この記事の対象:育成就労で外国人の受入れを検討し、送出機関に関わる費用の負担を見積もりたい事業者・監理支援機関

育成就労制度で外国人が送出機関に支払う費用の上限(月給の2か月分)、上限を超える費用を負担する育成就労実施者・監理支援機関、日本語講習費・一時帰国旅費・転籍時の初期費用の扱いを、出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aから整理します。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。

送出機関が外国人から徴収できる費用の上限

育成就労制度では、送出機関が外国人本人から徴収できる費用に上限が設けられ、超える分は日本側の受入れ側が負担します。

出入国在留管理庁の育成就労制度Q&A(Q74)は、送出機関が育成就労の対象となろうとする外国人から徴収できる費用の上限を月給の2か月分までとしたと説明しています。月給は、日本の受入れ機関(育成就労実施者)から支払われる所定内の月額を指します。

同じQ74は、この上限を超える費用が必要な場合、超える部分は育成就労実施者又は監理支援機関が負担するとしています。受入れ費用を見積もるときは、送出機関に支払う費用のうち本人から徴収できない部分が受入れ側の負担になる点を前提に置きます。

Q&A(Q10)は、外国人が送出機関に支払う費用が不当に高額とならないようにする仕組みを、特定技能制度との違いとして、育成就労外国人の保護に係る仕組みの一つに挙げています。

送出機関の費用の上限と負担者(育成就労制度Q&A Q74)
項目Q&Aの説明
外国人から徴収できる上限月給(所定内月額)の2か月分まで
上限を超える費用育成就労実施者又は監理支援機関が負担
制度上の位置づけ送出機関に支払う費用が不当に高額とならないようにする保護の仕組み(Q10)

出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)

二国間取決め(協力覚書)と送出機関の一覧

費用の基準は、送出国との二国間取決めを通じて守らせる仕組みです。

Q&A(Q70)によると、育成就労制度では原則として二国間取決め(協力覚書(MOC))を作成した国からのみ外国人を受け入れられます。作成された国は外国人技能実習機構のホームページで公開するとされています。

Q&A(Q71)は、二国間取決めに不適正な送出機関の排除や、外国人が送出機関に支払う費用の基準の遵守等を盛り込む予定としています。協議中の国から提出された暫定送出機関リストも、同機構のホームページで公開されています(Q73)。

外国人技能実習機構の育成就労制度のページには、「育成就労に関する二国間取決め(協力覚書(MOC))」と「外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度)」の項目があります。2026年10月3日に確認した時点で、協力覚書のページにはウズベキスタン・スリランカ・タイ・ラオスとの協力覚書が掲載されていました。作成国は今後も追加されるため、契約前に最新の掲載を確認します。

送出機関の一覧では、二国間取決めの作成後に送出国から正式に認定送出機関リストが提出された国を「認定」、それ以前の状態を「暫定」と表記しています。契約を検討する送出機関がどの国の機関で、どちらの表記の一覧に載っているかを確認します。

同じ一覧のページには、送出国ごとの提出状況の表があります。2026年10月3日に確認した時点で16か国が載っていて、「認定」はウズベキスタン・スリランカ・タイ・ラオスの4か国、残る12か国は「暫定」でした。暫定リストは、二国間取決めの作成に向けて協議中の国から提出されたものです。監理支援機関の許可は、取決めを作成した国から正式に認定送出機関リストが提出された後になされると、同ページに書かれています。

送出国別の送出機関リストの提出状況(外国人技能実習機構、2026年10月3日確認)
送出国リストの種別掲載・更新日二国間取決めの作成日
インドネシア暫定2026年9月30日-
ウズベキスタン認定2026年8月18日2026年6月29日
カンボジア暫定2026年4月7日-
キルギス暫定2026年9月7日-
スリランカ認定2026年9月17日2026年7月23日
タイ認定2026年9月2日2026年6月2日
タジキスタン暫定2026年7月24日-
ネパール暫定2026年10月2日-
パキスタン暫定2026年7月24日-
バングラデシュ暫定2026年9月17日-
東ティモール暫定2026年6月11日-
ブータン暫定2026年7月28日-
フィリピン暫定2026年7月13日-
ベトナム暫定2026年8月6日-
ミャンマー暫定2026年9月17日-
ラオス認定2026年9月2日2026年8月31日
  • 送出国が二国間取決め(協力覚書)の作成国か、外国人技能実習機構のページで確認した
  • 契約予定の送出機関が外国政府認定送出機関一覧(認定または暫定のリスト)に載っているか確認した
  • 送出機関が本人から徴収する費用の見積額と、月給2か月分の上限を突き合わせた

出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)、外国人技能実習機構「育成就労制度について」(確認日:2026年10月3日)、外国人技能実習機構「育成就労に関する二国間取決め(協力覚書(MOC))」(確認日:2026年10月3日)、外国人技能実習機構「外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度)」(確認日:2026年10月3日)

送出機関との関係で受入れ側に課される要件

受入れ側が送出機関から利益を受けることも、育成就労実施者の要件で制限されています。

Q&A(Q40)は、育成就労実施者の要件として新たに設けたものの一つに、送出機関等から社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭・物品その他の財産上の利益の供与や供応接待を受けることなどを行っていないことを挙げています。

本人から徴収できない費用を受入れ側が負担する仕組みと合わせて、送出機関との金銭のやり取りは、見積書や契約書で内訳が確認できる形にしておくと、費用負担の整理に使えます。

出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)

