この記事の対象:育成就労で外国人の受入れを検討し、送出国ごとの覚書の違いを一次資料で確かめたい事業者・監理支援機関
協力覚書を結んだ5か国と署名日
外国人技能実習機構の育成就労の案内ページには、2026年10月16日の確認時点で、ウズベキスタン・スリランカ・タイ・東ティモール・ラオスの5か国との協力覚書が五十音順に並んでいます。
協力覚書は、日本と送出国が育成就労を適正かつ円滑に行うために連携を図ることを目的に作成されています。国ごとの内容は、出入国在留管理庁と厚生労働省のウェブサイトで確認するよう案内されています。
当サイトが10月3日に確認した時点では、掲載は4か国でした。東ティモールの覚書は、2026年10月13日にディリで署名されたと書かれています。作成国は今後も増えるため、契約前に最新の掲載を確認します。
出入国在留管理庁が公表する和文の仮訳で、日本側の署名と相手国側の署名の日付、相手国の機関を並べると次のとおりです。日本側の当事者は、5か国とも法務省・外務省・厚生労働省・警察庁です。
| 国 | 日本側の署名(東京) | 相手国側の署名 | 相手国の機関 |
|---|---|---|---|
| ウズベキスタン | 2026年5月20日 | 2026年6月29日(タシケント) | ウズベキスタン移民庁 |
| スリランカ | 2026年5月20日 | 2026年7月23日(コロンボ) | 外務・海外雇用・観光省 |
| タイ | 2026年5月20日 | 2026年6月2日(バンコク) | タイ王国労働省 |
| 東ティモール | 2026年7月21日 | 2026年10月13日(ディリ) | 職業訓練雇用担当国務長官府 |
| ラオス | 2026年8月5日 | 2026年8月31日(ビエンチャン) | 労働社会福祉省 |
有効期間と自動延長・終了の通告期限
5か国の覚書は、有効期間と延長・終了の通告期限が同じ趣旨で書かれています。
協力は5年間続き、日本の省庁か相手国の機関のどちらかが終了日の60日前までに延長しない旨を書面で通告しない限り、自動的に5年間延長されると書かれています。
期間の満了前に協力を終えたい場合は、終了を希望する日の90日前までに、書面で相手方へ意図を通告します。内容の修正や補足は、両者の書面による同意で行うとされています。
協力の開始日の書き方は、タイが「最終署名日から」、ほかの4か国が「後記の署名の日から」と少し異なります。期間の数え始めを知りたいときは、各国の覚書の本文で確認します。
| 項目 | 覚書の記載 |
|---|---|
| 協力の期間 | 5年間 |
| 自動延長 | 終了日の60日前までに延長しない旨の書面の通告がなければ、自動的に5年間延長 |
| 期間満了前の終了 | 終了を希望する日の90日前までに、書面で相手方へ通告 |
| 内容の修正・補足 | 両者の書面による同意 |
受入れ見込数を超えた分野の計画認定の一時停止
5か国の覚書には、分野ごとの受入れ見込数を超えた場合に育成就労計画の認定を一時的に停止できる条項があります。
日本の省庁は、関係省庁と協同して育成就労産業分野ごとの受入れ見込数を定めて公表し、基本的にこれを各国を含めた育成就労外国人の受入れ人数の上限として運用すると書かれています。
特定の分野で受入れ人数が受入れ見込数を超えるときは、育成就労法の規定に従い、その分野の育成就労計画の認定を一時的に停止できます。あらかじめ書面で相手国の機関に通告するとされています。
在留に関する事項は、雇用契約の状況、実施状況、生活状況などを考慮して、日本の出入国に関する法令に基づき適切に対処すると書かれています。分野ごとの見込数は別のページで確認できます。
別添1の送出機関の認定基準:5か国の違い
5か国の覚書の別添1には、相手国の機関が送出機関を認定するときの基準が付いています。和文仮訳で突き合わせると、大半の項目は5か国で同じ文言で、違いは2か国にあります。
共通の基準には、手数料その他の費用を徴収する場合に算出基準を公表して説明すること、役員が拘禁刑以上の刑を受けた場合は執行の終了などから5年を経過していることが含まれます。過去5年以内に、保証金の徴収などで本人や親族の金銭を管理する行為、契約不履行の違約金を定める行為をしていないことも求められます。
同じく共通の基準として、育成就労計画に記載された報酬の月額の2か月分を超える費用を、本人や親族から受け取る行為をしていないことが挙げられています。ブローカーの介入を許容しないことも、5か国とも同じ項に書かれています。
違いの1つ目はスリランカです。基準は12項あり、ほかの4か国にはない項として、スリランカ海外雇用局法に基づく海外雇用局の有効な許可を持つことが加わっています。2つ目はラオスで、犯罪歴がないことを確かめる公的文書の発行者として、人民裁判所の裁判長が書かれています。
