この記事の対象:海外から特定技能外国人を受け入れる企業の人事・総務担当者、事前ガイダンスと送出機関への支払いの確認方法を整理したい担当者

特定技能で禁止される保証金の徴収・財産の管理・違約金契約の範囲を、出入国在留管理庁の運用要領・FAQから整理します。あわせて、禁止に反したときの欠格事由(5年間受入れ不可)、入国前の事前ガイダンスの確認項目と実施時期、送出機関への支払いの合意も扱います。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。

禁止される保証金・財産の管理・違約金契約の範囲

禁止の対象は受入れ機関だけでなく、本国や日本の仲介事業者(ブローカー)まで幅広く含まれます。

出入国在留管理庁の運用要領は、上陸基準省令(特定技能1号)の規定として、次の2点を求めています。1点目は、申請人やその配偶者、直系・同居の親族など密接な関係のある人が、特定技能雇用契約に基づく活動に関連して、保証金の徴収などの名目を問わず、金銭その他の財産を管理されていないことです。2点目は、特定技能雇用契約の不履行について違約金を定める契約など、不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約が結ばれておらず、今後も結ばれないと見込まれることです。

運用要領は、この規定に特段の主語がないのは、特定技能所属機関や登録支援機関、職業紹介事業者などの関与する仲介事業者に限らず、本国及び日本の仲介事業者(ブローカー)等を含めて幅広く規制の対象とするためだと説明しています。出入国在留管理庁の「雇用における注意点」でも、受入れ機関の基準の一つとして「保証金の徴収や違約金契約を締結していないこと」が挙げられています。

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「雇用における注意点」(確認日:2026年8月2日)

「不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約」に当たる例

失踪した場合の違約金だけでなく、相談や外出を禁じて違約金を定める契約なども例として挙げられています。

運用要領は、「不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約」に当たるものとして、特定技能所属機関から失踪することなど労働契約の不履行に係る違約金を定める契約を挙げています。あわせて、地方出入国在留管理局や労働基準監督署などの関係行政機関に法令違反の相談をすること、休日に許可を得ずに外出すること、作業時間中にトイレ等で離席することなどを禁じて、その違約金を定める契約も該当するとしています。

そのほか、受入れ外国人が一定期間勤務することを停止条件として貸付金の返済を免除する契約、返済の途中で退職した場合に貸付金の残額を一括で返済させる契約、商品やサービスの対価として不当に高額な料金の徴収を予定する契約も、運用要領は該当例として示しています。契約書の個別の条項がこれらに当たるかどうかは、このページでは判断できないため、出入国在留管理庁や専門家に確認してください。

運用要領が挙げる「不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約」の例
類型運用要領の記載の要点
失踪などの違約金特定技能所属機関から失踪することなど労働契約の不履行に係る違約金を定める契約
相談・外出・離席の禁止行政機関への法令違反の相談、休日の無許可外出、作業時間中の離席などを禁じ、違約金を定める契約
貸付金の返済免除の条件一定期間勤務することを停止条件として貸付金の返済を免除する契約
退職時の一括返済返済の途中で退職した場合に貸付金の残額を一括で返済する契約
不当に高額な対価商品またはサービスの対価として不当に高額な料金の徴収を予定する契約

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)

認識して契約した場合の欠格事由と、確認の書類

保証金の徴収や違約金契約を認識して雇用契約を結ぶと、欠格事由に当たり5年間受入れができなくなります。

運用要領の留意事項は、特定技能外国人やその親族等が保証金の徴収や財産の管理をされ、または違約金契約を締結させられていることなどを認識して特定技能雇用契約を結んで受け入れた場合には、出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為を行ったものとして欠格事由に該当し、5年間受入れができなくなると記載しています。そのため、雇用契約を結ぶ時点で十分に確認するよう求めています。

確認の対象書類として運用要領が挙げるのは、雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1-16号)と1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)です。どちらも申請人が十分に理解できる言語に翻訳し、内容を理解したうえで署名することが求められています。なお運用要領は、一定の事業規模があり適正な受入れが見込まれる機関には、雇用の経緯に係る説明書の提出を省略できる場合があるとも記載しています。

  • 雇用の経緯に係る説明書と支援計画書を、本人が理解できる言語に翻訳して署名をもらう
  • 保証金の徴収・財産の管理・違約金契約が本人や親族にないかを、雇用契約の締結前に確認する
  • 仲介事業者や送出機関の契約書に、違約金の定めがないかを確認する

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)

事前ガイダンスで説明・確認する項目と実施時期

事前ガイダンスでは労働条件などに加え、保証金・違約金契約が違法で禁止されていることを説明し、徴収等がないことを確認します。

出入国在留管理庁の支援の案内では、事前ガイダンスは義務的支援10項目の1つで、雇用契約の締結後、在留資格認定証明書交付申請前(または在留資格変更許可申請前)に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について、対面やテレビ電話等で説明するものとされています。FAQのQ86でも、事前ガイダンスは在留資格認定証明書交付申請の前に実施するよう案内されています。

