この記事の対象:製造・建設・物流などで特定技能外国人に機械の運転や荷役をさせる企業の人事・安全衛生担当者、登録支援機関の担当者

就業制限・特別教育・作業主任者の3つは、根拠の条文も必要な資格も別

労働安全衛生法には、危険な業務について資格や教育を求める規定が3つあり、第61条の就業制限、第59条第3項の特別教育、第14条の作業主任者の選任です。

第61条は、クレーンの運転その他の政令で定める業務について、都道府県労働局長の免許を受けた者、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者、その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、その業務に就かせてはならないと定めています。社内の教育だけでは足りず、免許か技能講習の修了などが要ります。

第59条第3項は、危険または有害な業務で厚生労働省令で定めるものに労働者を就かせるときに、その業務に関する特別の教育を事業者が行うことを求めています。就業制限のような免許や技能講習は要りませんが、教育の実施が必要です。

第14条は、政令で定める作業について、免許を受けた者か技能講習を修了した者のうちから作業主任者を選任し、作業に従事する労働者の指揮などを行わせることを求めています。作業をする人の資格ではなく、現場を管理する人を置く規定です。

いずれの条文にも、国籍による区別はありません。特定技能外国人にも、日本人と同じ規定が適用されます。

特別教育が必要な業務の一覧は、特別教育のガイドで確認できます。

3つの規定の違い(労働安全衛生法)
規定対象必要なもの
就業制限(第61条)政令で定める業務に就く人免許、登録を受けた者が行う技能講習の修了、または省令で定める資格
特別教育(第59条第3項)省令で定める危険・有害な業務に就く人事業者が行う特別の教育
作業主任者(第14条)政令で定める作業の現場免許取得者か技能講習修了者から選任(作業をする人全員に資格が要るわけではない)

就業制限の対象になる業務:重量・高さ・道路の内外で分かれる

就業制限に係る業務は、労働安全衛生法施行令第20条が16種類を挙げており、機械の大きさの境目が多くの業務で決まっています。

同じフォークリフトでも、最大荷重が1トン以上なら就業制限の対象で、1トン未満なら労働安全衛生規則第36条の特別教育の対象です。玉掛け、不整地運搬車、高所作業車にも、同じように1トンまたは10メートルの境目で、就業制限と特別教育に分かれる定めがあります。

運転の業務の多くは「道路上を走行させる運転を除く」と書かれており、構内での運転が対象です。道路上の走行は道路交通法の免許の問題になり、この表には含まれません。

次の表は、製造・建設・物流の現場で出会いやすい業務を抜き出したものです。16種類の全部は、政令の条文で確認してください。

就業制限業務の例(労働安全衛生法施行令第20条、規則第36条)
業務就業制限になる境目境目の下の扱い
フォークリフトの運転最大荷重1トン以上(道路上の走行を除く)1トン未満は特別教育
ショベルローダー・フォークローダーの運転最大荷重1トン以上(道路上の走行を除く)1トン未満は特別教育
玉掛けつり上げ荷重1トン以上のクレーン等、制限荷重1トン以上の揚貨装置つり上げ荷重1トン未満のクレーン等は特別教育
クレーンの運転つり上げ荷重5トン以上(跨線テルハを除く)5トン未満と、跨線テルハは特別教育
移動式クレーンの運転つり上げ荷重1トン以上(道路上の走行を除く)1トン未満は特別教育
不整地運搬車の運転最大積載量1トン以上(道路上の走行を除く)1トン未満は特別教育
高所作業車の運転作業床の高さ10メートル以上(道路上の走行を除く)10メートル未満は特別教育
建設機械の運転(施行令別表第七の掘削・積込み用などの機械)機体重量3トン以上で、動力を用い不特定の場所に自走できるもの(道路上の走行を除く)3トン未満は特別教育
ガス溶接・溶断可燃性ガスと酸素を用いる金属の溶接、溶断、加熱—
ボイラーの取扱い小型ボイラーを除くボイラーの取扱い小型ボイラーは特別教育

