この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者、休業を検討している受入れ機関の経理・総務担当者

支払義務:使用者の責に帰すべき事由による休業は平均賃金の6割以上

労働基準法第26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、休業期間中、労働者に平均賃金の100分の60以上の手当を支払うよう使用者に求めています。

この手当を休業手当といいます。厚生労働省のQ&Aは、注文が少ないために交替で休んでもらい、その間の給料が支給されなかった例を挙げ、休業手当の支払を受けることができると説明しています。

第26条の違反は、第120条第1号により30万円以下の罰金の対象です。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「会社都合で休みをとらされましたが、給料なしは労基法上ありですか?」(確認日:2026年10月13日)

対象になる休業:不可抗力を主張できない一切の場合

厚生労働省のQ&Aは、使用者の責に帰すべき事由を、地震や災害などの不可抗力による場合を除き、経営者として不可抗力を主張し得ない一切の場合を含むものと説明しています。

不可抗力として認められるには、原因が事業の外部から発生した事故であること、事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても避けられない事故であること、の2つをどちらも満たす必要があります。

休業手当の支払義務は、個別の事案ごとに諸事情を総合して判断されます。次の表は、厚生労働省のQ&Aに挙げられた例です。

休業手当の要否に関する厚生労働省Q&Aの例
休業の理由Q&Aの説明
注文が少ない使用者の責に帰すべき事由に該当する
資材が集まらず作業できない、機械の故障で休業せざるをえない使用者の責に帰すべき事由に含まれる
発熱などの症状があることのみをもって、使用者の自主的な判断で一律に休ませる一般的には使用者の責に帰すべき事由による休業にあたり、休業手当が必要
地震や災害などの不可抗力使用者の責に帰すべき事由から除かれる

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「会社都合で休みをとらされましたが、給料なしは労基法上ありですか?」(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」休業手当・雇用調整助成金の項(確認日:2026年10月13日)

金額:平均賃金は直前3か月の賃金総額を総日数で割る

休業手当の基準となる平均賃金は、第12条により、算定すべき事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額が原則です。

賃金締切日がある場合、3か月は直前の賃金締切日から数えます(第12条第2項)。賃金が労働した日や時間で決まる場合と出来高払制などの場合は、賃金の総額をその期間中に労働した日数で割った金額の100分の60を下回ってはならない最低保障があります(第12条第1項ただし書)。

賃金の総額には、臨時に支払われた賃金、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、通貨以外で支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しません。雇入後3か月に満たない人は、雇入後の期間で計算します(第12条第6項)。

第12条第3項は、使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間などを、この3か月の日数と賃金の総額から除くと定めています。算定の細目は第12条の各項で確認してください。

神奈川労働局の案内は、休業手当を1日につき平均賃金の6割以上とし、賃金が時間額・日額・出来高給で決められ労働日数が少ない場合は、総額を労働日数で割った6割の額が高ければその額を適用する(最低保障額)と説明しています。休業手当は平均賃金の100分の60が法律の保障する水準です。労働協約や就業規則で、これを超える割合(例えば100分の70)を定めることもできますが、超える部分は第26条によって強制されるものではありません。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「会社都合で休みをとらされましたが、給料なしは労基法上ありですか?」(確認日:2026年10月13日)、神奈川労働局「平均賃金について」(確認日:2026年10月14日)

計算例:月給制で1日休業させた場合(神奈川労働局の事例1)

神奈川労働局「平均賃金について」の事例1は、月給275,000円と通勤手当6,330円の労働者を、6月29日に使用者の都合で1日休業させたケースです。賃金締切日は毎月20日です。

直前3か月は3月21日から6月20日までで、暦日数は92日です。各月の賃金は月給と通勤手当の合計281,330円で、3か月の合計は843,990円です。

平均賃金は843,990円÷92日=9,173円8043…で、銭未満を切り捨てて9,173円80銭です。休業手当は9,173円80銭×0.6×1日=5,504.28円で、同局は支払額を5,504円以上と示しています(円未満は50銭未満切捨て、50銭以上切上げ)。

