この記事の対象:育成就労の受入れを検討する企業(育成就労実施者)の経営者・人事担当者、監理支援機関になる予定の団体の担当者
育成就労の受入れ企業(育成就労実施者)に求められる運営基準の新設項目、育成就労責任者などの養成講習、常勤職員数に応じた受入れ人数枠、指定区域による拡大、人数枠に数えない外国人を、出入国在留管理庁の資料から整理します。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。
運営基準:技能実習から引き継ぐ要件と新しく設けられた要件
出入国在留管理庁のQ&Aは、受入れ人数枠を含む育成・支援体制の要件を技能実習制度から引き継ぎつつ、育成就労で新たに設けた要件を挙げています。
Q&A(Q40)が挙げる新しい要件は、過去1年以内に実施者または監理支援機関の責めに帰すべき事由で育成就労外国人の行方不明者を出していないこと、同種の業務に従事していた労働者を過去1年以内に離職させていないこと(自発的に離職した者等を除く)、労働・社会保険・租税の法令を守っていることです。
送出機関等から社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭や物品、接待を受けていないこと、雇用契約の締結にあたり労働条件等の待遇を直接またはオンラインで説明していること、受入れ対象分野別の協議会に加入していることも、同じ箇所に挙がっています。Q&Aは「など」と書いており、これですべてではありません。
出入国在留管理庁・厚生労働省の「育成就労制度の関係省令等について」は、このほかの運営基準として、地方公共団体から共生社会の実現のための施策への協力を要請されたときに応じること、外国人の健康や生活の状況を把握する措置を講じること、指導体制など育成就労を継続して行わせる体制を整えることを挙げています。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)、出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の関係省令等について」(確認日:2026年10月3日)
育成就労責任者・育成就労指導員・生活相談員:3役の選任と養成講習
育成就労を行わせる事業所には、育成就労責任者、育成就労指導員、生活相談員の3つの役割が必要で、いずれも過去3年以内の養成講習の修了が求められます。
関係省令等の資料では、3役とも、育成就労を行わせる事業所に所属する常勤の職員であって、過去3年以内に養成講習を修了した者とされています。育成就労責任者は、ほかの育成就労指導員や生活相談員などを監督できる立場にあることが条件で、生活相談員は外国人の生活の相談・助言を担当します。
Q&A(Q44)によると、技能実習制度では指導員と生活指導員の養成講習の受講は優良な実習実施者の判断での加点にとどまり義務ではありませんでした。育成就労制度では、指導員と生活相談員も責任者と同様に、過去3年以内の養成講習の受講が義務になります。
施行後の当分の間は、技能実習制度の養成講習で代替する予定とされています。3役の選任は、育成就労計画の認定を申請する前に、社内の誰がどの役割を担えるかを洗い出す作業になります。資格や経験の細かい条件は、関係省令等の資料と運用要領で確認します。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)、出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の関係省令等について」(確認日:2026年10月3日)
受入れ人数枠:常勤職員数に応じた上限と、1年目から3年目の合計で数える方式
育成就労制度では、育成就労実施者の常勤職員数に応じた受入れ人数枠が設けられ、優良な実施者は基本の2倍、優良な監理支援機関の監理支援を受ける地方の優良な実施者は3倍まで拡大されます。
Q&A(Q41)は、技能実習制度の1号から3号までの区分が廃止されたため、1年目から3年目までの育成就労外国人の合計で人数枠を定めると説明しています。そのため、同じ事業年度に人数枠の上限まで受け入れることも可能です。
「育成就労制度の関係省令等について」の概略図(8ページ)は、監理型の人数枠を3段階の表で示しています。基本の人数枠は常勤職員の総数の20分の3(15%)、優良な育成就労実施者は基本の2倍(10分の3、30%)、優良な監理支援機関の監理支援を受け、かつ指定区域(地方)に住所がある優良な育成就労実施者は基本の3倍(20分の9、45%)です。優良な育成就労実施者であることは3倍の枠の条件ですが、監理支援機関が優良であることは2倍の枠の条件にはなりません。
常勤職員が301人以上なら上の割合を掛けた人数、300人以下なら表に示された人数が上限です。常勤職員の数には、育成就労外国人と技能実習生は含めず、特定技能など、ほかの在留資格の外国人は含めます。表の人数は、概略図の表を転記したものです。自社の枠は、省令と運用要領の原文または地方出入国在留管理局でも確認してください。運用要領(全文)には、「育成就労外国人の人数枠に関するもの」として、総論、地方特別枠、分野特有の事情、人数枠の枠外の各項目が設けられています。
単独型(海外の子会社などから受け入れる方式)の人数枠は、概略図の別表で示されています。継続的かつ安定的に育成就労を実施できる体制を持つ実施者は、上の監理型の枠と同じ区分になります。それ以外の実施者は、基本が20分の3(常勤職員20名以上が必要)、優良が10分の3(10名以上が必要)で、指定区域の優良な実施者への3倍の枠はありません。
試算の観点では、人数枠が受入れ人数の上限になるため、追加で採用したい人数が枠に収まるかを、費用を見積もる前に確かめておく必要があります。
| 常勤職員の総数 | 基本の枠 | 優良(2倍) | 優良な監理支援機関の監理支援を受ける指定区域の優良な実施者(3倍) |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 総数の20分の3 | 総数の10分の3 | 総数の20分の9 |
| 201〜300人 | 45人 | 90人 | 135人 |
| 101〜200人 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 51〜100人 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 41〜50人 | 15人 | 30人 | 45人 |
| 31〜40人 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 9〜30人 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 8人 | 9人 | 18人 | 24人 |
| 7人 | 9人 | 18人 | 21人 |
| 6人 | 9人 | 18人 | 19人 |
| 5人 | 9人 | 15人 | 16人 |
| 4人 | 9人 | 12人 | 13人 |
| 3人 | 9人 | 10人 | 11人 |
