この記事の対象:建設、農業、林業、資源循環などで車両系建設機械を使う現場に特定技能外国人を配置する企業の安全衛生・現場責任者
運転資格:機体重量3トンで就業制限と特別教育に分かれる
車両系建設機械の安全措置は、労働安全衛生規則の第152条から第170条と第36条(特別教育)などに定められています。運転は、機体重量が3トン以上か未満かで、必要な資格が分かれます。
機体重量が3トン以上の、労働安全衛生法施行令別表第七第1号、第2号、第3号、第6号に掲げる建設機械で、動力を用い、不特定の場所に自走できるものの運転(道路上を走行させる運転を除く)は、就業制限の業務です(施行令第20条第12号)。免許を受けた者、または登録を受けた者が行う技能講習を修了した者などでなければ、就かせることができません(労働安全衛生法第61条第1項)。
同じ機械で機体重量が3トン未満のものの運転(道路上を走行させる運転を除く)は、特別教育が必要です(労働安全衛生規則第36条第9号)。令別表第七第3号に掲げる機械については、自走できるもの以外の運転と、自走できるものの作業装置の操作(車体上の運転者席での操作を除く)にも、特別教育の区分があります(同条第9号の2、第9号の3)。
どの機械がどの号にあたるかは、機種ごとに施行令別表第七で確認します。就業制限の業務では、免許証などの資格を証する書面を、業務に従事するときに携帯する必要があります(法第61条第3項)。
| 機体重量 | 区分 | 必要な資格・教育 |
|---|---|---|
| 3トン以上 | 就業制限の業務 | 免許を受けた者、または技能講習の修了者など |
| 3トン未満 | 特別教育の業務 | 特別教育 |
作業の前に決めること:調査・作業計画・制限速度・前照灯
作業を始める前に、場所の調査と記録、作業計画、制限速度を決めておく必要があります。
第154条は、車両系建設機械を用いて作業を行うときは、転落や地山の崩壊などの危険を防ぐため、あらかじめ作業場所の地形、地質の状態などを調査し、結果を記録しておくよう定めています。
第155条は、この調査で分かったことに合わせた作業計画を定め、その計画どおりに作業するよう求めています。計画には、使用する車両系建設機械の種類と能力、運行経路、作業の方法を示します。このうち運行経路と作業の方法は、関係労働者に周知させます。
最高速度が毎時10キロメートル以下のものを除き、地形や地質の状態に応じた制限速度をあらかじめ定め、運転者はそれを超えて運転してはなりません(第156条)。前照灯は備えるのが原則で、作業に必要な照度が保たれている場所で使う機械は除かれます(第152条)。
運行経路については、路肩の崩壊や地盤の不同沈下を防ぎ、必要な幅員を保つなどの措置を講じます。路肩や傾斜地で転倒・転落の危険があるときは、誘導者を配置し、運転者はその誘導に従います(第157条)。
建設機械を使う掘削の現場で、地山の事前調査・掘削面のこう配の基準・作業主任者の選任は、地山の掘削の安全:事前調査・こう配の基準・点検・作業主任者で確認できます。
運転中の決まり:立入禁止・合図・運転位置を離れるとき
運転中は、接触の防止、合図、運転者が席を離れるときの措置、乗車と用途の制限が定められています。
運転中の車両系建設機械に接触する危険のある箇所へ作業従事者が立ち入ることは、見やすい箇所への表示などの方法で禁止します。誘導者を配置して誘導させるときは、この限りではありません(第158条)。誘導者を置くときは、一定の合図を定めて合図を行わせ、運転者はその合図に従います(第159条)。
運転者が運転位置から離れるときは、バケットやジッパーなどの作業装置を地上に下ろし、原動機を止めて走行ブレーキをかけるなどの逸走を防ぐ措置を、運転者に講じさせます(第160条)。
作業従事者を乗車席以外の箇所に乗せてはなりません(第162条)。構造上定められた安定度や最大使用荷重を守ることも求められます(第163条)。
パワー・ショベルによる荷のつり上げなど、主たる用途以外の用途への使用は、原則として禁止です(第164条)。例外として、作業の性質上やむを得ないときなどに、フックやシャックルなどの器具を取り付けるなどの条件と、合図の指名、平坦な場所での作業、玉掛用具の基準などの措置を満たして、荷をつり上げる場合が認められています。修理やアタッチメントの装着・取外しの作業では、作業を指揮する者を定めます(第165条)。