FAQのQ85は、提供する情報として、業務の内容や報酬の額等の労働条件に関する事項のほか、保証金の徴収や契約不履行に伴う違約金を定める契約を結ぶことは違法であることなどを挙げています。運用要領は、特定技能所属機関が事前ガイダンスで保証金・違約金契約が違法で禁止されていることを説明したうえで、保証金の徴収等がないことを確認し、徴収等が行われていることを確認した場合には速やかに地方出入国在留管理局に情報提供するよう求めています。

記録については、運用要領が支援の実施に関する管理簿として、事前ガイダンスの実施担当者(通訳人を含む)の氏名と所属、実施日時と場所、実施内容(情報提供内容)、実施方法などを記載するよう示し、事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)を保存するよう求めています。支援の状況に係る文書は、特定技能雇用契約の終了日から1年以上備えて置く必要があります。

  • 事前ガイダンスを在留資格認定証明書交付申請の前に実施する
  • 労働条件に加えて、保証金・違約金契約が違法で禁止されていることを説明する
  • 保証金の徴収等がないことを本人に確認し、確認書(参考様式第5-9号)を保存する
  • 実施日時・場所・担当者(通訳人を含む)・内容・方法を記録し、契約終了日から1年以上備える

出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」(確認日:2026年7月26日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)

送出機関への支払いの額と内訳の合意、二国間取決め

外国の機関に費用を支払っている場合は、その額と内訳を本人が十分に理解して合意していることが求められます。

運用要領が引用する上陸基準省令は、申請人が特定技能雇用契約の申込みの取次ぎまたは外国での活動の準備に関して外国の機関に費用を支払っている場合には、その額と内訳を十分に理解して当該機関との間で合意していることを求めています。運用要領は、これは不当に高額な費用を支払い多額の借金を抱えて来日することがないよう設けられたものだと説明しています。

同じ箇所で運用要領は、旅券の取得等に要した費用など社会通念上、本人が負担することに合理的な理由が認められるものは、各国の法制に従い適法に徴収されることが前提だとしています。職業紹介事業者や外国の機関が関与する場合、受入れ機関には、本人が外国の機関から徴収された費用の額と内訳を十分に理解し合意したうえで徴収されていることを確認することが求められます。

悪質な仲介事業者の排除のため、出入国在留管理庁は送出国政府との間で二国間取決めを作成しています。FAQのQ98によると、令和7年12月1日時点の作成国はフィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイ、インド、マレーシア、ラオス、キルギス、タジキスタンの17か国です。Q100は、取決めを作成していない国の外国人であっても受け入れることはできるとしています。最新の作成状況は、出入国在留管理庁の案内で確認してください。

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)

よくある質問

保証金や違約金の禁止は、受入れ機関だけが対象ですか?

受入れ機関だけではありません。運用要領は、登録支援機関や職業紹介事業者などの関与する仲介事業者のほか、本国及び日本の仲介事業者(ブローカー)等を含めて幅広く規制の対象とするとしています。

保証金や違約金契約を知らずに受け入れた場合も欠格になりますか?

運用要領は、保証金の徴収や違約金契約を認識して雇用契約を結んで受け入れた場合に、欠格事由に該当し5年間受入れができなくなるとしています。契約を結ぶ時点で十分に確認するよう求めています。個別の事案の扱いは出入国在留管理庁に確認してください。

事前ガイダンスはいつまでに実施しますか?

FAQのQ86は、在留資格認定証明書交付申請の前に実施するよう案内しています。支援の案内では、雇用契約の締結後、在留資格認定証明書交付申請前または在留資格変更許可申請前とされています。

事前ガイダンスで保証金についてどんな説明をしますか?

FAQのQ85は、保証金の徴収や契約不履行に伴う違約金を定める契約を結ぶことは違法であることなどを、労働条件とあわせて提供する情報に挙げています。運用要領は、徴収等がないことの確認と、徴収等を確認した場合の地方出入国在留管理局への情報提供も求めています。

二国間取決めを作成していない国の人は受け入れられませんか?

FAQのQ100は、二国間取決めを作成した国の国籍であることを受入れの要件としていないため、作成していない国の外国人でも受け入れられるとしています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する

続けて確認する場合は、特定技能の受入れ費用の内訳を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、海外から採用するときの手続の流れを確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、支援計画の義務的支援10項目を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、育成就労で送出機関に支払う費用の上限を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

個別の申請可否や審査結果を保証するものではありません。申請時点の最新資料と関係機関の案内を優先してください。