この記事の対象:建設分野で特定技能外国人を受け入れる元請・下請の建設会社の総務担当者、建設分野の人件費の外側にある労災保険料を見積もる登録支援機関

一括有期事業とは:複数の小さな工事を1つの保険関係にまとめる仕組み

建設の工事は、着工から完成までの期間が決まっている有期事業です。労働保険徴収法第7条は、一定の要件を満たす二以上の有期事業を、全部で一の事業とみなすと定めています。

同条の要件は、事業主が同一人であること、それぞれが有期事業であること、規模が厚生労働省令の定める規模以下であること、他のいずれかの事業と同時に行われること、そのほか省令の要件に当たることの5つです。工事ごとに保険関係を成立させて保険料を申告する代わりに、年度内に終わった工事をまとめて申告できます。

施行規則第6条は、規模と追加要件を具体的に定めています。請負金額は、平成27年4月1日以降に開始する建設の事業では、消費税額を除いた金額で判断します(厚生労働省のリーフレット)。

一括有期事業になる要件(建設の事業。施行規則第6条)
要件内容
概算保険料その工事の労働保険料に相当する額が160万円未満
請負金額1億8千万円未満(消費税額を除く。立木の伐採の事業は素材の見込生産量が1,000立方メートル未満)
保険関係労災保険の保険関係が成立している建設の事業(または立木の伐採の事業)
事業の種類一括する工事どうしが、同じ事業の種類(建築事業、その他の建設事業など)
納付事務労働保険料の納付の事務が1つの事務所で取り扱われる

保険加入者になるのは元請負人:下請の工事の扱い

大阪労働局の案内は、一括有期事業で保険加入者になるのは、施主から直接工事を受注した元請負人だとしています。

同じ案内は、下請負人や孫請負人は保険加入する必要がないとしています。兵庫労働局の案内は、建設の事業は数次の請負で施工されるのが通常で、元請事業主が下請負労働者を含めた工事全体の支払賃金総額を正確に把握するのは難しい場合もあるため、賃金総額を請負金額から計算する特例が認められているとしています。

このため、特定技能外国人を雇う建設会社が元請なのか下請なのかで、労災保険料を申告する側が変わります。受入れ費用を見積もる前に、自社が請け負う工事の契約上の立場を確認してください。

厚生労働省のリーフレットは、下請負人の事業を分離して独立の保険関係を成立させる場合、一括の要件に当たらない規模(請負金額1億8千万円以上)であることが必要で、元請負人と下請負人が都道府県労働局長に申請して認可を得る必要があるとしています。

手続の流れ:保険関係成立届は10日以内、一括有期事業開始届は廃止

一括される有期事業は、特別な申請を待たず自動的に一括されます(兵庫労働局)。最初に行うのは、保険関係成立届の提出です。

兵庫労働局の案内では、有期事業の一括に含まれる事業を一番最初に着手した日から10日以内に、事務所の所在地を管轄する労働基準監督署へ保険関係成立届(様式第1号)を出します。続いて、保険関係が成立した日から50日以内に概算保険料申告書を出し、保険料を納付します。

従来は、それぞれの事業を始めるたびに翌月10日までに一括有期事業開始届を出す必要がありました。福井労働局が掲載する厚生労働省のリーフレットによれば、平成31年4月1日以降に開始する一括有期事業では、この届出と地域要件が廃止されています。遠隔地で行う工事も含めて一括できます。

年度が終わると、算定年度内に終了した一括有期工事をまとめて保険料を算定します。大阪労働局の案内は、提出書類を概算確定保険料申告書、一括有期事業報告書、一括有期事業総括表としています。確定保険料の申告書の期限は、徴収法第19条第1項が、次の保険年度の6月1日から40日以内(7月10日まで)と定めています。

  1. 保険関係成立届

    最初の工事に着手した日から10日以内に、事務所を管轄する労働基準監督署へ提出します。

  2. 概算保険料申告書

    保険関係が成立した日から50日以内に、申告書と納付書で保険料を納めます。

  3. 年度更新

    年度内に終了した工事をまとめ、概算確定保険料申告書、一括有期事業報告書、総括表を出します。

保険料の計算:賃金総額、または請負金額に労務費率を掛けて出す

一括有期事業の保険料は、元請の事業主が使用するすべての労働者の賃金総額に、事業の種類ごとの保険率を掛けて算定します(大阪労働局)。

賃金総額を正確に出すのが難しい場合は、請負金額から賃金総額を計算する特例を使えます。計算式は「請負金額 × 労務費率 × 保険率」です(兵庫労働局・大阪労働局)。

労務費率は事業の種類ごとに定められた率で、厚生労働省が改定することがあります。実際の率は、工事の開始時期に適用される労働局の案内で確認してください。

請負金額は、請負代金の額に、支給資材等の評価額を加え、工事用物に関する告示で定める額を引いて求めます。支給資材と告示の工事用物がなければ、請負代金がそのまま請負金額です。消費税額の扱いは工事の開始時期で異なり、平成27年4月1日以降の工事は消費税額を除きます。

一括有期事業報告書は工事ごとに書きますが、請負金額が500万円未満の工事は、事業の種類別に「○○工事他○○件」とまとめて書けます。後日の調査で内訳が分かるように、元の記録は残してください。

請負金額から賃金総額を出すときの消費税の扱い(大阪労働局の案内)
工事の開始日請負金額の扱い
平成25年9月30日以前消費税を含む(暫定措置なし)
平成25年10月1日〜平成27年3月31日消費税を含み、108分の105を掛ける暫定措置あり
平成27年4月1日以降消費税を除く

よくある質問

一括有期事業開始届は、いまも必要ですか?

平成31年4月1日以降に開始する一括有期事業では廃止されています。福井労働局が掲載する厚生労働省のリーフレットで確認できます。代わりに、最初の工事に着手した日から10日以内の保険関係成立届が必要です。

請負金額が1億8千万円以上の工事はどうなりますか?

一括の対象にならず、その工事ごとに保険関係を成立させて申告する扱いになります。個別の手続は管轄の労働基準監督署に確認してください。

下請の建設会社も一括有期事業の保険に加入しますか?

大阪労働局の案内は、保険加入者は施主から直接受注した元請負人で、下請負人と孫請負人は加入の必要がないとしています。

一括の対象かどうかを判断する請負金額は、消費税込みですか?

平成27年4月1日以降に開始する建設の事業では、消費税額を除いた請負金額で判断します。厚生労働省のリーフレットで確認できます。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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