無資格で就かせると罰則があり、資格者は書面を携帯する

第61条第1項に違反して、資格のない者を就業制限業務に就かせた場合、違反した行為者は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられます(第119条)。

資格のない本人が、就業制限業務を行うことも禁止されています(第61条第2項)。この違反は50万円以下の罰金の対象です(第120条)。法人の代表者や使用人などが業務に関して違反したときは、行為者を罰するほか、その法人や人にも罰金刑が科されます(第122条)。

資格のある人は、その業務に従事するときに、免許証その他の資格を証する書面を携帯していなければなりません(第61条第3項)。受入れ企業は、配属前に、資格を証する書面を本人の持ち物で確認し、どの機械を運転できる資格かを業務の内容と照らし合わせることになります。

条文が資格として挙げているのは、都道府県労働局長の免許、登録を受けた者が行う技能講習の修了、省令で定める資格です。母国の資格や運転経験が当たるかどうかは、条文からは読み取れないため、所轄の労働基準監督署に確認してください。

作業主任者を選ぶ作業:台数・高さの境目がある

作業主任者を選任すべき作業は労働安全衛生法施行令第6条が定めていて、機械の台数や作業の高さなどの境目で決まります。

作業主任者になれるのは、免許を受けた者か、技能講習を修了した者です(第14条)。選任しなかった場合も、第119条の罰則の対象に挙がっています。

分野ごとに関係しやすい作業を、次の表にまとめました。台数は事業場が持つ台数で数えます。

選任が必要かどうかは、機械の種類や作業の内容、台数で変わります。個別の判断は、所轄の労働基準監督署に確認してください。当サイトは個別の事案の判定や労務の助言をしません。

作業主任者を選任する作業の例(労働安全衛生法施行令第6条)
作業境目
木材加工用機械(丸のこ盤、帯のこ盤、かんな盤、面取り盤、ルーター)による作業携帯用を除き5台以上を有する事業場(自動送材車式帯のこ盤を含むときは3台以上)
動力プレス機械による作業5台以上を有する事業場
足場の組立て・解体・変更つり足場(ゴンドラのつり足場を除く)、張出し足場、または高さ5メートル以上の足場
型枠支保工の組立て・解体境目なし(建設物のスラブ、桁などのコンクリート打設用)
掘削掘削面の高さが2メートル以上の地山の掘削
ボイラーの取扱い小型ボイラーを除く
アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置による溶接、溶断、加熱境目なし
有機溶剤を製造・取り扱う作業、特定化学物質を製造・取り扱う作業、酸素欠乏危険場所の作業条文の別表と省令で定める場所・業務に限る
  • 運転させる機械の最大荷重・つり上げ荷重・高さが、就業制限の境目より上か下かを確認したか
  • 就業制限業務の人には、免許証か技能講習修了証を確認したか
  • 境目より下の業務には、特別教育を行ったか
  • 事業場の機械の台数から、作業主任者の選任が必要な作業を確認したか
  • 資格の判断に迷う業務を、労働基準監督署に確認したか

よくある質問

就業制限業務と特別教育の違いは何ですか?

就業制限業務は、免許か技能講習の修了などの資格がないと就かせてはならない業務です(第61条)。特別教育は、事業者が教育を行えば就かせられる業務です(第59条第3項)。フォークリフトでは最大荷重1トンが境目です。

特定技能外国人だけ別の扱いになりますか?

条文に国籍による区別はなく、日本人と同じ規定が適用されます。母国の資格や運転経験が日本の資格に当たるかどうかは、労働基準監督署に確認してください。

無資格の人に運転させるとどうなりますか?

第61条第1項の違反として、行為者は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられます。法人にも罰金刑が科されることがあります(第119条、第122条)。

作業主任者は、作業をする全員が資格を持つ必要がありますか?

いいえ。作業主任者は、免許取得者か技能講習修了者から選任する、現場を指揮する役割です(第14条)。作業をする人の資格は、就業制限や特別教育の規定で別に決まります。

参照した公的一次資料

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