この記事の対象:特定技能外国人の雇用管理や採用ルートを点検する受入れ企業の担当者、登録支援機関の担当者
第3条・第5条・第6条は、労働条件の総則にある3つの禁止
労働基準法の第3条は国籍による差別的取扱い、第5条は強制労働、第6条は中間搾取を禁じています。どれも、国籍に関係なくすべての労働者に適用される総則の規定です。
条文は、特定技能外国人だけを対象にしたものではありません。日本人の労働者と同じ規定が、特定技能外国人にもそのまま当てはまります。
罰則の重さは条文ごとに異なります。下の表は、e-Gov法令検索の条文から、禁止の内容と罰則を並べたものです。
| 条 | 禁止の内容 | 罰則の条 | 罰則 |
|---|---|---|---|
| 第3条 | 国籍、信条または社会的身分を理由とした、賃金、労働時間その他の労働条件の差別的取扱い | 第119条第1号 | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 第5条 | 暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段による、労働者の意思に反した労働の強制 | 第117条 | 1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金 |
| 第6条 | 法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得ること | 第118条第1項 | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
第5条:意思に反する労働の強制の禁止
第5条は、使用者が、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならないと定めています。
条文は、手段と結果の両方を書いています。手段は、暴行、脅迫、監禁、そのほか精神または身体の自由を不当に拘束するものです。結果は、労働者の意思に反した労働の強制です。
違反した場合の罰則は、第117条により、1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金です。第3条や第6条より重い罰則が置かれています。
個別の事案がこの条文に当たるかどうかは、事実関係で決まります。労働基準監督署や弁護士などに確認してください。
第6条:業として就業に介入し利益を得る行為の禁止
第6条は、何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないと定めています。対象は使用者に限らず、「何人も」です。
例外は、法律に基いて許される場合です。たとえば職業安定法は、有料の職業紹介事業を行おうとする者に、厚生労働大臣の許可を求めています(第30条第1項)。
違反した場合の罰則は、第118条第1項により、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
海外の送出し機関やあっせん業者に支払う手数料の扱いは、第6条だけでは決まりません。特定技能の保証金や違約金に関する基準は、別のガイドで扱っています。
保証金や違約金の禁止の範囲は、特定技能の保証金・違約金の禁止範囲と欠格5年で確認できます。
採用ルートの側にも、職業安定法の禁止と許可の欠格事由がある
職業安定法は、職業紹介や労働者の募集の場面にも、強制労働と同じ手段の禁止と、労働者供給事業の禁止を置いています。
第63条第1号は、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、職業紹介、労働者の募集もしくは労働者の供給を行い、またはこれらに従事したときを、1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金としています。
第44条は、次条に規定する場合を除き、労働者供給事業を行うことと、その事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させることを、何人にも禁じています。
第32条第1号は、出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項の罪で罰金の刑に処せられ、その執行を終わるなどした日から5年を経過しない者に、有料職業紹介事業の許可をしないと定めています。
特定技能の基準省令も、保証金の徴収や違約金を定める契約など、不当に金銭その他の財産を移転する契約に関する定めを置いています(第2条)。
受入れ企業が点検する項目
条文に照らして点検できるのは、本人の意思に反する拘束がないことと、採用ルートに利益を得る第三者が入っていないかの2点です。
点検は、制度の説明を前提にした自己確認です。個別の事案が違反に当たるかどうかの判断や、是正の方法は、労働基準法や職業安定法に詳しい専門家、または労働基準監督署に確認してください。
貯蓄金を会社が管理する場合は、労使協定や届出などの条件が、第18条に別に定められています。詳しくは別のガイドで確認できます。
貯蓄金の管理は、特定技能外国人の社内預金・貯蓄金の管理で確認できます。
- 旅券や在留カードを、会社が保管していないか(保管が本人の意思に反する拘束にならないか)
- 外出、通信、帰国を制限する社内の取り決めや運用がないか
- 採用の紹介や手続に関わった者に、許可の有無を確認したか
- 保証金、違約金、手数料の名目で、本人から金銭を取っていないか
- 労働条件の説明が、国籍によって日本人と不当に異なっていないか
よくある質問
労働基準法第5条は、どのような行為を禁じていますか?
暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制することです。違反には、第117条により1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金が定められています。
中間搾取の排除とは、何を禁じる規定ですか?
第6条は、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得ることを、何人にも禁じています。違反には、第118条第1項により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。
有料の職業紹介は、中間搾取に当たりますか?
職業安定法は、有料の職業紹介事業を厚生労働大臣の許可制にしています(第30条第1項)。個別の事案が第6条に当たるかどうかは事実関係で決まるため、労働基準監督署や専門家に確認してください。
これらの規定は、特定技能外国人にも適用されますか?
第3条、第5条、第6条は、国籍で区別せず労働者に適用される総則の規定です。特定技能外国人だけを対象にした別の定めはありません。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- e-Gov法令検索「職業安定法」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2027年1月15日)
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日、次回確認:2026年12月1日)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日、次回確認:2026年12月6日)