この記事の対象:特定技能外国人の採用で国内の人材紹介会社の見積書を受け取った事業主・人事担当者、紹介手数料の計算方式と徴収できる相手を確認したい担当者

採用で関わる手数料の方式:受付・上限制・届出制・求職者の4つ

厚生労働省の業務運営要領は、有料職業紹介事業者が受けてよい手数料を、法律に定める方式に限っています。ここでは、特定技能の採用で関わる4つを取り上げます。

職業安定法第32条の3は、許可を受けた有料職業紹介事業者が、いかなる名義でも、法律に定める方式以外の実費や報酬を受けてはならないと定めています。見積書に別の名目の費用が並んでいるときは、どの方式の手数料にあたるかを事業者に確認します。

このガイドが扱うのは、日本国内で許可を受けた有料職業紹介事業者に払う手数料です。海外の送出機関や現地での手続の費用は含みません。国別の流れは別のガイドで整理しています。

海外から採用する場合の国別の手続は海外からの採用手続のガイドで確認できます。

要領が定める手数料の方式と組み合わせ(厚生労働省の業務運営要領 第6 手数料より)
方式徴収する相手額の決まり方組み合わせ
求人受付手数料求人者求人1件につき710円を限度(免税事業者は660円)。手数料表の届出は不要上限制と組み合わせる。届出制とは組み合わせない
上限制手数料求人者または関係雇用主次の節の上限額まで求人受付手数料と組み合わせる
届出制手数料求人者または関係雇用主厚生労働大臣へ届け出た手数料表の額求人受付手数料とは組み合わせない
求職者手数料求職者原則として徴収できない(第4節)対象の職業が限られる

上限制の上限額:賃金額の100分の11と、6か月超の扱い

上限制手数料は、支払われた賃金額を基準に、場面ごとの上限額が決まっています。

要領は、通常の上限を、支払われた賃金額の100分の11(免税事業者は100分の10.3)に相当する額としています。同一の者が引き続き6か月を超えて雇用された場合は、6か月間の雇用に係る賃金について、同じ率で計算します。

期間の定めのない雇用契約で6か月を超えて雇用された場合だけは、2つの額のうち大きい額が上限です。1つは6か月間の賃金額の100分の11(免税事業者は10.3)。もう1つは、6か月間の賃金額から臨時に支払われる賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除いた額の100分の14.8(免税事業者は13.9)です。

徴収の時期は、基礎となる賃金が支払われた日以降が原則です。必要な清算の措置を約して徴収する場合は、求人の申込みを受理した後から徴収できます。求人者と関係雇用主の双方から徴収する場合、上限額は両者の合計に適用されます。

見積書の費目を並べて比べる方法は見積書の費用内訳の確認表で確認できます。

上限制手数料の上限額(要領 第6の1(3)。免税事業者は括弧内の率)
場面上限額
通常支払われた賃金額の100分の11(10.3)
同一の者を引き続き6か月を超えて雇用(期間の定めのない雇用を除く)6か月間の雇用に係る賃金額の100分の11(10.3)
期間の定めのない雇用契約で、引き続き6か月を超えて雇用6か月間の賃金額の100分の11(10.3)と、臨時賃金などを除いた6か月間の賃金額の100分の14.8(13.9)のうち大きい額

届出制は手数料表の額。国籍などで額を変える表は変更命令の対象

届出制手数料の額は、事業者が厚生労働大臣へ届け出た手数料表で決まるため、上限制のような一律の率はありません。

一つの事業者が、取り扱う分野に応じて上限制と届出制を併用することは差し支えないと要領に書かれています。ただし、同じ相手に対して両方を併用して徴収することはできません。

手数料表が、特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものであるとき、または手数料の種類や額が明確に定められておらず著しく不当と認められるときは、厚生労働大臣が変更を命じることができます(職業安定法第32条の3第4項)。要領は、手数料の額が明確でなく著しく不当かどうかの判断の例として、求人者や求職者の人種・国籍などによって額に高低を設ける場合を挙げています。

