この記事の対象:特定技能外国人の受入れを初めて検討する企業の総務・法務担当者、役員の変更や過去の法令違反が受入れに影響するかを確認したい担当者
特定技能の受入れ機関になれない欠格事由を、基準省令第2条第1項第4号のイからワまで13区分で整理。刑罰・破産・暴力団・外国人への不当行為11類型と、5年の起算点、離職者・行方不明者の1年基準も確認できます。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。
欠格事由は基準省令第2条第1項第4号に13区分ある
受入れ機関の基準を定める省令は、第4号でイからワまでの13区分のいずれにも当たらないことを求めています。
特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(以下「基準省令」)の第2条第1項は、特定技能雇用契約の相手方となる機関の基準を定めています。そのうち第4号は「次のいずれにも該当しないこと」と書き、イからワまでの13区分を並べています。1つでも当たれば、その機関は基準を満たしません。
区分は大きく4つの種類に分かれます。刑罰を受けた者(イ・ロ・ハ・ニ)、本人の状態に関するもの(ホ・ヘ)、技能実習の実習認定の取消し(ト・チ)、外国人への不当な行為や暴力団に関するもの(リ・ヌ)です。残りのル・ヲ・ワは、未成年者の法定代理人、法人の役員、事業活動を支配する者に範囲を広げる規定です。
この13区分は、受入れ機関の基準のうち「適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保」に係る部分です。支援計画の実施に関する基準(第2条第2項)でも、支援責任者と支援担当者は第1項第4号のイからルまでに当たらない者でなければなりません。
| 区分 | 内容 | 期間・条件 |
|---|---|---|
| イ | 拘禁刑以上の刑に処せられた者 | 刑の執行を終わった日等から5年を経過しない者 |
| ロ | 労働基準法、船員法、職業安定法、船員職業安定法、入管法などの指定された罰則規定(省令が(1)から(16)まで列挙)により罰金刑に処せられた者 | 刑の執行を終わった日等から5年を経過しない者 |
| ハ | 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定、刑法の一定の罪(傷害、暴行、脅迫など)、暴力行為等処罰に関する法律の罪により罰金刑に処せられた者 | 刑の執行を終わった日等から5年を経過しない者 |
| ニ | 健康保険法、厚生年金保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、雇用保険法などの指定された罰則規定により罰金刑に処せられた者 | 刑の執行を終わった日等から5年を経過しない者 |
| ホ | 精神の機能の障害により、雇用契約の履行に必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行えない者 | 期間の定めなし(状態で判断) |
| ヘ | 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 | 復権するまで |
| ト | 技能実習法第16条第1項により実習認定を取り消された者 | 取消しの日から5年を経過しない者 |
| チ | 実習認定を取り消された法人の、取消しの原因となった事項の発生当時の役員 | 取消しの日から5年を経過しない者 |
| リ | 契約締結日前5年以内または締結日以後に、出入国・労働に関する法令で不正または著しく不当な行為をした者 | 11類型(次の節) |
| ヌ | 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 | 5年 |
| ル | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、法定代理人がイからヌまたはヲに当たるもの | 法定代理人の状況で判断 |
| ヲ | 法人で、役員のうちにイからルまでのいずれかに当たる者がいるもの | 役員の状況で判断 |
| ワ | 暴力団員等がその事業活動を支配する者 | 支配している間 |
出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)
5年はいつから数えるか
区分によって、5年の起算点が「刑の執行が終わった日」「取消しの日」「暴力団員でなくなった日」「契約締結日の前」に分かれます。
イ・ロ・ハ・ニの刑罰に関する4区分は、刑の執行を終わった日、または執行を受けることがなくなった日から5年を数えます。数え始めるのは判決の日ではなく、刑の執行が終わった日等です。
トとチは、実習認定の取消しの日から5年です。ヌは、暴力団員でなくなった日から5年です。リだけは数え方が違い、特定技能雇用契約の締結日の前5年以内に不正・不当な行為をした場合に加えて、契約締結日以後の行為も対象です。
ヲにより、法人は役員の1人が区分に当たるだけで基準を満たさなくなります。役員を新たに選任するとき、過去5年の刑罰や暴力団との関係を確認していないと、受入れ機関としての基準に影響する可能性があります。
- 役員全員について、禁錮・拘禁刑以上の刑や、労働・社会保険関係の罰金刑を受けていないか確認する
- 役員の就任・交代のたびに、同じ確認をやり直す
- 過去に技能実習の実習認定を取り消された経歴が、法人にも役員にもないか確認する
出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)
リに当たる不正・不当な行為は11類型
リは、罰金刑に至らなくても、外国人の権利を損なう行為をした事実があれば欠格になる区分です。
基準省令は、リの「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為」として、次の11類型を例示しています。「その他」と書かれているため、例示に載っていない行為でも同種の不当な行為は対象になり得ます。
このうち(7)と(8)は、保証金の徴収や違約金契約に関する類型です。(7)は自ら契約を結ぶ行為、(8)はそうした行為をする者や、しようとする者からの紹介を受けて雇用契約を結ぶ行為です。範囲や事前ガイダンスの確認方法は別のガイドで詳しく扱っています。