犯罪歴の公的文書の発行者は、スリランカが警察本部犯罪記録課、ラオスが人民裁判所の裁判長と書かれています。タイ・ウズベキスタン・東ティモールは、その国が発行する公的文書とだけ書かれ、発行する機関名は別添1にありません。
| 国 | 基準の項数 | 共通基準との違い | 犯罪歴の公的文書の発行者 |
|---|---|---|---|
| ウズベキスタン | 11項 | なし | ウズベキスタン共和国(機関名の記載なし) |
| スリランカ | 12項 | 海外雇用局の有効な許可を持つことを定める項が加わる | 警察本部犯罪記録課 |
| タイ | 11項 | なし | タイ王国(機関名の記載なし) |
| 東ティモール | 11項 | なし | 東ティモール民主共和国(機関名の記載なし) |
| ラオス | 11項 | 犯罪歴の公的文書の発行者の書き方が異なる | 人民裁判所の裁判長 |
受入れ側が候補者の国で確認すること
育成就労では、原則として協力覚書を作成した国からのみ外国人を受け入れられます。候補者の国が5か国に入るかを最初に確かめます。
出入国在留管理庁の育成就労制度Q&A(Q69)は、原則として二国間取決めを作成した国からのみ受け入れられると説明しています。5か国以外の候補者は、作成国に追加されたかを案内ページで確認します。
覚書の別添1には、各国の送出機関の認定基準が付いています。送出機関に支払う費用や認定の状況は、覚書の本文と外国政府認定送出機関の一覧で国ごとに確認し、このページの表だけで判断しないでください。
- 候補者の国籍国が外国人技能実習機構の協力覚書の一覧に載っているか確認した
- 該当国の覚書の和文仮訳を開き、別添1の送出機関の認定基準を読んだ
- 契約予定の送出機関が外国政府認定送出機関の一覧に載っているか確認した
- 分野ごとの受入れ見込数と計画認定の一時停止の扱いを確認した
よくある質問
育成就労の協力覚書を結んだ国はいくつありますか?
外国人技能実習機構の案内ページには、2026年10月16日の確認時点で、ウズベキスタン・スリランカ・タイ・東ティモール・ラオスの5か国が掲載されています。作成国は今後増えるため、契約前に最新の掲載を確認します。
覚書の有効期間はどのくらいですか?
5か国とも協力は5年間続き、終了日の60日前までに延長しない旨の書面の通告がなければ、自動的に5年間延長されると書かれています。
5か国以外の国の人は育成就労で受け入れられませんか?
出入国在留管理庁のQ&A(Q69)は、原則として二国間取決めを作成した国からのみ受け入れられると説明しています。作成国は追加されるため、最新の案内ページで確認します。
特定技能の協力覚書と同じものですか?
別の文書です。特定技能の覚書は17か国との間で作成されています。育成就労の覚書は、育成就労制度に関する協力を定めたものです。
別添1の送出機関の認定基準は、5か国で違いますか?
和文仮訳で突き合わせると、大半の項目は同じ文言です。違いは、スリランカに海外雇用局の有効な許可を持つことを定める項があること、犯罪歴の公的文書の発行者がスリランカは警察本部犯罪記録課、ラオスは人民裁判所の裁判長と書かれていることです。
参照した公的一次資料
- 外国人技能実習機構「育成就労に関する二国間取決め(協力覚書(MOC))」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年11月2日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日、次回確認:2026年10月22日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):ウズベキスタン」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):スリランカ」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):タイ」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):東ティモール」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):ラオス」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
次に確認すること
試算ツールは特定技能1号の費用が対象です。育成就労から特定技能1号へ移った後の支援費は「1号特定技能外国人支援の体制」欄に、見積が手元にある費目は「費目別の確認状況」欄に入力します。育成就労の監理支援費や送出し関連の費用は入力欄がありません。