この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者、就業規則の整備状況を確認する登録支援機関

作成義務:常時10人以上の労働者を使用する使用者

労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と行政官庁への届出を義務づけています。

記載する事項を変更した場合も、同じ届出が必要です。厚生労働省のQ&Aは、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者に適用される就業規則にも、この作成・変更の手続を行う義務があると説明しています。

施行規則第49条は、常時10人以上の労働者を使用するに至った場合は、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に届け出るよう定めています。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第7条の2(賃金の口座振込み等)(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A「パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者に適用される就業規則の作成及び変更手続きについて」(確認日:2026年10月13日)

就業規則に書く事項:必ず書く事項と、定めるなら書く事項

第89条は、就業規則に書く事項を、必ず書く事項と、定める場合に書く事項に分けています。

必ず書く事項は、始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制の就業時転換、賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切りと支払の時期、昇給、退職に関する事項(解雇の事由を含む)です。

退職手当、臨時の賃金等と最低賃金額、食費や作業用品の負担、安全衛生、職業訓練、災害補償と業務外の傷病扶助、表彰と制裁は、定めをする場合に書く事項です。これらのほか、事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合も、その事項を書きます。

就業規則の記載事項(労働基準法第89条)
区分事項
必ず書く事項始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制の就業時転換
必ず書く事項賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切りと支払の時期、昇給
必ず書く事項退職に関する事項(解雇の事由を含む)
定める場合に書く事項退職手当、臨時の賃金等と最低賃金額、食費・作業用品などの負担
定める場合に書く事項安全衛生、職業訓練、災害補償と業務外の傷病扶助、表彰と制裁の種類・程度

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)

意見聴取と届出:意見書を添えて労働基準監督署長へ

第90条は、就業規則の作成または変更について、労働者の過半数で組織する労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴くよう、使用者に求めています。

届出には、その意見を記した書面を添付します。施行規則第49条は、この書面に労働者を代表する者の氏名を記載するよう定めています。高知労働局の案内は、就業規則を変更する場合も、意見書を添えて所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があるとしています。

パートタイム労働者や有期雇用労働者に関する事項については、厚生労働省のQ&Aが、短時間労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くように努めなければならないとしています。この部分は努力義務です。専用の就業規則を別に作った場合も、事業場の就業規則の一部として届出が必要です。

  • 常時10人以上になったら遅滞なく届け出る
  • 過半数労働組合、なければ過半数代表者の意見を聴く
  • 意見書に労働者を代表する者の氏名を記載する
  • 変更したときも意見書を添えて届け出る
  • パート・有期用の専用規程を作った場合もあわせて届け出る

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第7条の2(賃金の口座振込み等)(確認日:2026年10月13日)、厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A「パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者に適用される就業規則の作成及び変更手続きについて」(確認日:2026年10月13日)、高知労働局「就業規則の作成・変更・届出」(確認日:2026年10月13日)

周知の方法:掲示・書面の交付・常時確認できる機器

第106条は、就業規則を労働者に周知させる義務を使用者に課しています。

施行規則第52条の2は、周知の方法として、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を労働者に交付すること、電子計算機のファイルなどに記録して各作業場に労働者が常時確認できる機器を設置することを挙げています。

特定技能外国人に対しても、これらの方法で周知する前提で確認します。母国語への翻訳の要否や方法は、条文にも今回確認した資料にも定めがないため、このガイドでは扱いません。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)、e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第7条の2(賃金の口座振込み等)(確認日:2026年10月13日)

就業規則の限界:減給の制裁の上限と法令との関係

第91条は、就業規則で減給の制裁を定める場合の上限を定めています。

減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてもなりません。第92条は、就業規則が法令や当該事業場に適用される労働協約に反してはならないと定めています。

法令や労働協約に抵触する就業規則については、行政官庁が変更を命じることができます(第92条第2項)。労働契約との関係は、第93条が労働契約法第12条の定めるところによるとしています。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)

特定技能外国人の場合と罰則

労働基準法第3条は、国籍を理由に、賃金、労働時間その他の労働条件で差別的な取扱いをしてはならないと定めています。

第89条から第106条は国籍で区別していないため、就業規則の作成・届出・周知は、日本人と同じく特定技能外国人にも適用される前提で確認します。

第89条、第90条第1項、第91条、第106条の違反は、第120条第1号により30万円以下の罰金の対象です。このガイドは制度の説明です。個別の就業規則の内容は、労働基準監督署や社会保険労務士などに確認してください。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日)

よくある質問

従業員が10人に満たない場合、就業規則は不要ですか?

第89条の作成義務は常時10人以上の労働者を使用する使用者が対象です。10人未満の場合の扱いは、この条文には書かれていません。

パートや有期雇用の労働者にも、就業規則の手続は必要ですか?

厚生労働省のQ&Aは、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者に適用される就業規則についても、労働基準法に基づく作成・変更の手続を行う義務があると説明しています。

就業規則を作るとき、誰の意見を聴きますか?

労働者の過半数で組織する労働組合があればその組合、なければ労働者の過半数を代表する者の意見を聴きます(第90条第1項)。条文は意見を聴くこととしており、同意を要件とする文言はありません。

就業規則はどのように周知しますか?

施行規則第52条の2が、各作業場への掲示・備付け、書面の交付、記録したファイルを常時確認できる機器の設置のいずれかを挙げています。

減給の制裁はいくらまで定められますか?

1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、総額は一賃金支払期における賃金総額の10分の1までです(第91条)。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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