この記事の対象:特定技能外国人を就業制限業務や特別教育が必要な業務に就かせる企業の安全衛生担当者、教育の記録を管理する人事・総務担当者

この指針の位置づけと、改正の公示(令和9年4月1日適用)

この指針は、労働安全衛生法第60条の2に基づく教育の進め方を示すもので、特別教育や技能講習そのものを定めるものではありません。

労働安全衛生法第60条の2第1項は、事業者は、危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならないと定めています(e-Govの条文で確認)。同条の指針は、この教育の内容、時間、方法、講師、推進体制を示したものです。

厚生労働省は、令和8年5月25日に安全衛生教育指針公示第7号でこの指針の一部改正を公表し、令和9年(2027年)4月1日から適用するとしました。公示は、令和7年法律第33号の第2条による改正後の労働安全衛生法第60条の2第3項を根拠にしています。改正前の指針は同条第2項を根拠にしており、条文の項の番号が繰り下がっています。

法律の規定は努力義務のままです。雇入れ時の教育(法第59条)や特別教育の義務とは別に、現場に危険又は有害な業務がある事業者が、教育を計画し記録を残すときの目安になります。

公示第7号の要点
項目内容
公示日令和8年5月25日
適用日令和9年4月1日
根拠条文改正後の労働安全衛生法第60条の2第3項
改正の方向対象者の書き方の変更、委託した教育の記録の保存、作業従事役員等が受ける教育の整理

対象者:就業制限・特別教育の業務に就く「労働者又は作業従事役員等」

改正前は「次に掲げる者」と書いていた対象者が、改正後は「労働者又は作業従事役員等」と書かれます。

対象になる業務の3つの区分は、新旧で変わりません。就業制限に係る業務、特別教育を必要とする業務、これらに準ずる危険有害な業務です。フォークリフトの運転や玉掛けは就業制限の業務、フルハーネス型墜落制止用器具を使う高所作業やアーク溶接は特別教育の業務の例です。

改正で加わるのは、労働者と同じ場所で危険又は有害な業務に就く「作業従事役員等」です。指針は、この人たちが自分で教育を受けるよう努めると書いています。

作業従事役員等の法律上の範囲は、令和7年法律第33号の条文で確認してください。公示の新旧対照表には定義がなく、この記事も範囲を断定しません。

「危険有害業務従事者」という呼び方は、新旧どちらの指針でも使われます。特定技能外国人は労働者なので、改正前から対象で、扱いは変わりません。

特別教育が必要な業務の号の一覧は、特別教育が必要な業務の一覧(規則第36条)で確認できます。

対象者の新旧比較(指針Ⅱ1)
改正前改正後(令和9年4月1日から)
対象者の書き方次に掲げる者次に掲げる業務に従事する労働者又は作業従事役員等
就業制限に係る業務従事する者対象(変更なし)
特別教育を必要とする業務従事する者対象(変更なし)
これらに準ずる危険有害な業務従事する者対象(変更なし)

教育の実施者:注文者や団体の教育も含む

改正後の指針のⅣ4は、作業従事役員等が受ける教育の範囲を3つに整理しました。

作業従事役員等が受ける安全衛生教育には、自らが属する事業を行う者が実施する教育のほか、仕事の注文者である事業者が実施する教育や、安全衛生団体等が実施する教育が含まれるとされています。これは今回の新設項目です。

労働者への教育は、これまでどおり事業者が行います。事業者自らが行うほか、安全衛生団体等に委託して実施できます。

実施の前には実施責任者を定め、実施計画を作成します。この部分は改正前と同じです。

指針の内容と時間は、別表に掲げる種類の教育では別表の科目と時間によります。それ以外の教育は、労働災害の動向や技術革新に対応した事項を、原則として一日程度で行います。

取り扱う機械設備が新しくなったときの随時教育には、運転操作のほか点検整備の実技を加えます。教育は原則として就業時間内に行います。

教育記録の持ち方:個人別に保存し、委託した教育は修了証の写しを入手する

記録について、改正後の指針は委託した教育の扱いを具体的に書き足しました。

指針のⅣ2は、事業者は実施した安全衛生教育の記録を個人別に保存するものとしています。改正後は、安全衛生団体等に委託して実施した場合には、交付された修了証の写しを入手するなどにより保存することが加わりました。

作業従事役員等が教育を受けた場合は、Ⅳ5が、修了証の交付を受けるか、事業者等の教育実施者による教育の記録の写しを入手するなど、教育を受けたことが明らかになる資料を入手しておくことが望ましいとしています。こちらは「望ましい」という書き方です。

指針は保存期間を定めていません。特別教育の記録は、規則第38条で3年間の保存が定められています(e-Govの条文で確認)。両者を同じ個人別の台帳にまとめるときは、記録ごとの根拠を台帳に書き分けておくと、後から確認しやすくなります。

雇入れ時の教育(法第59条)との違いは、雇入れ時の安全衛生教育のガイドで確認できます。

教育記録の持ち方(指針Ⅳ2・Ⅳ5)
場面指針の書き方持っておく資料
事業者が自ら実施した教育実施した教育の記録を個人別に保存する日時・内容・時間・受講者を書いた個人別の記録
安全衛生団体等に委託した教育交付された修了証の写しを入手するなどにより保存する修了証の写し
作業従事役員等が受けた教育教育を受けたことが明らかな資料を入手しておくことが望ましい修了証、または教育実施者による記録の写し
  • 個人別の教育記録の台帳に、委託先の団体が交付した修了証の写しを綴じる欄がある
  • 教育の実施責任者と実施計画を、教育ごとに決めている
  • 特別教育の記録と指針による教育の記録を、根拠を書き分けて同じ台帳で管理している
  • 適用日(令和9年4月1日)までに、作業従事役員等が受ける教育の資料の受け取り方を社内で決める

よくある質問

この指針に従わないと罰則がありますか?

労働安全衛生法第60条の2第1項は、事業者が教育を行うように努めなければならないという努力義務です。指針は、その教育を適切に行うための目安として厚生労働大臣が公表するものです。

改正はいつから適用されますか?

公示第7号は令和8年5月25日に公表され、令和9年(2027年)4月1日から適用するとしています。

特定技能外国人は改正で新しく対象になりますか?

いいえ。就業制限に係る業務や特別教育を必要とする業務に就く労働者は、改正前から対象でした。改正後に加わる書き方は、労働者と同じ場所で危険又は有害な業務に就く作業従事役員等です。

外部の団体の教育を受けさせたとき、何を保存しますか?

改正後の指針は、安全衛生団体等に委託して実施した場合には、交付された修了証の写しを入手するなどにより保存するとしています。個人別の記録として保存します。

作業従事役員等とは誰ですか?

公示の新旧対照表には定義がありません。令和7年法律第33号による改正後の労働安全衛生法の条文で確認してください。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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