送出機関以外で受入れ側が負担する費用

育成就労制度Q&Aには、送出機関の費用のほかにも受入れ側の負担が示されている費用があります。

受入れ費用の全体を見積もるときは、送出機関の上限超過分だけでなく、次の費用も受入れ側の負担として並べておきます。金額はQ&Aに示されていないため、見積りや告示の公表を待って確認します。

一時帰国の旅費は、Q&A(Q18)で、労働者派遣形態による育成就労が認められる農業分野・漁業分野において、1年ごとに閑散期に本国へ一時帰国して育成就労を休止する計画を立てる場合の扱いとして示されています。転籍時の初期費用の負担額を定める告示は、Q&A(Q55)で今後制定する予定とされています。

育成就労制度Q&Aで受入れ側の負担とされる費用
費用負担する側Q&A
送出機関の費用のうち月給2か月分を超える部分育成就労実施者又は監理支援機関Q74
日本語講習の費用育成就労実施者又は監理支援機関が費用の負担を含め必要な措置を取るQ66
閑散期の一時帰国の旅費(農業・漁業分野、一時帰国は最大6か月)単独型は育成就労実施者、監理型は監理支援機関Q18
本人意向の転籍時の転籍元の初期費用転籍先が一定以上の金額を負担(告示の額に在籍期間の按分率を乗じる。告示は今後制定予定)Q55

出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)

日本語講習の時間数・オンライン受講・費用負担

育成就労実施者は、A1相当講習とA2目標講習をそれぞれ100時間以上履修できるよう措置する義務があり、講習の費用は受入れ側の負担です。

出入国在留管理庁・厚生労働省の資料「育成就労制度の関係省令等について」は、日本語講習を2段階で示しています。入国後講習の中で行うA1相当講習と、育成就労で就労しながら受けるA2目標講習です。どちらも認定日本語教育機関の「就労」課程で、100時間以上とされています。

講習を提供することは育成就労実施者の義務で、費用の負担が必要です。A1相当またはA2相当の試験にあらかじめ合格している人には、受講させる必要はありません。

A1相当講習・A2目標講習は、オンラインで受講することもできます。ただし、双方向で同時にコミュニケーションを取れるものであるなど、一定の要件を満たす必要があります。

経過措置として、登録日本語教員による講習は、同時に授業を受ける生徒が20人以下であることなどの要件を満たせば、施行後当分の間(5年をメド)、A1相当講習またはA2目標講習と認められます。

入国後講習の総時間数は、A1相当の日本語能力の試験に合格しているかどうかで変わります。実施時間が8時間を超える日は、8時間として計算します。

Aパターンでは、日本語科目として、認定日本語教育機関の「就労」課程でA1相当講習を100時間以上履修します。Bパターンでは、必ずしも認定日本語教育機関の講習である必要はありません。

入国後講習では、日本語のほかに、本邦での生活一般に関する知識、法令違反を知ったときの対応方法などの法的保護に必要な情報、技能の修得に資する知識も扱います。監理型では、すべての科目が業務に従事させる期間より前に行われ、講習の期間中は業務に従事させられません。

各段階の日本語能力の水準は、分野ごとにより高く設定されることがあります。対象分野の分野別運用方針で確認してください。

入国後講習の総時間数(日本語講習を含む)
パターン総時間数入国前講習を受けた場合
Aパターン(A1相当の日本語能力の試験に合格していない)320時間以上過去6か月以内に160時間以上の課程を有する入国前講習を受けた場合は、160時間以上
Bパターン(A1相当の日本語能力の試験に合格している)220時間以上過去6か月以内に110時間以上の課程を有する入国前講習を受けた場合は、110時間以上

出典:出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の関係省令等について」(確認日:2026年10月3日)、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)

いつから適用されるか(施行日と施行日前申請)

上限の仕組みは育成就労制度の施行とともに適用されます。

Q&A(Q3)によると、育成就労制度の施行日は令和9年4月1日です。監理支援機関の許可の施行日前申請は令和8年4月15日から、育成就労計画の認定の施行日前申請は同年9月1日から受け付けられています。

このページは公表されているQ&Aの内容を整理したもので、個別の送出機関との契約内容や費用の妥当性は判断しません。具体的な費用の扱いは、外国人技能実習機構や監理支援機関、送出機関の見積りで確認してください。

出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)

よくある質問

育成就労で送出機関に支払う費用の上限はいくらですか?

送出機関が外国人本人から徴収できる費用は、受入れ機関から支払われる月給(所定内月額)の2か月分までです(育成就労制度Q&A Q74)。

上限を超える費用は誰が払いますか?

上限を超える部分は、育成就労実施者又は監理支援機関が負担することとされています(Q74)。

どの国の送出機関とも契約できますか?

原則として二国間取決め(協力覚書)を作成した国からのみ受け入れられます。作成国と外国政府認定送出機関の一覧は外国人技能実習機構のホームページで確認します(Q70)。

日本語講習の費用は本人負担にできますか?

Q&A(Q66)は、育成就労実施者又は監理支援機関が費用の負担を含め日本語能力向上のために必要な措置を取るとしています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する

続けて確認する場合は、育成就労制度の全体像(技能実習・特定技能との違い)を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、特定技能の受入れ費用の内訳と比べるで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、監理支援機関の許可基準を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、本人意向転籍に必要な技能・日本語能力の水準を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、外国人育成就労機構が担う業務内容を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

個別の申請可否や審査結果を保証するものではありません。申請時点の最新資料と関係機関の案内を優先してください。