この記事の対象:自社で1号特定技能外国人支援を行うことを検討する受入れ企業の人事・総務・法務担当者

特定技能1号の支援を自社で行う受入れ機関が、支援責任者と支援担当者に誰を選任できるかを、基準省令第2条第2項と運用要領(令和8年8月版)で整理します。選任の3類型、中立性、欠格事由、兼任、変更時の届出、2027年4月の改正を確認できます。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。

支援責任者と支援担当者の役割と選任の単位

自社で支援を行う受入れ機関は、役員または職員の中から支援責任者と支援担当者を選任します。担当者は、特定技能外国人を働かせる事業所ごとに1名以上が必要です。

特定技能基準省令第2条第2項第1号は、支援責任者を「適合1号特定技能外国人支援計画の実施に関する責任者」、支援担当者を「支援計画に基づく支援を担当する者」と定めています。どちらも、受入れ機関の役員または職員の中から選任します。

運用要領(令和8年8月版)は、支援責任者を、支援担当者を監督する立場にある役員または職員とし、常勤であるかどうかは問わないとしています。支援担当者は、支援計画に沿った支援を行うことを任務とする役職員で、常勤であることが望まれる、と書かれています。

支援計画には、支援責任者と支援担当者の氏名と役職名を記載します。この記載は、運用要領が引く基準省令第3条の記載事項に含まれています。

支援責任者と支援担当者の位置づけ(運用要領・令和8年8月版)
区分位置づけ常勤についての記載
支援責任者支援計画の実施に関する責任者。支援担当者を監督する立場にある役員または職員常勤であることを問わない
支援担当者支援計画に沿った支援を行うことを任務とする役員または職員。外国人を働かせる事業所ごとに1名以上常勤であることが望まれる

出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)

支援責任者が統括する7つの事項

運用要領は、支援責任者に、支援計画の作成から関係機関との連絡調整まで、支援全体の統括管理を求めています。

運用要領は、支援責任者が統括管理する事項として、支援計画の作成、支援担当者その他支援に従事する職員の管理、支援の進捗状況の確認、支援状況の届出、支援状況に関する帳簿の作成と保管、制度所管省庁や業所管省庁などとの連絡調整、その他支援に必要な一切の事項を挙げています。

支援の状況に関する文書は、契約終了の日から1年以上、支援を行う事業所に備えて置きます。この文書には、支援責任者と支援担当者の身分事項、住所、役職、経歴(履歴書と就任承諾書)を記載した管理簿も含まれます。

  • 支援計画の作成を誰が統括するか決めた
  • 支援状況の届出と帳簿の保管を誰が行うか決めた
  • 関係機関との連絡窓口を決めた
  • 履歴書と就任承諾書を支援の管理簿に残す手順を決めた

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)

選任の3つの入り口:受入れ実績・生活相談の経験・同程度と認められる者

基準省令第2条第2項第1号は、イ・ロ・ハの3つのうち、いずれかに当たることを求めています。

イは、過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績がある受入れ機関が、役職員の中から支援責任者と支援担当者を選任する場合です。運用要領は、中長期在留者の受入れまたは管理を「少なくとも1名以上」行い、その間、入管法、技能実習法、労働関係法令を遵守していることを、適正な実績としています。賃金の不払や、雇用契約の不履行に関する違約金契約がある場合は、遵守しているとは認められないと書かれています。

対象となる中長期在留者は、就労や収入を伴う活動ができる在留資格(別表第1の1の表・2の表・5の表の上欄)の人に限られ、留学や家族滞在の人の受入れは実績に入りません。設立されたばかりで在籍者が代表者本人だけの法人や個人事業主は、第三者の受入れ・管理の実績とは認められません。技能実習の実習実施者が改善命令または改善勧告を受けている場合も、法令を遵守しているとは認められません。

ロは、受入れ実績がなくても、過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験がある役職員の中から、支援責任者と支援担当者を選任する場合です。運用要領は、生活相談を業務として行ったことが必要で、個人的な人間関係に基づく相談やボランティア活動は実績にならないと書いています。

ハは、イとロに当たらなくても、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められる場合です。運用要領は、日本人労働者を適正に雇用してきた実績があることや、労働基準監督署から是正勧告を受けていないことを挙げ、提出された資料に基づき個別に判断するとしています。

ロで基準を満たしたあと、外国人を受け入れるまでに支援責任者または支援担当者を変更する場合は、新しい人についてもロ(または他の要件)に当たることが必要です。

支援責任者・支援担当者の選任の3類型(基準省令第2条第2項第1号)
類型何が求められるか運用要領が挙げる確認書類
イ過去2年間の中長期在留者の受入れまたは管理の適正な実績と、役職員からの選任受け入れた中長期在留者リスト(参考様式第1-11-2号)
ロ過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験がある役職員からの選任支援責任者・支援担当者の履歴書、生活相談業務を行った中長期在留者リスト(参考様式第1-11-3号)
ハイ・ロと同程度に支援業務を適正に実施できると認められる者からの選任同程度であることの説明書と立証資料

出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)

中立性の基準:監督する立場にある人・親族は選任できない

支援責任者と支援担当者は、特定技能外国人を監督する立場にない人で、受入れ機関と外国人の間に紛争が生じても少なくとも中立的な立場にいる人でなければなりません。

基準省令第2条第2項第4号は、支援責任者と支援担当者が、外国人を監督する立場にない者などの中立な実施ができる立場にあり、かつ、受入れ機関の欠格事由(同条第1項第4号のイからル)に当たらない者であることを求めています。

