この記事の対象:特定技能外国人に機械や高所の作業をさせる企業の安全衛生担当者、受入れ費用を見積もる担当者

特別教育が必要な業務は規則第36条が決める

労働安全衛生法第59条第3項は、危険又は有害な業務で厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、事業者がその業務に関する特別の教育を行わなければならないと定めています。

対象の業務は、労働安全衛生規則第36条が号ごとに列挙しています。法の文言は労働者を区別せず、外国人かどうかで対象は変わりません。

雇入れ時の教育(法第59条第1項)とは別の定めで、第36条に挙がった業務につかせるときに追加で必要になります。特別教育の科目や時間数は規則第36条には書かれていないため、このガイドでは扱いません。教育にかかる費用の負担や金額も、今回確認した原文には書かれていないため示しません。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第59条(安全衛生教育)(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第36条(特別教育を必要とする業務)(確認日:2026年10月13日)

見積の漏れやすい6つの業務と条文の号

特定技能の受入れで見落としやすい業務を、規則第36条の号と条文の範囲のまま並べます。

条文には、道路上を走行させる運転を除く、荷の積み卸しを伴うものに限る、といった範囲の限定があります。自社の作業が当たるかは、この限定を含めて確認します。

第36条にはこの6つのほかにも、プレス機械の金型の取付け、フォークリフトの運転、足場の組立て、石綿の作業など多数の号があります。ここに挙げたのは、自動車整備・自動車運送・林業の業務や、溶接・高所作業と関わりやすいものに絞った抜粋で、全号ではありません。

労働安全衛生規則第36条の特別教育を必要とする業務(抜粋。条文の号と範囲)
号業務条文の範囲
第三号アーク溶接等の業務アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等
第四号の二蓄電池を内蔵する自動車の整備の業務対地電圧が50ボルトを超える蓄電池を内蔵する自動車の整備
第五号の四テールゲートリフターの操作の業務貨物自動車の荷台の後部に設置された動力により駆動されるリフトの操作で、当該貨物自動車に荷を積む作業または荷を卸す作業を伴うものに限る
第六号の二伐木等機械の運転の業務伐木、造材または原木・薪炭材の集積を行うための機械で、動力を用い、不特定の場所に自走できるものの運転(道路上を走行させる運転を除く)
第八号チェーンソーを用いて行う伐木等の業務立木の伐木、かかり木の処理または造材
第四十一号フルハーネス型墜落制止用器具を用いる作業の業務高さが2メートル以上の箇所で作業床を設けることが困難なところで行う作業(ロープ高所作業は第四十号で別に定められており、この号から除く)

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第36条(特別教育を必要とする業務)(確認日:2026年10月13日)

特定技能の分野の業務との関係

入管庁が示す分野の業務の文言と条文の号を並べると、確認が必要になる場面が見えます。ただし、分野の業務だから必ず該当するとは言えません。

自動車整備分野の1号特定技能外国人の業務は、入管庁の運用方針で、自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する基礎的な業務と書かれています。対象車両に対地電圧50ボルトを超える蓄電池を内蔵する自動車が含まれるときは、第四号の二の特別教育が必要になる業務に当たり得ます。

自動車運送業分野(トラック)の業務は、事業用自動車の運転と、運転に付随する業務全般です。荷台の後部のリフトを操作して荷を積み卸しする作業をさせる場合は、第五号の四に当たり得ます。入管庁のページには、テールゲートリフターの操作が分野の業務に含まれるかどうかの記載は確認できませんでした。

林業分野の業務は、入管庁のページで、林業(育林、素材生産等)と書かれています。素材生産で伐木等機械を運転する場合は第六号の二、チェーンソーで伐木や造材をする場合は第八号に当たり得ます。

アーク溶接とフルハーネス型墜落制止用器具の作業は、今回の確認では、分野の業務との対応を原文で確認できませんでした。分野名で判断せず、実際の作業内容を条文の範囲に照らして確認してください。

出典:法務大臣ほか「自動車整備分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」(確認日:2026年8月10日)、出入国在留管理庁「自動車運送業分野」(確認日:2026年8月11日)、出入国在留管理庁「林業分野」(確認日:2026年8月24日)、e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第36条(特別教育を必要とする業務)(確認日:2026年10月13日)

雇入れ前に確認する順序

分野名ではなく、配属後に実際に行わせる作業を書き出し、条文の号と範囲に照らします。

特別教育が必要かどうかの個別の判断は、所轄の労働基準監督署に確認してください。このガイドは労務や安全衛生の個別の助言ではありません。

条文の号は改正で追加されることがあります。新しい号が増えていないかは、e-Gov法令検索の労働安全衛生規則第36条で確認できます。

  • 配属後に行わせる作業を、機械・車両・高さ・電圧などの条件ごとに書き出したか
  • 各作業が規則第36条のどの号に当たるか、条文の範囲(道路上を除く、荷の積み卸しを伴うもの、など)まで確認したか
  • 教育の実施主体と実施時期を、就業開始前に決めたか
  • 教育にかかる費用の見積は、見積書の別項目に分けて確認したか

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第36条(特別教育を必要とする業務)(確認日:2026年10月13日)、e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第59条(安全衛生教育)(確認日:2026年10月13日)

よくある質問

特別教育が必要な業務は、どこに定められていますか?

労働安全衛生法第59条第3項が根拠で、対象の業務は労働安全衛生規則第36条に号ごとに列挙されています。

外国人の場合だけ特別教育が必要になりますか?

条文は労働者の国籍で区別しておらず、第36条の業務につかせるときに、国籍を問わず必要です。

テールゲートリフターの操作は、すべて特別教育の対象ですか?

第五号の四は、当該貨物自動車に荷を積む作業または荷を卸す作業を伴うものに限っています。

自動車整備分野では、特別教育は必須ですか?

整備の対象に、対地電圧が50ボルトを超える蓄電池を内蔵する自動車が含まれる場合に、第四号の二の業務に当たり得ます。対象車両の範囲は労働基準監督署に確認してください。

特別教育にかかる費用は、誰が負担しますか?

今回確認した条文には費用の負担者や金額の定めはなく、このガイドでは示しません。見積書で別項目として確認してください。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)