この記事の対象:特定技能外国人の遅刻・早退・欠勤の賃金計算ルールを決める受入れ企業の人事・経理担当者、給与計算の相談を受ける登録支援機関の担当者

働かなかった分を引く根拠:不就労分の賃金は払う必要がない

厚生労働省のモデル就業規則の解説は、労働者が欠勤、遅刻、早退をした結果、労働しなかった日と時間については賃金を支払う必要がなく、その日数や時間数に応じて賃金を減額することも可能としています。

モデル就業規則の第18条は、遅刻、早退、欠勤をするときは事前に申し出て承認を受けること、やむを得ない理由で事前に申し出られなかったときは事後に速やかに届け出ることを定め、原則として不就労分に対応する賃金は控除するとしています。

どのような手続にするかは各事業場で決めることです。解説は、手続を取ることは会社の秩序を維持するうえでも重要なので、明確に定めるよう求めています。

賃金の全額払いの原則と、控除が認められる場合は賃金支払の5原則のガイドで確認できます。

1時間あたりの控除額の計算:月給は平均所定労働時間で割る

モデル就業規則の第45条は、欠勤、遅刻、早退、私用外出について、基本給から当該日数または時間分の賃金を控除するとし、控除する賃金の1時間あたりの金額の計算を示しています。

月給の場合は、基本給を1か月の平均所定労働時間数で割ります。日給の場合は、基本給を1日の所定労働時間数で割ります。

1か月の平均所定労働時間数は、(365日−年間所定休日日数)×1日の所定労働時間÷12で計算します。モデル就業規則が割増賃金の計算で示している算式を、控除の計算でも使う形です。

下の表は、仮の数字で計算した例です。実際の控除額は、自社の就業規則と賃金規程の定めで決まります。

不就労分の控除ではなく、賃金そのものや手当を引き下げるときの同意の有効性と届出は、賃金・労働条件の引き下げのガイドで確認できます。

控除額の計算例(仮の数字。年間所定休日105日、1日の所定労働時間8時間、月給の基本給208,000円の場合)
項目計算結果
1か月の平均所定労働時間数(365−105)×8÷12約173.3時間
1時間あたりの控除額208,000円÷173.3時間約1,200円
30分の遅刻1,200円×0.5時間約600円
1日(8時間)の欠勤1,200円×8時間約9,600円

似た制度との違い:減給の制裁、休業手当、年次有給休暇

遅刻や欠勤に関わる賃金の扱いは、控除のほかにも、制裁としての減給、会社都合の休業、年次有給休暇があり、考え方が異なります。

就業規則で減給の制裁を定める場合は、労働基準法第91条により、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはなりません。働かなかった分を払わない控除とは別の仕組みです。

会社の都合で所定労働日に休業させた場合は、労働基準法第26条により、平均賃金の100分の60以上の休業手当を払います。労働者の側の遅刻や欠勤を理由とする控除とは、払う側の責任の所在が逆です。

年次有給休暇を取得した労働者に対し、賃金の減額や、精皆勤手当や賞与の額の算定で年休の取得日を欠勤として扱う不利益な取扱いをしてはいけません。モデル就業規則の解説が、労働基準法附則第136条としてこの点を示しています。

制裁としての減給の手続は懲戒処分のガイドで確認できます。

遅刻・欠勤まわりの賃金の扱いの違い
場面賃金の扱い根拠
労働者が遅刻・早退・欠勤をした働かなかった時間・日数分の賃金は払わなくてよいモデル就業規則第18条・第45条と解説
遅刻・欠勤への制裁として減給する1回は平均賃金1日分の半額まで、総額は賃金総額の10分の1まで労働基準法第91条
会社の都合で休業させた平均賃金の6割以上の休業手当を払う労働基準法第26条
年次有給休暇を取った賃金の減額や欠勤扱いはできない労働基準法附則第136条(解説)

決めておく事項と記録:就業規則の定め、賃金台帳、雇用条件書

賃金の決定、計算、支払の方法は、就業規則に必ず書く事項です。遅刻・早退・欠勤の控除の計算は、本人に分かる形で決めておきます。

賃金台帳には、労働者ごとに、労働日数や労働時間数などを適正に記入しなければなりません。労働基準法第108条と同法施行規則第54条が定め、記入しなかった場合などは同法第120条により30万円以下の罰金に処されるとモデル就業規則の解説は示しています。

特定技能外国人には、賃金の計算方法を、本人が理解できる言語で説明します。賃金が最低賃金額以上かどうかは、時間給の場合は時間給を最低賃金額と比較し、日・週・月で定めた賃金の場合は、その金額を所定労働時間で割った時間額で比較して判断します。

労働時間の記録の方法は労働時間の把握と記録のガイドで確認できます。

  • 遅刻・早退・欠勤の申出と承認の手続を就業規則に書いた
  • 1時間あたりの控除額の計算式を賃金規程に書いた
  • 欠勤した日と時間を賃金台帳と出勤簿に記録した
  • 年次有給休暇の取得日を欠勤として扱っていない
  • 会社都合の休業と本人都合の欠勤を分けて記録した
  • 計算方法を本人が理解できる言語で説明した

よくある質問

特定技能外国人が遅刻したら、その時間分の賃金を引いてよいですか?

モデル就業規則の解説は、労働しなかった時間については賃金を払う必要がなく、時間数に応じて減額することも可能としています。引く方法と計算式は、就業規則や賃金規程に定めておきます。

月給の場合、1時間あたりの控除額はどう計算しますか?

モデル就業規則は、基本給を1か月の平均所定労働時間数で割るとしています。平均所定労働時間数は、(365日−年間所定休日日数)×1日の所定労働時間÷12です。

遅刻の罰として賃金を多めに引くことはできますか?

制裁として減給する場合は、労働基準法第91条の上限があります。1回は平均賃金の1日分の半額まで、総額は一賃金支払期の賃金総額の10分の1までです。就業規則への定めも必要です。

年次有給休暇を取った日を欠勤として扱ってよいですか?

年次有給休暇を取得した労働者に、賃金の減額や、精皆勤手当・賞与の算定で欠勤として扱う不利益な取扱いをしてはいけません。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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