この記事の対象:工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、資源循環などでクレーンや玉掛けのある現場に特定技能外国人を配置する企業の安全衛生・現場責任者

運転と玉掛けの資格:つり上げ荷重の区分で分かれる

クレーンの運転と玉掛けの業務は、つり上げ荷重によって、免許・技能講習・特別教育のどれが必要かが分かれます。

クレーン等安全規則は、つり上げ荷重が0.5トン未満のクレーン、移動式クレーン、デリックには適用しないと定めています(第2条)。この規則の対象になるのは、0.5トン以上のものです。

クレーンの運転は、つり上げ荷重が5トン以上のもの(跨線テルハを除く)なら就業制限の業務で、クレーン・デリック運転士免許が必要です(労働安全衛生法施行令第20条第6号、クレーン則第22条)。ただし、床上で運転し、運転者が荷の移動とともに移動する床上操作式クレーンは、床上操作式クレーン運転技能講習の修了者も就かせることができます。5トン未満のクレーンと、5トン以上の跨線テルハは、特別教育が必要です(クレーン則第21条)。

玉掛けは、つり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーン、デリックについては、玉掛け技能講習の修了者などでなければ就かせられません(施行令第20条第16号、クレーン則第221条)。1トン未満のものの玉掛けは、特別教育が必要です(クレーン則第222条、労働安全衛生規則第36条第19号)。

下の表のクレーンの運転は、移動式クレーンとデリックを含みません。この2つの運転は、施行令第20条第7号・第8号と労働安全衛生規則第36条第16号・第17号で別に区分されています。

同じ建設現場で使う車両系建設機械の運転資格・作業計画・合図・点検は、車両系建設機械の安全:運転資格・作業計画・合図・点検で確認できます。

クレーンの運転と玉掛けに必要な資格(つり上げ荷重の区分)
業務つり上げ荷重必要な資格・教育
クレーンの運転5トン以上(跨線テルハを除く)クレーン・デリック運転士免許(床上操作式は技能講習の修了者も可)
クレーンの運転5トン未満、または5トン以上の跨線テルハ特別教育
玉掛け1トン以上玉掛け技能講習の修了者など
玉掛け1トン未満特別教育

運転中の決まり:定格荷重・合図・つり荷の下への立入禁止

運転中は、荷重の上限、合図、つり荷の下への立入りの3点が条文で定められています。

第23条は、クレーンに定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならないと定めています。やむを得ない事由があって著しく困難な場合の例外には、あらかじめ所轄労働基準監督署長へクレーン特例報告書を提出する、荷重試験を行う、作業を指揮する者を指名するなどの条件があり、結果は記録して3年間保存します。

第25条は、クレーンを用いて作業を行うときは、運転について一定の合図を定め、合図を行う者を指名して合図を行わせるよう求めています。運転者に単独で作業を行わせるときは除かれます。作業に従事する労働者は、その合図に従います。

第29条は、つり上げられている荷の下に作業従事者が立ち入ることを、見やすい箇所への表示などの方法で禁止するよう定めています。対象は、ハッカーで玉掛けをした荷、つりクランプ1個で玉掛けをした荷、ワイヤロープ等で1箇所に玉掛けをした荷(荷の穴やアイボルトに通している場合を除く)、結束や箱入りで固定されていない複数の荷、磁力や陰圧で吸着させる玉掛用具の荷、動力下降以外の方法で荷やつり具を下降させるときなどです(最後の場合は、つり具の下も対象です)。

玉掛け用具:安全係数と使用してはならない状態

玉掛けに使うワイヤロープ、つりチェーン、フックやシャックルには、安全係数と使用禁止の基準があります。

安全係数は、切断荷重の値を、その用具にかかる荷重の最大の値で割った値です。ワイヤロープは6以上、フックとシャックルは5以上でなければ使用できません(第213条、第214条)。つりチェーンは、切断荷重の2分の1の荷重で引っ張ったときの伸びが0.5パーセント以下で、引張強さと伸びが条文の基準に合うものは4以上、それ以外は5以上です(第213条の2)。

ワイヤロープは、1よりの間で素線の10パーセント以上が切断しているもの、直径の減少が公称径の7パーセントをこえるもの、キンクしたもの、著しい形くずれや腐食があるものを使ってはなりません(第215条)。つりチェーンは、伸びが製造されたときの長さの5パーセントをこえるもの、リンクの断面の直径の減少が10パーセントをこえるもの、き裂があるものが使用禁止です(第216条)。

玉掛け用具の安全係数と使用禁止の基準(クレーン等安全規則)
用具安全係数使用してはならないもの
ワイヤロープ6以上素線の10パーセント以上が切断、直径の減少が公称径の7パーセント超、キンク、著しい形くずれ・腐食
つりチェーン4以上(条文の条件に合うもの)、それ以外は5以上伸びが製造時の長さの5パーセント超、リンクの断面直径の減少が10パーセント超、き裂

点検と自主検査:作業開始前・月次・年次と記録の保存

クレーンには、その日の作業前の点検に加えて、月次と年次の自主検査があります。

第36条は、その日の作業を開始する前に、巻過防止装置・ブレーキ・クラッチ・コントローラーの機能、ランウエイの上とトロリが横行するレールの状態、ワイヤロープが通っている箇所の状態を点検するよう定めています。

月次の自主検査は、1月以内ごとに1回、定期に行います(第35条)。巻過防止装置その他の安全装置・警報装置・ブレーキ・クラッチの異常、ワイヤロープとつりチェーンの損傷、フックなどのつり具の損傷、配線・集電装置・配電盤・開閉器・コントローラーの異常の有無などを検査します。

年次の自主検査は、設置後1年以内ごとに1回、定期に行い、原則として荷重試験を伴います(第34条)。月次は1月を超えて、年次は1年を超えて使わない期間は除かれ、使用を再開するときに検査します。

作業開始前の点検を除き、自主検査と点検の結果は記録して3年間保存します(第38条)。

  • 自社のクレーンのつり上げ荷重を確認し、運転者に必要な免許・特別教育を割り当てる
  • 玉掛けの担当者が、つり上げ荷重1トン以上は玉掛け技能講習、1トン未満は特別教育を受けたかを確認する
  • 合図を行う者を指名し、合図の種類を現場で共有する
  • つり荷の下に立ち入らないよう、表示などの方法を決める
  • 玉掛け用具の安全係数と、ワイヤロープ・つりチェーンの使用禁止の状態を点検の項目に入れる
  • 月次と年次の自主検査の日付と記録(3年保存)を管理する

よくある質問

玉掛けの資格は、どんな荷重から必要ですか?

つり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーン、デリックの玉掛けは、玉掛け技能講習の修了者などでなければ就かせられません。1トン未満の玉掛けは、特別教育が必要です(クレーン等安全規則第221条、第222条)。

つり荷の下に入ってはいけないのはどんなときですか?

クレーン等安全規則第29条は、ハッカーやつりクランプ1個で玉掛けをした荷、ワイヤロープ等で1箇所に玉掛けをした荷(穴やアイボルトに通している場合を除く)、固定されていない複数の荷、動力下降以外で下降させるときなどに、作業従事者の立入りを禁止するよう定めています。

ワイヤロープはどんな状態になったら使えませんか?

同規則第215条は、1よりの間で素線の10パーセント以上が切断しているもの、直径の減少が公称径の7パーセントをこえるもの、キンクしたもの、著しい形くずれや腐食があるものを、玉掛用具として使ってはならないと定めています。

参照した公的一次資料

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