この記事の対象:飲食料品製造業、工業製品製造業、倉庫・物流などでフォークリフトを使う現場に特定技能外国人を配置する企業の安全衛生・現場責任者
毎日の作業前点検:作業を始める前に4項目
労働安全衛生規則第151条の25は、フォークリフトを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に点検を行うよう事業者に求めています。
点検する事項は4つです。制動装置と操縦装置の機能、荷役装置と油圧装置の機能、車輪の異常の有無、前照灯・後照灯・方向指示器・警報装置の機能です。
この点検は作業の日ごとに必要で、後述の月次・年次の検査とは別に行います。点検の結果の記録の仕方は、この条文では定められていません。
| 区分 | 点検する内容 |
|---|---|
| 走行まわり | 制動装置及び操縦装置の機能、車輪の異常の有無 |
| 荷役まわり | 荷役装置及び油圧装置の機能 |
| 灯火・警報 | 前照灯、後照灯、方向指示器及び警報装置の機能 |
月次と年次の定期自主検査:記録は3年保存
フォークリフトの定期自主検査は、1月以内ごとと1年以内ごとの2種類があります。
規則第151条の22は、1月を超えない期間ごとに1回、定期に自主検査を行うよう定めています。検査事項は3項目あり、第1号は制動装置、クラッチ及び操縦装置の異常の有無です(ほかにヘッドガード及びバックレストなど)。
規則第151条の21は、1年を超えない期間ごとに1回の検査を定め、検査事項は9項目あります。その例として、圧縮圧力や弁すき間などの原動機、デフアレンシヤルやプロペラシヤフトなどの動力伝達装置、タイヤやホイールベアリングなどの走行装置の異常の有無を挙げています。
どちらも、1月または1年を超える期間使用しないフォークリフトについては、その使用しない期間は検査をしなくてよいとされています。ただし、使用を再開するときは、同じ項目について自主検査を行います(第151条の21第2項、第151条の22第2項)。
検査をしたときは、規則第151条の23により、検査年月日・検査方法・検査箇所・検査の結果などを記録し、3年間保存します。労働安全衛生法第45条第1項も、定期の自主検査を行い、その結果を記録しておくことを事業者に求めています。
| 種類 | 間隔 | 条文 | 記録の保存 |
|---|---|---|---|
| 作業開始前の点検 | その日の作業を始める前 | 第151条の25 | 条文に定めなし |
| 月次の定期自主検査 | 1月を超えない期間ごとに1回 | 第151条の22 | 3年間(第151条の23) |
| 年次の定期自主検査(特定自主検査) | 1年を超えない期間ごとに1回 | 第151条の21・第151条の24 | 3年間(第151条の23) |
年次検査は特定自主検査:資格者か検査業者が実施
規則第151条の24第1項は、フォークリフトの特定自主検査を、第151条の21の年次の自主検査とすると定めています。
労働安全衛生法第45条第2項は、特定自主検査を、厚生労働省令で定める資格を有する者(事業者本人や、法人ならその代表者・役員を含む)が自ら実施するか、使用する労働者で資格を有する者に実施させるか、検査業者に実施させるよう求めています。
規則第151条の24第2項の資格は、厚生労働大臣が定める研修を修了し、かつ経験や学歴の要件を満たす者です。例は、フォークリフトの運転の業務に10年以上従事した経験や、点検・整備の業務に7年以上従事した経験です。
大学や高校で工学を専攻した場合は、より短い年数の組み合わせもあります。このほか、厚生労働大臣が定める者も資格を有する者とされています。
検査業者に実施させた場合、記録の「検査を実施した者の氏名」は、検査業者の名称で記録します(同条第4項)。道路運送車両法の点検を行った部分は、年次の自主検査を行わなくてよい場合があります(同条第3項、運行の用に供するもので同法の適用を受けるものに限る)。
運行の決まり:作業計画・制限速度・立入禁止など
規則は、フォークリフトを含む車両系荷役運搬機械等を使う作業について、事業者に次のことを求めています。
作業計画(第151条の3)は、あらかじめ定め、運行経路と作業の方法を示して、関係労働者に周知します。制限速度(第151条の5)は、最高速度が毎時10km以下のものを除き、あらかじめ定め、運転者はそれを超えて運転してはなりません。
運転中の機械やその荷に接触するおそれのある箇所には、作業従事者が立ち入らないよう、立入禁止の表示などの措置をとります(第151条の7。誘導者を配置した場合は別の扱い)。運転者が運転位置から離れるときは、フォークなどの荷役装置を最低降下位置に置き、原動機を止めてブレーキをかけるなど、逸走を防ぐ措置をとらせます(第151条の11)。
乗車席以外に作業従事者を乗せてはなりません(第151条の13。墜落による危険を防止する措置を講じた場合のただし書きあり)。許容荷重を超えて使用してはならず(第151条の20)、前照灯・後照灯(第151条の16)、ヘッドガード(第151条の17)、バックレスト(第151条の18)を備えたものを使います。
この3つにはそれぞれただし書きがあり、条件は条ごとに違います。前照灯・後照灯は必要な照度が保たれている場所、ヘッドガードは荷の落下で運転者に危険のおそれがないとき、バックレストはマストの後方に荷が落下しても労働者に危険のおそれがないときです。
- 車両ごとに、その日の作業前点検の4項目を実施する担当者と確認の方法を決める
- 月次と年次の検査の予定日を車両ごとに管理し、記録を3年間保存する
- 年次の特定自主検査を、自社の有資格者で行うか検査業者に依頼するかを決める
- 作業計画に運行経路と制限速度を入れ、外国人を含む作業者に周知する
- 運転者に、運転位置を離れるときの措置と、乗車席以外に人を乗せないことを徹底する
運転する人の資格と教育は別の定め
点検や検査とは別に、フォークリフトを運転する人にも資格と教育の定めがあります。
最大荷重が1トン以上のフォークリフトの運転(道路上を走行させる運転を除く)は、労働安全衛生法第61条第1項の就業制限の対象で、技能講習の修了などの資格が必要です(労働安全衛生法施行令第20条第11号)。資格のない人に就かせたり、資格のない人が行ったりしてはならず、就業時は資格を証する書面を携帯します(同条第2項・第3項)。第61条第1項に違反した者は、同法第119条第1号により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処される定めです。
最大荷重が1トン未満のフォークリフトの運転(道路上を走行させる運転を除く)は、規則第36条第5号の特別教育の対象です。このほか、雇入れ時や作業内容を変更したときの安全衛生教育は、同法第59条第1項・第2項が求めています。1トンの境目や教育の細目は、別のガイドで詳しく扱っています。
よくある質問
フォークリフトの点検は毎日必要ですか?
労働安全衛生規則第151条の25は、フォークリフトを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、制動装置・操縦装置、荷役装置・油圧装置、車輪、前照灯・後照灯・方向指示器・警報装置を点検するよう定めています。
定期自主検査の記録は何年保存しますか?
規則第151条の23により、月次・年次の検査をしたときは、検査年月日・検査方法・検査箇所・検査の結果などを記録して3年間保存します。
年次の特定自主検査は自社でできますか?
労働安全衛生法第45条第2項により、厚生労働省令で定める資格を有する人(事業者本人や、自社の資格を有する労働者)が行うか、検査業者に実施させます。資格は規則第151条の24第2項に定められています。自社に該当する人がいるかは、研修の修了や経験年数を確認してください。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第59条(安全衛生教育)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第20条(就業制限に係る業務。第11号がフォークリフト)(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)