この記事の対象:特定技能外国人の雇用管理書類を整える受入れ企業の人事・労務担当者、登録支援機関

労働者名簿:事業場ごと・労働者ごとに作る

労働基準法第107条は、使用者に、各事業場ごとに労働者名簿を各労働者について調製し、氏名、生年月日、履歴などを記入するよう求めています。

名簿を作る対象から除かれるのは、日日雇い入れられる者だけです。記入事項に変更があった場合は、遅滞なく訂正しなければなりません。

施行規則第53条は、法律に書かれた事項のほかに、性別、住所、従事する業務の種類、雇入れの年月日、退職の年月日とその事由(解雇の場合は理由を含む)、死亡の年月日とその原因を記入するよう定めています。常時30人未満の労働者を使用する事業では、従事する業務の種類は記入しなくてよいとされています。様式は様式第19号です。

  • 事業場ごとに作っているか
  • 氏名・生年月日・履歴・性別・住所を記入しているか
  • 雇入れの年月日を記入しているか
  • 住所などに変更があったとき、遅滞なく訂正しているか
  • 退職時に退職の年月日と事由(解雇なら理由)を記入しているか

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第7条の2(賃金の口座振込み等)(確認日:2026年10月13日)

賃金台帳:賃金を支払うたびに記入する

第108条は、使用者に、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項と賃金の額などを、賃金支払の都度遅滞なく記入するよう求めています。

施行規則第54条は、労働者各人別に、氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数を記入するよう定めています。時間外労働や休日労働、午後10時から午前5時までの深夜労働をさせた場合は、その延長時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数も記入します。

基本給や手当など賃金の種類ごとの額と、賃金から一部を控除した場合のその額も記入事項です。常時使用される労働者は様式第20号、一箇月を超えて引き続き使用されない日々雇い入れられる者は様式第21号によって調製します(施行規則第55条)。第41条各号に当たる労働者については、労働時間数と延長時間数などの記入は要しないとされています。

労働者名簿と賃金台帳の比べ方(労働基準法第107・108条、施行規則第53〜55条)
項目労働者名簿賃金台帳
作る単位事業場ごと・労働者ごと事業場ごと・労働者各人別
記入のタイミング雇入れ時。変更があれば遅滞なく訂正賃金支払の都度、遅滞なく
主な記入事項氏名、生年月日、履歴、性別、住所、雇入れ・退職の年月日と事由など氏名、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、賃金の種類ごとの額、控除額など
様式様式第19号様式第20号(日々雇い入れられる者は様式第21号)

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第7条の2(賃金の口座振込み等)(確認日:2026年10月13日)

保存期間は法律上5年、当分の間は3年

第109条は、労働者名簿、賃金台帳、雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類の保存を、使用者に義務づけています。

条文の期間は5年ですが、附則第143条が、当分の間は3年とする経過措置を置いています。厚生労働省のQ&Aは、賃金(退職金を除く)の請求権の時効が令和2年4月の改正で5年になったのに伴って保存期間も5年に延長されたものの、時効が当分の間3年とされているため、保存期間も当分の間3年だと説明しています。

同じQ&Aは、退職金の時効は5年のままで、時効が更新されることもあるため、実際には3年を過ぎても書類が必要になることがあり、3年を超えて保管する必要が出てくることも多いと注意しています。保存期間の扱いは、労働基準監督署の最新の案内で確認してください。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A「賃金台帳等の労働契約関係の書類の保存期間は何年ですか?」(確認日:2026年10月13日)

保存期間の数え始め(起算日)

施行規則第56条は、書類の種類ごとに保存期間を数え始める日を定めています。

労働者名簿は労働者の死亡、退職または解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日、雇入れまたは退職に関する書類は労働者の退職または死亡の日、災害補償に関する書類は災害補償を終わった日、賃金その他労働関係に関する重要な書類はその完結の日が起算日です。

賃金台帳と賃金その他労働関係に関する重要な書類は、その賃金の支払期日が上の日より遅い場合は、支払期日が起算日になります。同条第3項は、年次有給休暇管理簿などにも、この起算日の規定を準用するとしています。

書類ごとの起算日(施行規則第56条)
書類保存期間の起算日
労働者名簿労働者の死亡、退職または解雇の日
賃金台帳最後の記入をした日(賃金の支払期日が遅いときは支払期日)
雇入れまたは退職に関する書類労働者の退職または死亡の日
災害補償に関する書類災害補償を終わった日
賃金その他労働関係に関する重要な書類その完結の日(賃金の支払期日が遅いときは支払期日)

出典:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第7条の2(賃金の口座振込み等)(確認日:2026年10月13日)

パソコンで作成・保存する場合の要件

厚生労働省のQ&Aは、労務関係の書類をパソコン上で作成して保存するには、次の4つなどの要件を満たす必要があるとしています。

Q&Aが挙げる要件は、法令で定められた要件を具備し、画面上に表示して印字できること、労働基準監督官の臨検時などに直ちに必要事項を明らかにして提出できるシステムであること、誤って消去されないこと、長期にわたって保存できることです。ただしQ&Aは「などの要件」としているため、この4つがすべてとは限りません。

同じQ&Aは、これらの書類について、労働基準法第109条が保存を定めていると説明しています。パソコンで管理する場合は、紙の名簿・台帳と同じ記入事項が、必要なときに画面と印字で確認できる状態かを点検します。

  • 画面表示と印字ができるか
  • 臨検時にすぐ提出できる状態か
  • 誤って消去されない仕組みか
  • 保存期間を通して読み出せるか

出典:厚生労働省Q&A「労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。」(確認日:2026年10月13日)

特定技能外国人の場合と罰則

労働基準法第3条は、国籍を理由に、賃金、労働時間その他の労働条件で差別的な取扱いをしてはならないと定めています。

第107条から第109条は国籍で区別していないため、名簿・台帳の作成と保存は、日本人と同じく特定技能外国人にも適用される前提で確認します。

第107条から第109条の違反は、第120条第1号により30万円以下の罰金の対象です。このガイドは制度の説明です。個別の書類の書き方は、労働基準監督署や社会保険労務士などに確認してください。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)

よくある質問

労働者名簿は、パート・アルバイトの外国人についても作りますか?

第107条は、日日雇い入れられる者を除く各労働者について作るよう定めています。日々雇い入れられる者以外は、雇用形態にかかわらず対象です。

賃金台帳の保存期間は何年ですか?

条文は5年ですが、附則第143条により、当分の間は3年です。退職金の時効は5年のため、3年を超えて保管することも多いと厚生労働省のQ&Aは注意しています。

保存期間はいつから数えますか?

労働者名簿は労働者の死亡、退職または解雇の日から、賃金台帳は最後の記入をした日から数えます。賃金の支払期日がそれより遅い場合は、賃金台帳は支払期日からです(施行規則第56条)。

名簿や台帳をパソコンだけで管理してよいですか?

厚生労働省のQ&Aは、表示・印字ができること、すぐ提出できること、誤って消去されないこと、長期保存できることなどの要件を満たす必要があるとしています。

名簿や台帳を作らなかった場合の罰則はありますか?

第107条から第109条の違反は、第120条第1号により30万円以下の罰金の対象です。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)