数字は同局の事例1の転記です。自社の額は、賃金の範囲や除外する期間を含めて、労働基準監督署や労働局で確認してください。

神奈川労働局 事例1(月給制)の平均賃金と休業手当
期間暦日数賃金額
3月21日から4月20日(4月分)31日281,330円
4月21日から5月20日(5月分)30日281,330円
5月21日から6月20日(6月分)31日281,330円
合計92日843,990円

出典:神奈川労働局「平均賃金について」(確認日:2026年10月14日)

1日の一部だけ休業した場合:その日について平均賃金の6割まで

1労働日の一部を休業した場合も、その日について、全体として平均賃金の100分の60までは支払う必要があります。

実際に支給された賃金が平均賃金の100分の60に達しない場合は、その差額の支給を受けることができる、とQ&Aは説明しています。働いた時間分の賃金を払っただけでは足りない日がある、という意味です。

神奈川労働局の案内は、休業手当を1日につき平均賃金の6割以上と整理しています。休業した日ごとに、その日の支給額を確認します。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「会社都合で休みをとらされましたが、給料なしは労基法上ありですか?」(確認日:2026年10月13日)、神奈川労働局「平均賃金について」(確認日:2026年10月14日)

支払日:賃金と同じ扱いで、通常の支払日に支払う

休業手当は労働基準法第11条の賃金にあたるため、賃金の支払の原則(第24条)が適用されます。

Q&Aによると、支払は、休業期間の属する賃金算定期間について定められた支払日になります。口座振込や控除の扱いは、賃金支払の5原則のガイドで確認できます。

第24条は、賃金を通貨で直接労働者にその全額を支払うこと、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことを定めています(例外は条文で確認してください)。

  • 休業の理由が不可抗力の2要件に当たるかを個別に確認する
  • 平均賃金を第12条で算定し、その100分の60以上を確認する
  • 1日の一部休業は、その日の支給額が6割に届くかを確認する
  • 通常の賃金支払日に、賃金と同じ方法で支払う

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「会社都合で休みをとらされましたが、給料なしは労基法上ありですか?」(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)

特定技能外国人の場合と雇用調整助成金

労働基準法第3条は、国籍を理由に、賃金、労働時間その他の労働条件で差別的な取扱いをしてはならないと定めています。

第26条は国籍で区別していないため、休業手当は日本人と同じく特定技能外国人にも適用される前提で確認します。

休業手当などの一部を助成する雇用調整助成金について、厚生労働省のQ&Aは、支給要件を満たす事業主であれば、雇用保険被保険者である従業員の国籍は問わないと説明しています。同じQ&Aによると、新型コロナウイルス感染症に係る特例措置は令和5年3月31日で終了しています。

このガイドは制度の説明です。個別の休業が第26条に当たるかは、労働基準監督署や社会保険労務士などに確認してください。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」休業手当・雇用調整助成金の項(確認日:2026年10月13日)

よくある質問

仕事が減ったために休ませた場合、休業手当は必要ですか?

厚生労働省のQ&Aは、注文が少ないことは使用者の責に帰すべき事由に該当するため、休業手当の支払を受けることができると説明しています。

休業手当はいくら支払いますか?

平均賃金の100分の60以上です(第26条)。平均賃金は、算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金総額を、その期間の総日数で割って求めます(第12条)。

休業手当の額はどう計算しますか?

神奈川労働局の事例1(月給275,000円、通勤手当6,330円、直前3か月の合計843,990円、92日)では、平均賃金は9,173円80銭、休業1日の休業手当は5,504円以上です。自社の額は労働基準監督署や労働局で確認してください。

地震などで休業した場合も、休業手当は必要ですか?

地震や災害などの不可抗力による場合は、使用者の責に帰すべき事由から除かれます。不可抗力には、事業の外部から発生した事故であることと、通常の経営者として最大の注意を尽くしても避けられないことの両方が必要です。

1日の途中で帰らせた場合はどうなりますか?

その日について、全体として平均賃金の100分の60までは支払う必要があります。支給額が6割に達しない場合は、差額の支給を受けることができます。

外国人の雇用調整助成金は、日本人と条件が違いますか?

厚生労働省のQ&Aは、支給要件を満たす事業主であれば、雇用保険被保険者である従業員の国籍は問わないと説明しています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)