この記事の対象:建設現場で特定技能外国人に地山の掘削や溝掘りをさせる企業の人事・労務・安全衛生担当者、現場の責任者

掘削の前に、地質と埋設物を調べて時期と順序を定める

地山の掘削は、あらかじめ現場を調べ、その結果に合わせて掘削の時期と順序を決めて始めます。

労働安全衛生規則第355条は、地山の崩壊や埋設物の損壊などで労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、あらかじめ作業箇所と周辺の地山をボーリングその他適当な方法で調査することを求めています。調べる事項は4つで、形状・地質・地層の状態、き裂・含水・湧水・凍結の有無と状態、埋設物などの有無と状態、高温のガスと蒸気の有無と状態です。

事業者は、調べて分かったことに合わせた掘削の時期と順序を定め、その定めのとおりに作業をしなければなりません。

  • 形状・地質・地層の状態を調べた
  • き裂・含水・湧水・凍結の有無を調べた
  • 埋設物などの有無と状態を調べた
  • 高温のガスと蒸気の有無を調べた
  • 調査結果に合わせて掘削の時期と順序を定めた

手掘りの掘削面は、地山の種類と高さでこう配の上限が決まる

手掘りで掘る場合、掘削面のこう配は、地山の種類と掘削面の高さに応じた上限以下にします。

第356条第1項は、パワー・ショベルなどの掘削機械を使わない手掘りの掘削について、掘削面のこう配を表の値以下にすることを求めています。掘削面に奥行き2メートル以上の水平な段があるときは、その段で区切られた掘削面ごとに考えます。傾斜の異なる部分があってこう配を算定できないときは、崩壊の危険が大きくならないように各部分の傾斜を保ちます(同条第2項)。

き裂のない岩盤からなる地山は、この表の対象外です。砂からなる地山と、発破などで崩れやすくなっている地山も表の対象外で、第357条が別に定めています。

砂の地山は、こう配を35度以下にするか、高さを5メートル未満にします。崩れやすくなっている地山は、こう配を45度以下にするか、高さを2メートル未満にします。

手掘りの掘削面のこう配の上限(労働安全衛生規則第356条第1項・第357条第1項)
地山の種類掘削面の高さこう配の上限
岩盤または堅い粘土5メートル未満90度以下
岩盤または堅い粘土5メートル以上75度以下
その他の地山2メートル未満90度以下
その他の地山2メートル以上5メートル未満75度以下
その他の地山5メートル以上60度以下
砂からなる地山5メートル未満なら可35度以下とするか、高さを5メートル未満にする
発破などで崩れやすくなっている地山2メートル未満なら可45度以下とするか、高さを2メートル未満にする

点検者を指名して点検し、崩壊を防ぐ措置と埋設物の措置を講じる

作業を始める前や大雨・地震の後には、点検者が地山を点検します。

第358条第1号は、事業者が点検者を指名し、その日の作業を開始する前、大雨の後、中震以上の地震の後に、浮石とき裂の有無と状態、含水・湧水・凍結の状態の変化を点検させることを求めています。発破を行った後は、その箇所と周辺の浮石とき裂の有無と状態を点検させます(同条第2号)。

第361条は、地山の崩壊や土石の落下で危険を及ぼすおそれのあるときは、あらかじめ土止め支保工を設け、防護網を張り、立入りを禁止するなどの措置を講じることを求めています。

第362条第1項は、埋設物や、れんが壁・ブロック塀・擁壁などの建設物に近接して掘削するとき、これらの損壊で危険を及ぼすおそれがあるなら、補強や移設などの措置を講じた後でなければ作業をしてはならないとしています。露出したガス導管は、つり防護や受け防護などで防護するか移設し(同条第2項)、その防護の作業は指揮する者を指名して直接指揮させます(同条第3項)。

地山の点検をする時期と見る事項(労働安全衛生規則第358条)
点検の時期点検する事項
その日の作業を開始する前浮石・き裂の有無と状態、含水・湧水・凍結の状態の変化
大雨の後同上
中震以上の地震の後同上
発破を行った後発破の箇所と周辺の浮石・き裂の有無と状態

高さ2メートル以上の掘削は、作業主任者を技能講習の修了者から選ぶ

掘削面の高さが2メートル以上になる地山の掘削は、作業主任者を選任する作業です。

労働安全衛生法施行令第6条第9号は、掘削面の高さが2メートル以上となる地山の掘削の作業(ずい道・たて坑以外の坑の掘削、採石のための岩石の採取の掘削を除く)を、作業主任者を選任すべき作業としています。規則第359条は、この作業について、地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習を修了した者のうちから、地山の掘削作業主任者を選任することを求めています。

第360条は、作業主任者に、作業の方法を決定して作業を直接指揮すること、器具と工具を点検して不良品を取り除くこと、要求性能墜落制止用器具等と保護帽の使用状況を監視することを行わせると定めています。

  • 掘削面の高さが2メートル以上になるか確かめた
  • 地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習の修了者を選任した
  • 点検者を指名し、作業前・大雨後・中震以上の地震後に点検させている
  • 崩壊の危険があるときは土止め支保工などの措置を講じた
  • 埋設物の近くでは補強や移設の措置の後に作業している

よくある質問

掘削面の高さが2メートル未満なら、何も要りませんか?

作業主任者の選任の対象は、掘削面の高さが2メートル以上になる地山の掘削です(労働安全衛生法施行令第6条第9号)。2メートル未満でも、事前調査(第355条)や点検(第358条)、崩壊を防ぐ措置(第361条)などの規定は、それぞれの条文の条件に当てはまれば適用されます。

こう配の基準は、機械で掘る場合にも適用されますか?

第356条と第357条のこう配の基準は、パワー・ショベルなどの掘削機械を使わない手掘りの掘削が対象です。機械を使う掘削の現場でも、事前調査や点検、土止め支保工などの措置は別の条文で求められます。

作業主任者になれるのは、どんな人ですか?

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習を修了した者です(第359条)。選任するのは事業者です。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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