(9)から(11)は、出入国在留管理庁への届出や報告、検査、処分に関する類型です。届出をしない、虚偽の届出をする、報告や検査を拒むといった対応も、欠格の対象に入っています。
(7)と(8)の詳しい範囲と、入国前の確認項目は保証金・違約金の禁止範囲にまとめています。
| 番号 | 行為の要旨 |
|---|---|
| (1) | 外国人に対して暴行し、脅迫し、または監禁する行為 |
| (2) | 外国人の旅券または在留カードを取り上げる行為 |
| (3) | 外国人に支給する手当または報酬の一部または全部を支払わない行為 |
| (4) | 外国人の外出その他私生活の自由を不当に制限する行為 |
| (5) | (1)から(4)のほか、外国人の人権を著しく侵害する行為 |
| (6) | 出入国・労働に関する不正の事実を隠す目的などで、偽造・変造・虚偽の文書を行使し、または提供する行為 |
| (7) | 活動に関連して、保証金の徴収・財産の管理、または不履行の違約金を定める契約などを締結する行為 |
| (8) | (7)に当たる行為をした者、またはしようとする者からの紹介を受けて、外国人と雇用契約を締結する行為 |
| (9) | 入管法第19条の18の届出をせず、または虚偽の届出をする行為 |
| (10) | 入管法第19条の20第1項の報告・帳簿書類の提出・質問への答弁・検査について、せず、虚偽を述べ、または拒む行為 |
| (11) | 入管法第19条の21第1項の処分に違反する行為 |
出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「雇用における注意点」(確認日:2026年8月2日)
離職者と行方不明者は「1年」で別に見られる
5年の欠格事由とは別に、直近1年の離職者と行方不明者の発生も、同じ条の基準に入っています。
基準省令第2条第1項第2号は、雇用契約の締結日前1年以内または締結日以後に、その外国人が従事する業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていないことを求めています。省令は、定年その他これに準ずる理由による退職、本人の責めに帰すべき重大な理由による解雇、自発的な離職などを、離職させていないことを求める対象から外す者として列挙しています。
第3号は、契約締結日前1年以内または締結日以後に、受入れ機関の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させていないことを求めています。第4号の13区分は5年で数えますが、第2号と第3号は1年で数える点が違います。
第1号は、労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していることを求めています。第4号のニが社会保険各法の罰金刑を扱うのに対し、第1号は法令の遵守そのものを基準にしています。
出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「受入れ機関の方」(確認日:2026年7月26日)
契約前に自社で確認する順番
欠格事由は書類を出す段階の問題ではなく、雇用契約を結ぶ前に機関の側で点検しておく事項です。
確認は、機関そのもの、役員、過去の受入れ実績の順に進めると漏れにくくなります。機関そのものでは破産手続の状況と労働・社会保険・租税の遵守を、役員ではイからニまでと暴力団との関係を、過去の実績では外国人への不当行為と届出の履行を見ます。
区分に当たるかどうか判断がつかない場合は、自社だけで結論を出さず、出入国在留管理庁の案内や専門家に確認してください。この記事は自社確認のための整理であり、個別の審査結果を示すものではありません。
費用の支払いと確認の前後は自社で決めますが、欠格に当たると基準を満たさないため、確認の結果は受入れ計画の前提になります。
- 機関の状態を確認する
破産手続開始の決定と復権の状況、労働・社会保険・租税の遵守状況を確認します。
- 役員の経歴を確認する
役員全員の刑罰歴と暴力団との関係を、イ・ロ・ハ・ニ・ヌで確認します。
- 過去の対応を確認する
外国人への11類型の行為がなかったか、届出や報告の義務を果たしていたかを確認します。
出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「受入れ機関の方」(確認日:2026年7月26日)
よくある質問
受入れ機関の欠格事由は何区分ありますか?
基準省令第2条第1項第4号に、イからワまでの13区分があります。1つでも当たると基準を満たしません。
罰金刑を受けていると、ずっと受け入れられませんか?
ロ・ハ・ニの罰金刑は、刑の執行を終わった日または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者が対象です。5年を経過した後は、この区分では対象外になります。
役員が1人だけ区分に当たる場合はどうなりますか?
ヲは、法人の役員のうちにイからルまでのいずれかに当たる者がいる法人を対象にしています。役員1人でも当たれば、法人として基準を満たしません。
外国人の旅券を預かると欠格になりますか?
リの(2)が、外国人の旅券または在留カードを取り上げる行為を、不正または著しく不当な行為の1つに挙げています。契約締結日の前5年以内または締結日以後に行うと対象です。
離職者や行方不明者の基準も5年ですか?
いいえ。第2号の同種業務の離職者と、第3号の行方不明者は、契約締結日前1年以内または締結日以後で見ます。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日、次回確認:2026年12月6日)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(確認日:2026年8月11日、次回確認:2026年11月11日)
- 出入国在留管理庁「雇用における注意点」(確認日:2026年8月2日、次回確認:2026年11月2日)
- 出入国在留管理庁「受入れ機関の方」(確認日:2026年7月26日、次回確認:2026年10月26日)
次に確認すること
個別の申請可否や審査結果を保証するものではありません。申請時点の最新資料と関係機関の案内を優先してください。