この記事の対象:特定技能外国人の雇用管理を担当する受入れ企業の担当者、登録支援機関の担当者

第106条第1項:法令の要旨・就業規則・労使協定を労働者に周知させる

労働基準法第106条第1項は、使用者に、法令の要旨、就業規則、条文に挙げられた労使協定と決議を、労働者に周知させることを求めています。

周知させる対象は、この法律とこれに基づく命令の要旨、就業規則、第106条第1項に列挙された条の協定、第38条の4第1項・第5項と第41条の2第1項に規定する決議です。

列挙された協定のうち、日常の雇用管理に近いものを下の表に抜き出しました。条文には、ほかにも変形労働時間制や裁量労働制などの協定が挙げられています。

時間外・休日労働の協定は、36協定の届出と時間外労働のガイドで確認できます。

第106条第1項が周知を求める協定の例(e-Gov法令検索)
条協定の内容
第18条第2項労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合の協定
第24条第1項ただし書賃金の一部を控除して支払う場合の協定
第34条第2項ただし書休憩を一斉に与えない場合の協定
第36条第1項時間外労働・休日労働をさせる場合の協定
第39条第4項時間単位で年次有給休暇を与える場合の協定
第39条第6項年次有給休暇を計画的に与える場合の協定

施行規則第52条の2:周知の方法は掲示・書面交付・電子の3つ

第106条第1項の「厚生労働省令で定める方法」は、労働基準法施行規則第52条の2が3つ定めています。

どれか1つを選べばよく、事業場に合う方法を選びます。条文は、方法を3つ挙げるだけで、周知に使う言語については何も書いていません。

電子で周知する場合は、ファイルに記録するだけでは足りません。各作業場に、労働者がその内容を常時確認できる機器を設置することが条件です。

周知の3つの方法(労働基準法施行規則第52条の2)
号方法条文の要点
第1号掲示・備え付け常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付ける
第2号書面の交付書面を労働者に交付する
第3号電子ファイル電子計算機のファイルなどに記録し、各作業場に労働者が常時確認できる機器を設置する

寄宿舎は第106条第2項:寄宿舎の規定と寄宿舎規則を寄宿舎に掲示する

第106条第2項は、寄宿舎に関する規定と寄宿舎規則を、寄宿舎の見やすい場所に掲示し、または備え付けるなどして、寄宿する労働者に周知させることを求めています。

第1項は作業場への掲示、第2項は寄宿舎への掲示で、置く場所が違います。会社の寮に住む特定技能外国人がいる場合は、寮の側にも確認が要ります。

寄宿舎の規則そのものは、別のガイドで扱っています。

寄宿舎規則の内容は、社宅・寮の寄宿舎規則で確認できます。

労働契約法第7条:就業規則を周知させていると、その内容が契約の内容になる

労働契約法第7条は、使用者が合理的な労働条件を定めた就業規則を労働者に周知させていた場合に、労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によると定めています。

ただし書により、就業規則と異なる労働条件を労働者と使用者が合意していた部分は、この限りではありません。

第10条は、就業規則の変更で労働条件を変更する場合に、変更後の就業規則を労働者に周知させることを要件の1つにしています。変更の合理性も、あわせて要件です。

特定技能雇用契約の基準を定めた省令の第1条も、労働基準法その他の労働に関する法令に適合していることを基準の前提にしています。周知は、その法令に適合するための基本的な手続きの1つです。

第120条第1号:周知義務に違反すると30万円以下の罰金

第120条第1号は、第106条から第109条までの規定に違反した者を、30万円以下の罰金に処すると定めています。

第106条は、この第120条第1号に挙げられた条の1つです。同じ号には、第107条(労働者名簿)、第108条(賃金台帳)、第109条(記録の保存)も含まれています。

違反した者が事業主のための従業者である場合の事業主の責任は、第121条の両罰規定で定められています。

事業主に及ぶ罰則は、労働者・使用者・賃金の定義と両罰規定で確認できます。

  • 就業規則を、作業場に掲示するか、備え付けるか、書面で交付しているか
  • 36協定などの労使協定を、周知の対象として扱っているか
  • 電子で周知する場合、各作業場に労働者が常時確認できる機器を置いているか
  • 寮がある場合、寄宿舎規則を寮の見やすい場所に掲示しているか
  • 就業規則を変更したとき、変更後のものも周知しているか

よくある質問

周知は、どのような方法ですればよいですか?

労働基準法施行規則第52条の2は、作業場の見やすい場所への掲示・備え付け、書面の交付、電子ファイルに記録して常時確認できる機器を設置する方法の3つを定めています。

周知させる対象は就業規則だけですか?

第106条第1項は、法令の要旨と就業規則のほか、条文に列挙された労使協定と決議も周知の対象としています。36協定や賃金控除の協定も含まれます。

周知に使う言語は決まっていますか?

第106条と施行規則第52条の2の条文には、周知に使う言語の定めは書かれていません。方法のみが定められています。

周知しないと罰則はありますか?

第120条第1号は、第106条から第109条までの規定に違反した者を30万円以下の罰金に処すると定めています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する