運用要領と出入国在留管理庁のQ&Aは、中立な立場の人を、特定技能外国人と異なる部署の職員など、指揮命令権を持たない人としています。異なる部署でも、実質的に指揮命令できる立場にある人は含まれません。

代表取締役や、外国人が所属する部署を監督する長(例として、製造課の外国人なら製造部長)のように、組織図で縦のラインにある人は、形式上は別部署でも適格性がないとされています。Q&Aは、受入れ機関の役員の配偶者、2親等内の親族、役員と社会生活上密接な関係を持つ人も、適格性がないと説明しています。

運用要領は、判断に当たっては、事業形態や、外国人を監督する立場にある人と支援責任者・支援担当者との関係なども考慮要素になると書いています。個別の判断は、最寄りの出入国在留管理局への確認が前提になります。

  • 候補者が特定技能外国人と同じ部署ではない
  • 候補者が、外国人の所属部署の長や代表取締役など、組織図の縦のラインにいない
  • 候補者が役員の配偶者、2親等内の親族、密接な関係の人ではない
  • 候補者が受入れ機関の欠格事由(刑罰・暴力団関係など)に当たらない

出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)

兼任の可否:責任者が担当者を兼ねる場合と、担当者が複数人を支援する場合

支援責任者が支援担当者を兼ねることは、基準省令の文言で認められています。ただし、兼ねる人は両方の基準に適合している必要があります。

基準省令第2条第2項第1号は、「支援責任者は支援担当者を兼ねることができる」と定めています。運用要領は、兼任する場合も双方の基準に適合しなければならないとし、Q&Aも兼任は可能と答えています。

運用要領は、支援担当者が複数の1号特定技能外国人の支援を行うことも可能としています。選任は、外国人を働かせる事業所ごとに1名以上が前提です。

一方、中立性の基準があるため、外国人を監督する立場にある人は、支援責任者にも支援担当者にもなれません。兼任できるかどうかは、役職を兼ねるかではなく、中立性の基準と選任の3類型に当たるかで決まります。

定期的な面談は、基準省令で、支援責任者または支援担当者が、外国人と、その監督をする立場にある人の双方と行う体制を求められています。運用要領は、3か月に1回以上の頻度としています。

出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)

理解できる言語での支援体制:通訳人の確保と国籍の定め

支援は、外国人が十分に理解できる言語で行える体制が必要です。通訳人は、必要なときに委託などで確保できれば足りるとされています。

基準省令第2条第2項第2号は、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を、外国人が十分に理解できる言語で行える体制を求めています。運用要領は、その言語は母国語に限らないとし、通訳人を職員として雇い入れる必要はなく、必要なときに委託するなどして確保できれば足りるとしています。

第2条第2項第1号と第4号の文言に、支援責任者や支援担当者の国籍や在留資格を条件とする定めはありません。外国人の職員を選任する場合も、役職員であること、3類型のいずれかに当たること、中立性と欠格事由の基準に適合することが基準になります。

出典:e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日)、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)

変更時の届出と、2027年4月1日施行の体制要件の改正

支援責任者の就任・退任や担当者数の減少は、支援計画の変更として、変更日から14日以内の届出の対象になります。

運用要領によると、支援計画の変更(軽微な変更を除く)は、変更日から14日以内に届け出ます。別表には、支援責任者の役職を変更する場合、新たに支援責任者を選任する場合、支援責任者が退任した場合、支援担当者の数が減少した場合、支援担当者の役職や担当者を変更する場合が、届出が必要な例として挙がっています。

支援責任者が婚姻等で氏名を変更するだけなら届出は不要です。ただし、婚姻、転籍、役職変更などで、支援の中立性を確保しているかどうかの欄に変更が生じた場合は届出が必要です。

出入国在留管理庁は、令和9年(2027年)4月1日施行の改正で、支援責任者と支援担当者を、支援を行う事業所ごとに常勤の役員または職員の中から1名以上選任する要件になる、と案内しています。支援業務に従事できる者を支援責任者等に限り、支援責任者には養成講習の受講を義務づけます。

養成講習は、同日以降も当分の間は、修了していなくても差し支えないとされています。施行時期と内容は、出入国在留管理庁の最新の案内で確認してください。

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)、出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」(確認日:2026年7月26日)

よくある質問

支援責任者と支援担当者は、同じ人が兼任できますか?

できます。基準省令は、支援責任者は支援担当者を兼ねることができると定めています。ただし、兼ねる人は、役職員であることや中立性など、両方の基準に適合している必要があります。

現場の責任者や社長は、支援責任者や支援担当者になれますか?

外国人を監督する立場にある人は、適格性がないとされています。出入国在留管理庁は、代表取締役や、外国人が所属する部署を監督する長など、組織図の縦のラインにある人を例に挙げています。

役員の親族は、支援担当者になれますか?

出入国在留管理庁のQ&Aは、受入れ機関の役員の配偶者、2親等内の親族、役員と社会生活上密接な関係を有する人は、適格性がないと説明しています。

外国人の職員を支援担当者にできますか?

基準省令第2条第2項の文言には、国籍を条件とする定めはありません。役職員であること、選任の3類型のいずれかに当たること、中立性と欠格事由の基準に適合することが確認の対象です。個別の判断は、出入国在留管理局への確認が前提になります。

支援責任者が交代したときは、届出が必要ですか?

運用要領では、新たに支援責任者を選任する場合や、支援計画に記載した支援責任者が退任した場合は、支援計画の変更として、変更日から14日以内の届出が必要とされています。

参照した公的一次資料

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