| 2人 | 6人 | 7人 | 8人 |
| 1人 | 3人 | 4人 | 5人 |
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)、出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の関係省令等について」(確認日:2026年10月3日)、出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領 ~関係者の皆さまへ~」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)
指定区域と優良要件:人数枠が広がる条件
地方にある優良な育成就労実施者が、優良な監理支援機関の監理支援を受ける場合、受入れ人数枠が拡大されます。
指定区域は、告示で定められた地域です。Q&A(Q42)によると、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県以外の道県と、この8都府県の一部の地域が指定区域として地方とされます。概略図(14ページ)は、この一部の地域を8都府県の過疎地域と示しています。外国人が大都市圏に過度に集中することを防ぐための配慮です。
指定区域かどうかは、就労先ではなく育成就労実施者の本店所在地で判断されます(Q43)。運用要領のポイントは、地方特別枠の住所要件を、法人は登記簿上の本店所在地、個人は住民票上の住所が指定区域にあるかで判断するとしています。
優良と認められる要素として、Q&A(Q45)は、技能・日本語能力の修得の実績、育成就労を行わせる体制、外国人の待遇、法令違反や行方不明者の発生状況、相談・支援の体制と実施状況、地域社会との共生に向けた取組の状況を挙げています。具体的な基準はQ&A(Q46)で追って運用要領に示すとされており、確認した時点では未公表です。
運用要領のポイントは、優良と認められると、一定期間、優良要件適合申告書等の提出を省略できるとしています。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)、出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領のポイント」(確認日:2026年9月7日)
人数枠に数える外国人・数えない外国人:技能実習生と転籍者などの扱い
運用要領のポイントは、人数枠に数える外国人と、枠の外に置く外国人を分けて示しています。
育成就労法の施行後も引き続き技能実習を行っている1号技能実習生と2号技能実習生は、育成就労外国人の数として人数枠に数えます。3号技能実習生は、技能実習法による人数枠の規制は受けますが、育成就労外国人の数としては数えず、育成就労法による人数枠の規制も受けません。
人数枠に含まれないのは、「やむを得ない事情」により転籍した育成就労外国人、育成就労の期間が延長された育成就労外国人、そのほか保護の観点から特別の理由があると認められる外国人(妊娠・出産等で中断していた人が再開する場合など)です。
| 区分 | 人数枠での扱い |
|---|---|
| 1号・2号技能実習生(施行後も継続) | 育成就労外国人の数として数える |
| 3号技能実習生(施行後も継続) | 育成就労外国人の数としては数えない |
| 「やむを得ない事情」で転籍した人 | 人数枠に含まれない |
| 育成就労の期間が延長された人 | 人数枠に含まれない |
| 妊娠・出産等で中断し、再開する人など | 人数枠に含まれない |
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領のポイント」(確認日:2026年9月7日)、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日)
よくある質問
育成就労の受入れ企業が満たす要件は、技能実習の実習実施者と同じですか?
出入国在留管理庁のQ&Aは、技能実習制度の要件を引き継ぎつつ、行方不明者を出していないこと、同種業務の労働者を離職させていないこと、受入れ対象分野別の協議会への加入などを新たに設けたと説明しています。細かい条件は省令と運用要領で確認します。
指定区域かどうかは、就労先の所在地で決まりますか?
就労先ではなく、育成就労実施者の本店所在地で判断されます。運用要領のポイントでは、法人は登記簿上の本店所在地、個人は住民票上の住所で判断するとされています。
受入れ人数枠の具体的な人数は、このガイドで分かりますか?
監理型は、概略図の表の人数を転記しています。基本は常勤職員の総数の20分の3、優良は2倍、優良な監理支援機関の監理支援を受ける指定区域の優良な実施者は3倍です。たとえば常勤職員が50人なら、基本15人、優良30人、3倍の枠45人です。実際の枠は省令と運用要領の原文または地方出入国在留管理局でも確認します。介護分野には上乗せの人数枠もあるため、あわせて確認します。
優良な育成就労実施者の基準は決まっていますか?
確認した時点では、具体的な基準は運用要領で追って示すとされています。優良と認められる要素の項目(技能・日本語の修得実績、体制、待遇、問題の発生状況、相談・支援体制、地域との共生)だけが示されています。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年9月22日、次回確認:2026年10月22日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領のポイント」(確認日:2026年9月7日、次回確認:2026年12月7日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の関係省令等について」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2027年1月3日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領 ~関係者の皆さまへ~」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2027年1月3日)
次に確認すること
続けて確認する場合は、監理支援機関の許可基準を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。
続けて確認する場合は、育成就労制度の全体像を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。
続けて確認する場合は、分野別の受入れ見込数を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。
続けて確認する場合は、育成就労の介護分野の人数枠を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。
個別の申請可否や審査結果を保証するものではありません。申請時点の最新資料と関係機関の案内を優先してください。