この記事の対象:特定技能外国人の雇用管理書類を整える受入れ企業の人事・労務担当者、勤怠書類の保存を確認する登録支援機関の担当者
3つの書類の根拠と保存の義務を対比する
労働者名簿と賃金台帳は、労働基準法の条文が名前を挙げて作成を義務づけています。出勤簿という名前は、第107条から第109条のどこにもありません。
第107条は労働者名簿、第108条は賃金台帳の調製を使用者に求めています。第109条は、この2つと、雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を、保存するよう定めています。
出勤簿やタイムカードは、第109条の「その他労働関係に関する重要な書類」に当たります。厚生労働省のガイドラインは、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類はこれに該当し、保存しなければならないと明らかにしています。
| 書類 | 作成を定める条文 | 記入するもの | 第109条での位置づけ |
|---|---|---|---|
| 労働者名簿 | 第107条(労働者名簿) | 氏名、生年月日、履歴など | 名前を挙げて保存を義務づけ |
| 賃金台帳 | 第108条(賃金台帳) | 賃金計算の基礎となる事項、賃金の額など | 名前を挙げて保存を義務づけ |
| 出勤簿・タイムカード | 条文に名称なし(ガイドラインが労働時間の記録を求める) | 始業・終業時刻など労働時間の記録 | 「その他労働関係に関する重要な書類」に該当 |
出勤簿として保存の対象になる記録の範囲
厚生労働省のガイドラインは、保存の対象になる労働時間の記録として、4種類を挙げています。
挙げられているのは、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、タイムカード等の記録、残業命令書とその報告書、労働者が自ら労働時間を記録した報告書です。
紙の出勤簿に限らず、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類が、保存の対象になります。
- 始業・終業時刻の記録を、労働日ごとに残しているか
- 残業命令書とその報告書を、勤怠記録とあわせて保管しているか
- 自己申告の報告書を使う場合、その報告書も保管しているか
保存期間は法律上5年、当分の間は3年
第109条の条文上の保存期間は5年です。附則第143条の経過措置により、当分の間は3年とされています。
厚生労働省のQ&Aは、賃金(退職金を除く)の請求権の時効が5年に延長されたのに伴って保存期間も5年に延長されたが、時効が当分の間3年とされているため、保存期間も当分の間3年だと説明しています。
厚生労働省のガイドラインも、労働者名簿・賃金台帳に加えて、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類を3年間保存するよう示しています。3つの書類は、保存期間の長さでは区別されません。違いが出るのは、次に述べる数え始めの日です。
保存期間の数え始め(起算日)は書類ごとに違う
労働基準法施行規則第56条は、第109条の保存期間を数え始める日を、書類の種類ごとに定めています。
労働者名簿は労働者の死亡、退職または解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日です。賃金その他労働関係に関する重要な書類は、その完結の日が起算日です。
賃金台帳と重要な書類は、その賃金の支払期日が上の日より遅い場合、支払期日が起算日になります。出勤簿やタイムカードの起算日について、厚生労働省のガイドラインは、書類ごとに最後の記載がなされた日だと説明しています。
年次有給休暇管理簿などの記録にも、この起算日の規定が準用されます(同条第3項)。管理簿そのものの記載事項は、別のガイドで扱っています。
年次有給休暇管理簿の記載事項は、年次有給休暇管理簿の記載事項で確認できます。
| 書類 | 保存期間の起算日 |
|---|---|
| 労働者名簿 | 労働者の死亡、退職または解雇の日 |
| 賃金台帳 | 最後の記入をした日(賃金の支払期日が遅いときは支払期日) |
| 出勤簿・タイムカード等の労働時間の記録 | 書類ごとに最後の記載がなされた日(ガイドライン) |
| 年次有給休暇管理簿 | 第56条第3項により、この起算日の規定を準用 |
特定技能外国人の場合と罰則
労働基準法第3条は、国籍を理由に、賃金、労働時間その他の労働条件で差別的な取扱いをしてはならないと定めています。
第107条から第109条は国籍で区別していないため、3つの書類の作成と保存は、日本人と同じく特定技能外国人にも適用される前提で確認します。
厚生労働省のガイドラインによると、賃金台帳に労働時間数などを記入していない場合や、故意に虚偽の労働時間数を記入した場合は、第120条により30万円以下の罰金に処されます。
このガイドは制度の説明です。個別の書類の備え方は、労働基準監督署や社会保険労務士などに確認してください。
よくある質問
出勤簿は、法律で作成が義務づけられた書類ですか?
労働基準法の第107条から第109条に、出勤簿という名前はありません。厚生労働省のガイドラインは、使用者に労働日ごとの始業・終業時刻の確認と記録を求め、その記録に関する書類を第109条の重要な書類として保存するよう示しています。
出勤簿やタイムカードの保存期間は何年ですか?
厚生労働省のガイドラインは3年間としています。第109条の条文上は5年ですが、附則第143条により当分の間は3年です。
3つの書類で、保存期間の数え始めはどう違いますか?
労働者名簿は労働者の死亡、退職または解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日です。出勤簿やタイムカードは、ガイドラインによると書類ごとに最後の記載がなされた日です。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第5条(労働条件の明示)・第7条の2(賃金の口座振込み等)・第12条の3(フレックスタイム制の協定事項と届出)・第19条(割増賃金の基礎となる1時間あたりの賃金)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(リーフレット)(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年4月17日)
- 厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A「賃金台帳等の労働契約関係の書類の保存期間は何年ですか?」(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年4月13日)