この記事の対象:特定技能外国人を雇う受入れ企業の人事・労務担当者、労働基準監督署の調査や外国人従業員からの申告に備えて確認事項を整理したい登録支援機関の担当者

臨検:予告なしに立ち入り、帳簿や書類の提出を求められる

労働基準法第101条は、労働基準監督官が事業場に臨検し、帳簿と書類の提出を求め、使用者や労働者に尋問できると定めています。

厚生労働省は、事業場のありのままの現状を的確に把握するため、原則として予告なしに監督に伺っていると説明しています。きっかけは、定期的な監督のほか、労働者からの調査・相談(申告)です。

臨検を拒む、妨げる、忌避する、尋問に陳述しない、虚偽の陳述をする、帳簿書類を出さない、虚偽の記載をした帳簿書類を出す、のいずれかをした者は、第120条第4号により30万円以下の罰金の対象になります。監督官は、身分を証明する証票を携帯しなければなりません(第101条第2項)。

帳簿の記載事項と保存期間は労働者名簿と賃金台帳のガイドで確認できます。

臨検の根拠と罰則(労働基準法)
条文内容
第101条第1項監督官は、事業場・寄宿舎などに臨検し、帳簿・書類の提出を求め、使用者・労働者に尋問できる
第101条第2項監督官は、身分を証明する証票を携帯する
第120条第4号臨検の拒否・妨害、陳述の拒否・虚偽、帳簿書類の不提出・虚偽記載は30万円以下の罰金

申告:労働者が違反の事実を監督官に伝え、行政指導を求める

労働基準法第104条第1項は、事業場に労働基準法などに違反する事実があるとき、労働者がその事実を行政官庁または労働基準監督官に申告できると定めています。

厚生労働省は、申告を、労働基準関係法令違反がある場合に労働基準監督官に行政指導を求めることと説明しています。これを契機に、監督官が事業場に臨検するほか、事業主などに来署を求めて事情を聴き、事実関係を確認します。

令和5年の申告受理件数は約2万件で、内訳は賃金不払に関するものが最も多く、次に解雇に関するものです。

賃金不払をめぐる請求の期間は未払い賃金の時効のガイドで確認できます。

申告を理由に、解雇その他の不利益な取扱いはできない

労働基準法第104条第2項は、使用者が、申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。

この禁止は、申告をした労働者が、その後の職場で不利益を受けないようにするための決まりです。労働基準法第3条は、国籍を理由に賃金や労働時間などの労働条件で差別的な取扱いをしてはならないと定めています。

この記事は法令と公的資料の整理です。個別の事案への対応は、労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家に確認してください。

法違反が認められたら:是正の指導、使用停止、重大・悪質な場合は送検

厚生労働省は、監督指導で法違反が認められた場合、事業主などに是正を指導し、危険性の高い機械・設備などはその場で使用停止などを命じる行政処分もあると説明しています。

監督指導は、法違反等を是正してもらうことが目的で、是正が確認されれば終了するとされています。是正勧告を受けた法違反を是正しないなど重大・悪質な事案は、司法警察権限を行使して送検されます。

令和5年の監督指導は約17万件で、定期監督等では約70%の事業場で何らかの法違反が認められました。主な違反事項は、時間外労働の届出をしていない・届け出た上限を超えて残業させているもの、健康診断を実施していないもの、割増賃金を支払っていないものです。

割増賃金の計算は割増賃金のガイドで確認できます。

監督指導で多い違反事項(厚生労働省「労働基準監督官の仕事」より)
違反事項内容
時間外労働の届出届出をしていない、または届け出た上限時間を超えて残業させている
健康診断実施していない
割増賃金時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない(一部未払を含む)
  • 時間外労働の届出と上限時間を確認する
  • 雇入れ時と定期の健康診断を実施している
  • 割増賃金を支払い、賃金台帳に記録している

監督署のほかに相談できる窓口:東京労働局の外国人特別相談・支援室

東京労働局の外国人特別相談・支援室は、労働問題の相談と、外国人を雇用する事業主向けの労務管理相談を案内している窓口です。

東京労働局の案内は、外国人労働者を雇用する事業主が外国人在留支援センター(FRESC)で相談できるとしています。

窓口の場所、時間、ほかの公的窓口との使い分けは、別のガイドにまとめています。

FRESCなどの窓口は受入れ企業の公的相談窓口のガイドで確認できます。

よくある質問

労働基準監督署の調査は、事前に連絡がありますか?

厚生労働省は、事業場の現状を的確に把握するため、原則として予告なしに監督に伺っていると説明しています。

外国人従業員が労働基準監督署に申告したら、解雇できますか?

労働基準法第104条第2項は、申告をしたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。

監督官の調査を断ると、どうなりますか?

臨検の拒否・妨害、陳述の拒否・虚偽、帳簿書類の不提出・虚偽記載は、労働基準法第120条第4号により30万円以下の罰金の対象です。

法違反を指摘されたら、必ず処罰されますか?

厚生労働省は、監督指導の目的は法違反の是正で、是正が確認されれば終了すると説明しています。是正しないなど重大・悪質な事案は送検されます。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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