この記事の対象:特定技能外国人の給与の支払い方法や控除を確認する受入れ企業の人事・経理担当者、登録支援機関

賃金支払の5原則:通貨・直接・全額・毎月1回以上・一定期日

労働基準法第24条は、賃金を通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならないと定めています。

同条第2項は、賃金を毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うよう求めています。臨時に支払われる賃金や賞与など、厚生労働省令で定めるものは対象外です。

厚生労働省のQ&Aは、この5つを賃金支払の五原則と呼んでいます。通貨払は実物給与を禁じるもの、直接払は労働者本人以外への支払いを禁じるもの、全額払は賃金の一部の留保や控除を禁じるものと説明されています。毎月払と一定期日払は、支払いの間隔や日が不安定になるのを防ぐためのものです。

第24条の違反は、第120条により30万円以下の罰金の対象になります。

賃金支払の5原則(労働基準法第24条・厚生労働省のQ&A)
原則内容
通貨払通貨で支払う(実物給与は禁止)
直接払労働者本人に直接支払う
全額払賃金の全額を支払う(控除は例外のみ)
毎月払毎月1回以上支払う
一定期日払支払日を定めて支払う

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、厚生労働省Q&A「賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。」(確認日:2026年10月13日)

賃金から控除できるもの:法令で認められたものと、労使協定があるもの

第24条第1項のただし書きは、法令に別段の定めがある場合と、書面による労使協定がある場合に限り、賃金の一部を控除して支払えるとしています。

労使協定の相手方は、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者です。

神奈川労働局のサイトにある相模原労働基準監督署のリーフレットは、控除できるものを、所得税・地方住民税の源泉徴収と健康保険・厚生年金保険・雇用保険などの社会保険料、過半数組合との書面の労使協定があるもの、過半数代表者との書面の労使協定があるもの、の3区分に整理しています。寮費、食事代、組合費、駐車場代、親睦会費、社内商品の購入代金、会社貸付金の返済は、ひとつでも該当すれば労使協定が必要だとしています。

同じリーフレットは、労使協定があれば何でも控除してよいわけではなく、事理明白なものに限り控除できると注記しています。厚生労働省のQ&Aも、物品購入代金など事理明白なものを例に挙げています。

特定技能1号の食費・居住費などを給与から控除する場合の運用要領上のルールは、別のガイドで扱っています。

  • 給与から差し引いている項目を一覧にしたか
  • 源泉徴収と社会保険料以外の項目に、書面の労使協定があるか
  • 協定の相手方が、過半数組合または過半数代表者になっているか
  • 協定の範囲が、事理明白な項目に限られているか

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、神奈川労働局・相模原労働基準監督署「賃金控除に関する労使協定を締結していますか? 賃金の支払は全額払が原則です」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省Q&A「賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。」(確認日:2026年10月13日)

口座振込にする場合:本人の同意と、本人が指定する金融機関

労働基準法施行規則第7条の2は、使用者が労働者の同意を得た場合に、賃金を銀行などの預金または貯金への振込みで支払えると定めています。

条文上の要件は、労働者の同意と、労働者が金融機関を指定することの2点です。使用者が一方的に口座を決めて振り込むことはできません。

同じ条は、金融商品取引業者の預り金への払込みと、厚生労働大臣が指定した資金移動業者の口座への資金移動(いわゆる賃金のデジタル払い)も定めています。資金移動業者の口座を使う場合は、銀行などの口座への振込みも選べるようにし、条文に定める事項を説明して同意を得ることが必要です。

通貨で直接支払う原則の例外として、銀行口座への振込みを選ぶ場合も、手続きの出発点は本人の同意です。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第7条の2(賃金の口座振込み等)(確認日:2026年10月13日)

特定技能外国人の場合:日本人と同じルールが適用される

労働基準法第3条は、国籍を理由に賃金などの労働条件で差別的な取り扱いをしてはならないと定めています。

賃金の支払方法や控除について、特定技能外国人向けの別の定めは、今回確認した条文と資料にはありません。日本人の労働者と同じ第24条が適用されます。

運用要領は、給与から食費・居住費などを控除する場合の雇用条件書の記載を別に求めています。詳しくは食費・居住費の徴収のガイドで扱っています。

このガイドは制度の説明です。個別の事業場の給与計算や労使協定が法に合っているかは、労働基準監督署や社会保険労務士などに確認してください。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、神奈川労働局・相模原労働基準監督署「賃金控除に関する労使協定を締結していますか? 賃金の支払は全額払が原則です」(確認日:2026年10月13日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)

よくある質問

賃金支払の5原則とは何ですか?

労働基準法第24条が定める、賃金を通貨で、直接労働者に、全額、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うという原則です。

寮費や食費を給与から差し引くには、何が必要ですか?

源泉徴収と社会保険料以外の控除には、過半数組合または過半数代表者との書面による労使協定が必要です。協定があっても、控除できるのは事理明白なものに限られると、神奈川労働局のリーフレットは注記しています。

給与を銀行口座に振り込むのに、本人の同意は要りますか?

要ります。労働基準法施行規則第7条の2は、労働者の同意を得たうえで、労働者が指定する金融機関の口座への振込みによれると定めています。

第24条に違反すると、罰則はありますか?

第120条により、30万円以下の罰金の対象になります。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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