この記事の対象:特定技能外国人の雇用管理を担当する受入れ企業の担当者、登録支援機関の担当者
第9条〜第11条は、労働基準法が適用される人と範囲を決める定義
労働基準法の第9条は「労働者」、第10条は「使用者」、第11条は「賃金」を定義しています。この3つの定義で、誰に誰が何を守るのかが決まります。
特定技能外国人の雇用でも、賃金、労働時間、休日などの規定を読むときは、まずこの3つの言葉の意味を確認します。
下の表は、e-Gov法令検索の条文から、3つの定義を並べたものです。
| 条 | 言葉 | 条文の定義 |
|---|---|---|
| 第9条 | 労働者 | 職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者 |
| 第10条 | 使用者 | 事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者 |
| 第11条 | 賃金 | 賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの |
第9条:労働者は、使用されて賃金を支払われる者
第9条は、労働者を、職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者と定めています。
条文は、職業の種類を問わないと書いており、国籍による限定も書いていません。事業に使用されて賃金を支払われる者であれば、条文上の労働者に当たります。
個別の働き方が労働者に当たるかどうかは、事実関係で決まります。判断に迷う場合は、労働基準監督署に確認してください。
第10条と第121条:使用者の範囲と、事業主に及ぶ両罰規定
第10条の使用者は、事業主だけではありません。事業の経営担当者や、労働者に関する事項について事業主のために行為するすべての者も含まれます。
このため、現場の管理者や、労働者に関する事項を任された担当者も、条文上は使用者に当たることがあります。使用者としての義務が、事業主のほかにも及ぶ場合があります。
第121条第1項は、違反行為をした者が、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合に、事業主にも各本条の罰金刑を科すと定めています。ただし、事業主が違反の防止に必要な措置をした場合は、この限りでありません。
第121条第2項は、事業主が違反の計画を知りながら防止に必要な措置を講じなかった場合、違反行為を知りながら是正に必要な措置を講じなかった場合、または違反を教唆した場合は、事業主も行為者として罰すると定めています。
派遣中の労働者について、どの規定を誰が負うかは、労働者派遣での労働基準法の責任分担(派遣法第44条)で確認できます。
第11条:名称を問わず、労働の対償として支払うすべてのものが賃金
第11条は、賃金を、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものと定めています。
名称は決め手になりません。手当や賞与という名前でも、労働の対償として支払うものであれば、条文上は賃金です。
第108条は、使用者に、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項と賃金の額などを、賃金支払の都度遅滞なく記入することを求めています。記入する事項は、施行規則第54条に、氏名、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、賃金の種類ごとの額、賃金の一部を控除した場合の額などとして書かれています。
賃金から控除できる項目は、別のガイドで扱っています。
賃金から引ける項目は、総支給から引ける項目・引けない項目の一覧で確認できます。
第1条と第13条:基準は最低のもので、下回る部分は無効
第1条第2項は、この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならず、その向上を図るように努めなければならないと定めています。
第13条は、この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とし、無効になった部分は、この法律で定める基準によると定めています。
特定技能雇用契約の基準を定めた省令の第1条も、労働基準法その他の労働に関する法令の規定に適合していることを、基準の前提にしています。
賃金台帳などの書類は、法定三帳簿の違いと保存期間の起算点で確認できます。
- 賃金、給料、手当、賞与の名称にかかわらず、労働の対償として支払うものを賃金として扱っているか
- 現場の管理者や担当者に、労働基準法の規定を守る立場にあることを伝えているか
- 違反を防ぐための社内の取り決めや確認の手順を、書面に残しているか
- 雇用契約の内容が、労働基準法の基準に達しているか(達しない部分は無効になる)
よくある質問
労働基準法で、労働者とはどのような人ですか?
第9条は、職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者としています。条文に国籍による限定は書かれていません。
使用者とは、社長だけを指しますか?
第10条は、事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者としています。社長だけに限られません。
従業員が違反した場合、事業主も罰せられますか?
第121条第1項は、違反行為をした者が事業主のために行為した従業者である場合、事業主にも各本条の罰金刑を科すと定めています。ただし、事業主が違反の防止に必要な措置をした場合は、この限りでありません。
手当や賞与は賃金に当たりますか?
第11条は、名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものを賃金としています。手当や賞与という名称でも、この条件に当てはまれば賃金です。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日、次回確認:2026年12月6日)
- e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(確認日:2026年10月21日、次回確認:2027年1月21日)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第5条(労働条件の明示)・第7条の2(賃金の口座振込み等)・第12条の3(フレックスタイム制の協定事項と届出)・第19条(割増賃金の基礎となる1時間あたりの賃金)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)