この記事の対象:育成就労の受入れを検討する事業者と、監理支援機関の許可を目指す団体で、取消しの対象になる行為を事前に把握したい方
取消しには2種類ある
育成就労の協力覚書の別添には、受入れ側に対する取消しが2種類書かれています。育成就労実施者に対する計画の認定の取消しと、監理支援機関に対する許可の取消しです。
計画の認定の取消しは、育成就労法第16条に基づき、出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣が行えると書かれています。許可の取消しは、同法第37条に基づき、法務大臣と厚生労働大臣が行えるとされています。
どちらも「取り消すことができる」という書き方で、事由に当たれば自動的に取り消されるわけではありません。この記事は、出入国在留管理庁が公表した覚書の和文仮訳に書かれた範囲を紹介するもので、個別の事案が取消しに当たるかを判断するものではありません。
| 取消しの対象 | 根拠 | 取消しを行える者 | 事由の数 |
|---|---|---|---|
| 育成就労計画の認定(育成就労実施者) | 育成就労法第16条 | 出入国在留管理庁長官・厚生労働大臣 | 6項 |
| 監理支援機関の許可 | 育成就労法第37条 | 法務大臣・厚生労働大臣 | 4項 |
計画の認定が取り消される6つの場合と、その後の5年間
育成就労実施者の計画の認定は、認定された計画どおりに育成就労を行わせていないと認められるときなど、6つの場合に取り消すことができるとされています。
6つの場合は、計画どおりに行っていない、認定の基準に適合しなくなった、同法第10条の各号に当たることとなった、報告や帳簿書類の提出などに応じない(虚偽を含む)、ESDOの求めに虚偽で答えた、同法第15条第1項の命令に違反した、というものです。
別添はこのほかに、2つの行為を例として挙げています。認定送出機関から社会通念上相当と認められる程度を超える金銭や物品の供与、接待を受けた場合、または要求や申込みの承諾をした場合は、認定が取り消されることがあります。違約金を定める契約など、不当に金銭の移転を予定する契約が育成就労実施者・監理支援機関・認定送出機関の間でなされていた場合も同じです。
計画の認定の基準を定めた別添は、認定を取り消された者(技能実習制度で計画の認定を取り消された者を含む)は、その後5年間は新たな育成就労計画の認定を受けられないと書いています。費用面では、認定の基準に、認定送出機関へ本人が支払った費用が計画に記載された報酬の月額の2か月分を超えないことも挙げられています。
| 番号 | 取消しの対象となる場合 |
|---|---|
| (1) | 認定された育成就労計画に従って育成就労を行わせていないと認められるとき |
| (2) | 認定計画が、育成就労法の認定の基準に適合しなくなったと認められるとき |
| (3) | 育成就労実施者が、同法第10条の各号のいずれかに当たることとなったとき |
| (4) | 報告や帳簿書類の提出・提示をしない、虚偽の報告をする、質問に答えない、検査を拒むなど(同法第13条第1項) |
| (5) | ESDO(外国人育成就労機構)の報告・帳簿書類の求めに虚偽で応じる、職員の質問に虚偽で答えるなど(同法第14条第1項) |
| (6) | 同法第15条第1項による命令に違反したとき |
監理支援機関の許可が取り消される4つの場合
監理支援機関の許可は、許可の基準に適合しなくなったと認められるときなど、4つの場合に取り消すことができるとされています。
4つの場合は、許可の基準(同法第25条第1項各号)に適合しなくなった、同法第26条の各号(一部の号を除く)に当たることとなった、許可に付された条件(同法第30条第1項)に違反した、育成就労法や政令で定める出入国・労働の法令の規定、またはそれらに基づく命令や処分に違反した、というものです。
別添は、認定送出機関から社会通念上相当と認められる程度を超える金銭や物品の供与、接待を受けた場合、または要求や申込みの承諾をした場合には、許可が取り消されることがあると書いています。
監理支援機関が、認定送出機関を含む育成就労に関連する者から、監理支援費に当たらない金銭を受け取った場合は、許可が取り消されるほか、同法第111条により6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処されることがあるとされています。
許可の基準を定めた別添は、許可を取り消された者(技能実習の監理許可の取消しを含む)は、その後5年間は許可を受けられないとも書いています。
| 番号 | 取消しの対象となる場合 |
|---|---|
| (1) | 育成就労法第25条第1項各号のいずれかに適合しなくなったと認められるとき |
| (2) | 同法第26条各号(第2号・第3号・第5号ハ・ニを除く)のいずれかに当たることとなったとき |
| (3) | 同法第30条第1項により付された許可の条件に違反したとき |
| (4) | 育成就労法、または出入国・労働に関する法律の規定で政令で定めるもの、あるいはそれらに基づく命令・処分に違反したとき |
5か国の覚書で取消事由は同じか
ウズベキスタン・スリランカ・タイ・東ティモール・ラオスの5か国の和文仮訳で、監理支援機関の許可の取消しと計画の認定の取消しの本文を突き合わせると、文言は同じです。
取消事由の番号と内容は、5か国とも変わりません。送出国によって取消しの基準が変わることはないため、候補者の国を決める前に取消事由を国ごとに調べ直す必要はありません。
違うのは別添の番号です。ラオスの覚書は別添が1つ少なく、許可の取消しと計画の認定の取消しの別添は、ラオスが別添5・6、ほかの4か国が別添6・7になります。覚書の条文を引くときは、国ごとの別添の番号を確かめます。
- 自社の計画が認定の基準に適合し続けているか、認定後の変更も含めて確認している
- 認定送出機関や関係者から、社会通念上相当と認められる範囲を超える金銭や接待を受け取らない運用にしている
- 送出機関との契約に、違約金など不当に金銭の移転を予定する条項が入っていない
- 報告・帳簿書類の提出や検査の求めに、正確に応じる体制がある
- 監理支援機関に支払う監理支援費以外の金銭を、関係者から受け取っていない
よくある質問
育成就労計画の認定が取り消されるとどうなりますか?
協力覚書の別添は、認定を取り消された者は、その後5年間は新たな育成就労計画の認定を受けられないと書いています。技能実習制度で計画の認定を取り消された者も含まれます。
取消しの事由は送出国によって違いますか?
ウズベキスタン・スリランカ・タイ・東ティモール・ラオスの5か国の和文仮訳を突き合わせると、取消事由の文言は同じです。違うのは別添の番号です。
送出機関から接待を受けると取消しの対象になりますか?
別添は、認定送出機関から社会通念上相当と認められる程度を超える金銭や物品の供与、接待を受けた場合は、計画の認定や監理支援機関の許可が取り消されることがあると書いています。個別の事案が当たるかは、関係機関に確認します。
監理支援費以外の金銭を受け取るとどうなりますか?
別添は、監理支援機関が監理支援費に当たらない金銭を関係者から受け取った場合、許可が取り消されるほか、育成就労法第111条により6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処されることがあると書いています。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):ウズベキスタン」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):スリランカ」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):タイ」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):東ティモール」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に関する協力覚書(仮訳):ラオス」(確認日:2026年10月16日、次回確認:2026年11月15日)
次に確認すること
試算ツールは特定技能1号の費用が対象です。育成就労から特定技能1号へ移った後の支援費は「1号特定技能外国人支援の体制」欄に、見積が手元にある費目は「費目別の確認状況」欄に入力します。育成就労の監理支援費や送出し関連の費用は入力欄がありません。