業又は海面魚類養殖業が37です。養殖を行う事業者は、海面で魚類を養殖するかどうかで事業の種類が変わるため、細目表(1201・1202)で確認します。

出典:厚生労働省「令和8年度の労災保険率等について(令和7年度と同率)」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省告示第16号「労災保険率適用事業細目表」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「『請負による建設の事業』における労務費率を用いた労災保険料の算定について」(確認日:2026年10月13日)

見積に入れる前に確認すること

率は事業の種類で決まるため、分野名ではなく、自社の事業が細目表のどの行に当たるかを基準にします。

この表の分野名は、事業の種類を探す目安です。実際にどの番号に当たるかは、所轄の労働局または労働基準監督署に確認してください。

農業の暫定任意適用事業の扱いは、今回確認した資料では分かりませんでした。農業で労災保険に加入しているかどうかは、所轄の労働局で確認してください。

  • 自社の事業所が加入している労災保険の事業の種類(番号)を、保険関係成立の書類で確認したか
  • 分野の表の行が、自社の実際の事業内容に当たるか(製造業・建設・漁業は特に)
  • 賃金総額に、外国人本人の賃金も含めて見積もったか
  • 保険料額は労働局・労働基準監督署の確認を優先すると、見積書に注記したか

出典:厚生労働省告示第16号「労災保険率適用事業細目表」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「『請負による建設の事業』における労務費率を用いた労災保険料の算定について」(確認日:2026年10月13日)

よくある質問

特定技能外国人の労災保険料は、本人が負担しますか?

大阪労働局の案内は、労働保険料のうち労災保険料分は全額事業主負担としています。雇用保険料分は事業主と労働者の双方が負担します。

労災保険率は、分野によってどのくらい違いますか?

令和8年度の率表では、介護・外食業・宿泊の1,000分の3から、造船・舶用工業の船舶製造の1,000分の23まで開きがあります。ただし率は事業の種類で決まり、分野名そのものでは決まりません。

令和8年度の労災保険率は、前の年度から変わりましたか?

厚生労働省の案内は、令和8年度の労災保険率を令和7年度と同率としています。

保険料の額はいくらになりますか?

保険料は賃金総額に率を掛けて決まりますが、賃金総額や制度の適用は事業所ごとに違うため、このガイドでは額を示しません。所轄の労働局または労働基準監督署に確認してください。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)