この記事の対象:育成就労の受入れを検討する企業の担当者、育成就労計画の認定を受けた(受ける予定の)実施者の法務・総務担当者

3つの権限と、従わないときの扱い

運用要領の第4章第8節・第9節は、報告徴収と立入検査(法第13条・第14条)、改善命令(法第15条)を、認定を受けた実施者への監督の手段として定めています。

法第13条は主務大臣、法第14条は計画の認定事務を行う外国人育成就労機構が、育成就労実施者などに報告や帳簿書類の提出を求め、質問し、事業所に立ち入って検査する権限です。法第15条は、出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣が、実施者に期限を定めて改善の措置を命じる権限です。

主務大臣への報告の拒否や虚偽、機構への虚偽の回答、改善命令への違反は、認定の取消しの事由になります(法第16条)。一部は罰則の対象にもなります。

報告徴収・実地検査・改善命令の比較(法第13〜15条と運用要領第4章第8節・第9節より)
条文行う者内容拒む・従わないとき
法第13条(報告徴収等)主務大臣報告、帳簿書類の提出・提示の命令、出頭の求め、質問、事業所への立入検査認定の取消事由(法第16条)。30万円以下の罰金(法第112条第3号)
法第14条(機構による事務の実施)外国人育成就労機構報告や帳簿書類の提示の求め、関係者への質問、設備・帳簿書類の実地検査虚偽の回答は認定の取消事由(法第16条)。調査への協力が得られないと、計画が認定されない
法第15条(改善命令等)出入国在留管理庁長官・厚生労働大臣期限を定めて、改善に必要な措置をとるよう命じる。命じたときは公示する認定の取消事由(法第16条)。6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(法第111条第1号)

報告徴収・実地検査の対象と進め方

対象は現在の実施者だけでなく、元実施者、監理支援機関、元監理支援機関と、それぞれの役職員・元役職員です。

運用要領は、主務大臣には、育成就労実施者、元育成就労実施者、監理支援機関、元監理支援機関等に対し、報告の徴収、帳簿書類の提出や提示の命令、出頭の命令、質問、立入検査を行う権限が認められていると説明しています。質問や立入検査を行う職員は、身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があれば提示します。この権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないと条文にあります。

認定に関する業務は機構に行わせることとされているため、機構も実施者や監理支援機関に報告や帳簿書類の提示を求め、関係者(入国後講習を受託している機関の職員など)に質問し、設備や帳簿書類を実地に検査できます。機構が必要と認める場合は、電子メールやオンライン会議システム等を活用することがあります。機構は検査の結果を、出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣に報告します。

運用要領は、機構は監理支援機関と育成就労実施者に対して定期的に実地検査を行うとし、検査には積極的に協力して、自らの育成就労の内容が適正に行われていることを明らかにすることが求められると書いています。

検査で求められる帳簿の備付けは、育成就労実施者の帳簿の備付けのガイドで確認できます。

検査を拒んだ・虚偽を述べたとき

主務大臣の検査の拒否や虚偽の報告は、認定の取消事由に加えて罰則の対象です。機構の検査での虚偽も、取消事由になります。

主務大臣が行う報告徴収等を拒んだり、虚偽の回答をしたりした場合は、育成就労計画の認定の取消事由になる(法第16条)ほか、30万円以下の罰金の対象になります(法第112条第3号)。

機構が行う実地検査等で虚偽の回答をした場合も、認定の取消事由になります。調査への協力が得られない場合は、認定に必要な情報が得られないため、育成就労計画は認定されないことになると運用要領は説明しています。

認定の取消しの事由の全体は、育成就労計画の認定の取消しの理由のガイドで確認できます。

改善命令の中身と、新たな認定への影響

改善命令は、違反行為そのものだけでなく、違反を起こす管理体制や運営の改善を目的に出されます。

出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣は、実施者が認定育成就労計画に従って育成就労を行わせていないと認めるとき、または育成就労法や出入国・労働に関する法令に違反した場合で、育成就労の適正な実施を確保するために必要があると認めるときに、期限を定めて改善に必要な措置をとるよう命じることができます。命じたときは、その旨を公示します。

運用要領は、改善命令を受けた実施者は、命じられた事項について期限内に改善の措置を講じる必要があるとしています。改善の確認を受けるまでの間は、新たな育成就労計画の認定を受けることができません。命令に従わない場合や、講じた措置が適切と認められない場合は、認定の取消事由になるほか、罰則の対象になります。

留意事項として、改善命令を受けた場合は、示された改善期日までに求められた措置を講じ、今後法令違反を犯さない体制に改善されたことを明らかにするため、改善報告書を提出する必要があるとされています。再度同様の違反に及ぶと、認定の取消し等のより厳しい措置の対象になり得るため、改善した体制を維持することが求められます。

監理支援機関が受ける改善命令は、監理支援機関の改善命令・事業停止命令・許可の取消しのガイドで確認できます。

  • 機構の定期的な実地検査に備えて、育成就労の内容が計画どおりに行われていることを示せるようにしておく
  • 報告や帳簿書類の提示を求められたら拒まず、事実のとおりに答える(主務大臣への拒否・虚偽、機構への虚偽は取消事由)
  • 改善命令を受けたら、期限内に命じられた措置を講じ、改善報告書を提出する
  • 改善の確認を受けるまでは新たな計画の認定を受けられないことを、受入れ計画に織り込む
  • 改善命令を受けると公示される。日常から適正な実施を続ける

よくある質問

報告徴収や立入検査は、誰が行いますか?

主務大臣のほか、計画の認定事務を行う外国人育成就労機構が、実施者や監理支援機関に報告や帳簿書類の提示を求め、質問し、実地に検査できます。機構は定期的に実地検査を行うと運用要領に書かれています。

検査を断ったり、事実と違う回答をしたりするとどうなりますか?

主務大臣の報告徴収等を拒んだり虚偽の回答をしたりすると、認定の取消事由になり(法第16条)、30万円以下の罰金の対象にもなります。機構の実地検査での虚偽も取消事由です。

改善命令を受けると、新しい計画の認定は受けられますか?

出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣から改善の確認を受けるまでの間は、新たな育成就労計画の認定を受けられません。命令を受けた旨は公示されます。

改善命令を受けたあと、何を提出しますか?

運用要領は、示された改善期日までに求められた措置を講じ、法令違反を犯さない体制に改善されたことを明らかにするため、改善報告書を提出する必要があると書いています。

参照した公的一次資料

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