手数料表の額は事業者ごとに異なり、公的な統計で相場を確認することはできません。見積書では、どの方式か、手数料表のどの行にあたるかを事業者に確認します。

求職者から徴収できない原則と、特定技能の基準省令

紹介手数料を負担するのは求人者側が原則で、求職者本人から徴収することは法律で原則として禁じられています。

職業安定法第32条の3第2項は、有料職業紹介事業者は求職者から手数料を徴収してはならないと定めています。例外は、求職者の利益のために必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に限られます。

要領は、求職者から徴収できる対象として「芸能家」「モデル」と、「経営管理者」「科学技術者」「熟練技能者」を挙げています。後者の3つは、就職した職業の賃金が年収700万円相当を超える場合に限られます。

このほかに、芸能家、家政婦(夫)、配ぜん人、調理師、モデル、マネキンの求職受付手数料を1件710円(免税事業者は660円)を限度として受けられる経過措置があります(令和7年4月版の厚生労働省パンフレット)。自分の採用する職種が当たるかは、紹介事業者や都道府県労働局に確認します。

特定技能には、手数料とは別に、受入れ機関側の基準もあります。基準省令第2条第1項は、外国人が保証金の徴収や違約金の契約をされていることを認識して特定技能雇用契約を結ばないこと(第6号)、1号特定技能外国人支援に要する費用を直接または間接に外国人へ負担させないこと(第8号)を求めています。

保証金と違約金の禁止は保証金・違約金の禁止のガイドで確認できます。

契約前の明示事項と、返戻金・転職勧奨の扱い

有料職業紹介事業者には、手数料に関する事項を求人者と求職者の双方へ明示する義務があります。

職業安定法第32条の13は、取扱職種の範囲、手数料に関する事項、苦情の処理に関する事項などの明示を求めています。厚生労働省のパンフレットは、求職者に対しては求職者から徴収する手数料と求人者から徴収する手数料の両方を明示することと、返戻金制度に関する事項を求人者と求職者に明示することを挙げています。

パンフレットは、有料職業紹介事業者が返戻金制度を設けることが望ましいとしていますが、設けることを義務とは書いていません。返戻金の有無や条件は事業者ごとに異なり、公的な統計でも確認できないため、契約書で確認します。

パンフレットは、早期離職を防ぐための遵守事項として、期間の定めのない労働契約で就職した人に対し、紹介した職業紹介事業者が就職日から2年間、転職の勧奨をしてはならないことも示しています。

紹介手数料を含む総額の見方は受入れ費用の内訳のガイドで確認できます。

  1. 1. 方式を聞く

    上限制か届出制か、求人受付手数料を別に取るかを、見積書の段階で確認します。

  2. 2. 額の根拠を聞く

    上限制なら上の表のどの場面にあたるか。届出制なら手数料表のどの行にあたるかを確認します。

  3. 3. 返戻金と徴収の相手を確認する

    返戻金の条件を契約書で確認し、求職者本人に手数料や費用が及ばない設計かを確かめます。

よくある質問

人材紹介会社に払う紹介手数料の上限はいくらですか?

上限制手数料なら、通常は支払われた賃金額の100分の11(免税事業者は100分の10.3)に相当する額が上限です。届出制手数料の場合は、事業者が厚生労働大臣へ届け出た手数料表の額になり、一律の上限はありません。

外国人本人から紹介手数料を取ることはできますか?

職業安定法第32条の3第2項は、求職者から手数料を徴収してはならないと定めています。例外は、芸能家・モデルなど、要領が対象を限って挙げた職業です。採用する職種が当たるかは、紹介事業者や都道府県労働局に確認してください。

求人受付手数料とは何ですか?

求人の申込みを受理したときに、求人者から1件につき710円(免税事業者は660円)を限度として受けられる手数料です。手数料表の届出は不要で、上限制手数料と組み合わせて徴収されます。届出制手数料とは組み合わせません。

返戻金制度は必ず設けられていますか?

厚生労働省のパンフレットは、返戻金制度を設けることが望ましいとしていますが、義務とは書いていません。一方、返戻金制度に関する事項は、求人者と求職者に明示することが求められています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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