点検と自主検査:作業前・月次・年次と記録の保存
その日の作業前の点検に加えて、月次と年次の自主検査があり、結果は記録して3年間保存します。
作業開始前の点検は、その日の作業を始める前に、ブレーキとクラッチの機能について行います(第170条)。
月次の自主検査は、1月以内ごとに1回、ブレーキ・クラッチ・操作装置・作業装置の異常、ワイヤロープとチェーンの損傷、バケットやジッパーなどの損傷の有無を検査します(第168条)。特定解体用機械は、逆止め弁や警報装置などの検査も加わります。
年次の自主検査は、1年以内ごとに1回、原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、ブレーキ、作業装置、油圧装置、電気系統、車体や警報装置などの9項目を検査します(第167条)。月次は1月を、年次は1年を超えて使わない期間は除かれ、使用を再び開始する際に検査します。
検査したときは、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、検査を実施した者の氏名、補修などの措置の内容を記録し、3年間保存します(第169条)。年次の自主検査は特定自主検査にあたり、検査業者に実施させた場合は記録の氏名の欄が検査業者の名称になります。検査を行ったら、機械の見やすい箇所に検査の年月を示す検査標章をはり付けます(第169条の2)。
| 区分 | 頻度 | 主な検査項目 |
|---|---|---|
| 作業開始前の点検 | その日の作業の前 | ブレーキとクラッチの機能 |
| 月次の自主検査 | 1月以内ごとに1回 | ブレーキ・クラッチ・操作装置・作業装置、ワイヤロープとチェーン、バケットなどの損傷 |
| 年次の自主検査(特定自主検査) | 1年以内ごとに1回 | 原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、ブレーキ、作業装置、油圧装置、電気系統、車体・警報装置など9項目 |
- 使う機械の機体重量を確認し、運転者に就業制限の資格(3トン以上)または特別教育(3トン未満)を割り当てる
- 作業場所の調査結果を記録し、作業計画に機械の種類と能力、運行経路、作業の方法を書く
- 制限速度、立入禁止の表示、誘導者と合図を現場で共有する
- 運転者が席を離れるときは、作業装置を下ろし、原動機を止めてブレーキをかける
- 月次・年次の自主検査の日付と記録(3年保存)、検査標章を管理する
よくある質問
車両系建設機械の運転に必要な資格は、何で決まりますか?
機体重量が3トン以上かどうかで決まります。3トン以上は就業制限の業務で、免許を受けた者や技能講習の修了者などでなければ就かせられません。3トン未満は特別教育が必要です(施行令第20条第12号、規則第36条第9号)。いずれも道路上を走行させる運転は除かれます。
作業計画には、何を示す必要がありますか?
規則第155条は、使用する車両系建設機械の種類と能力、運行経路、作業の方法の3つを示すよう定めています。運行経路と作業の方法は、関係労働者に周知させます。
運転者が運転位置を離れるときは、どうしますか?
バケットなどの作業装置を地上に下ろし、原動機を止めて走行ブレーキをかけるなど、機械が逸走しない措置を講じます(規則第160条)。運転者自身にも同じ措置を講じる義務があります。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」車両系建設機械に係る規定(第152条〜第170条、第36条第9号)(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第36条(特別教育を必要とする業務)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第20条(就業制限に係る業務。第11号がフォークリフト)(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第61条(就業制限)(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)