この記事の対象:特定技能外国人の求人や募集を出す、または求人票を作る企業の人事・労務担当者
明示の義務:求人の申込みと募集の段階
職業安定法第5条の3は、募集や求人の段階で、従事すべき業務の内容と賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう定めています。
労働者の募集を行う者は、募集に応じて労働者になろうとする者に対し、業務の内容と労働条件を明示しなければなりません(第1項)。ハローワークや職業紹介事業者に求人を申し込む求人者も、申込みに当たって同じ事項を明示します(第2項)。
労働契約を結ぶ場面は、労働基準法第15条が別に定めています。使用者は労働契約の締結に際し、労働者に賃金、労働時間その他の労働条件を明示します。募集・求人の段階の明示は職業安定法、契約締結の際の明示は労働基準法と、場面が分かれています。
求人メディアに募集情報を掲載する場合について、厚生労働省のリーフレットは、掲載した時点を明示するなど、情報を正確かつ最新の内容に保つ義務があるとしています。
明示する事項:施行規則第4条の2第3項の一〜九号
明示する事項は、職業安定法施行規則第4条の2第3項が定めています。
業務の内容には、従事すべき業務の内容の変更の範囲を含みます。就業の場所にも、就業の場所の変更の範囲を含みます。
有期労働契約の更新の基準には、通算契約期間または更新回数に上限の定めがある場合、その上限を含みます。更新の基準の事項は、期間の定めのある労働契約の場合の事項です。
賃金は、臨時に支払われる賃金、賞与などを除いた額について明示します。社会保険は、健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の適用に関する事項です。
試みの使用期間中と、期間が終了した後で業務の内容や条件が異なるときは、それぞれの内容を示して明示します(同条第6項)。
| 号 | 明示事項 | 括弧書きで含まれるもの |
|---|---|---|
| 一 | 従事すべき業務の内容 | 業務の内容の変更の範囲 |
| 二 | 労働契約の期間 | なし |
| 二の二 | 試みの使用期間 | なし |
| 二の三 | 有期労働契約を更新する場合の基準 | 通算契約期間・更新回数の上限 |
| 三 | 就業の場所 | 就業の場所の変更の範囲 |
| 四 | 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日 | なし |
| 五 | 賃金の額(臨時に支払われる賃金、賞与などを除く) | なし |
| 六 | 健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の適用 | なし |
| 七〜九 | 雇用しようとする者の氏名・名称、派遣労働者として雇用する旨、受動喫煙を防止するための措置 | なし |
明示の方法と、変更・追加するときのルール
明示は、原則として書面の交付で行います。
ファクシミリや電子メールなどの方法は、書面の交付を受ける人がその方法を希望した場合に使えます。電子メールは、記録を出力して書面を作成できるものに限られます(施行規則第4条の2第4項)。緊急の必要があって書面などの方法によれない場合の扱いも、同項に定めがあります。
最初に明示した内容を、労働契約を結ぶ前に変更する場合や、明示した内容を特定、削除、追加する場合は、その変更する内容を明示します(法第5条の3第3項、施行規則第4条の2第1項・第2項)。厚生労働省のリーフレットも、面接などの過程で当初明示した労働条件が変わるときは、変更内容を明示する必要があるとしています。
明示した内容を記録して保存する義務もあります(同条第7項)。求人者が公共職業安定所から紹介を受けたときの採否の通知は、同条第8項が定めています。
- 求人票・募集広告に、業務の内容と変更の範囲を書いている
- 就業の場所と、その変更の範囲を書いている
- 有期契約のとき、更新の基準と、通算期間・更新回数の上限の有無を書いている
- 賃金、労働時間、休日、社会保険の適用を書いている
- 明示の方法は書面を基本にし、メールは相手が希望したときだけにしている
- 面接で条件が変わるときは、変更内容を明示している
違反したときの行政の対応
第5条の3第2項・第3項に違反する求人者には、厚生労働大臣が是正を勧告できます(法第48条の3第2項)。
募集を行う者には、第48条の3第1項により改善命令が出せます。募集を行う者への命令、または求人者への勧告に従わないときは、その旨を公表できます(同条第3項)。
罰則の対象は、命令に違反したときです(法第65条第8号、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)。第65条の各号に、第5条の3の違反そのものは挙がっていません。虚偽の条件を提示して募集する場合は、別に法第65条の対象です。
個別の求人票の書き方や、自社が明示義務の対象かは、所轄のハローワークに確認してください。
よくある質問
求人票と労働条件通知書は同じですか?
場面が違います。求人・募集の段階の明示は職業安定法第5条の3、労働契約を結ぶ際の明示は労働基準法第15条が定めています。
就業の場所の変更の範囲も書く必要がありますか?
施行規則第4条の2第3項第3号が、就業の場所に関する事項に就業の場所の変更の範囲を含むと定めています。業務の内容も、変更の範囲を含みます。
有期契約の更新上限は書く必要がありますか?
有期労働契約を更新する場合の基準として、通算契約期間または更新回数に上限の定めがあるときは、その上限を含めて明示します(施行規則第4条の2第3項第2号の3)。
メールで明示してもよいですか?
原則は書面の交付です。電子メールなどは、書面の交付を受ける人が希望した場合に使えます。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「職業安定法」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2027年1月15日)
- e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)
- 厚生労働省「募集・求人時の労働条件明示のリーフレット」(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)