この記事の対象:トンネル(ずい道等)の建設工事を含む現場に外国人を配置する、建設会社の施工管理・安全衛生の担当者
「ずい道等の建設の作業」に含まれる作業
決まりの対象は掘削だけでなく、運搬や覆工も含む広い範囲です。
労働安全衛生規則第382条は、ずい道等の建設の作業を、ずい道等の掘削の作業、またはこれに伴うずり、資材等の運搬、覆工のコンクリートの打設等の作業と定義しています。ずい道等の内部、またはずい道等に近接する場合に行われるものに限られます。
つまり、掘削班だけでなく、ずりを運ぶ作業や覆工コンクリートを打つ作業に就く人も、同じ決まりの保護を受けます。外国人を配置するときも、作業の種類で区別せず、現場全体としてこの章の措置を確認します。
この記事は、安衛則のずい道等の建設に関する主な条文と、粉じん障害防止規則(粉じん則)の坑内作業場の測定を扱います。ずい道支保工の組立て、軌道装置、避難用器具などの条文は扱いません。
掘削の前と毎日の調査:地山の記録・施工計画・観察
ずい道等の掘削では、あらかじめ地山を調べて記録し、その結果に合う施工計画を定めます。
第379条は、ずい道等の掘削の作業を行うときに、落盤、出水、ガス爆発などの危険を防ぐため、地山の形状、地質、地層の状態をボーリングなどで調べ、結果を記録するよう求めています。第380条は、この調査で分かったことに合う施工計画を定め、その計画により作業するよう求めています。計画には掘削の方法を示し、支保工、覆工、湧水や可燃性ガスの処理、換気、照明を行う場合はその方法も示します。
掘削を始めたあとは、第381条により、毎日、掘削箇所とその周辺の地山を観察して記録します。観察する事項は、地質と地層の状態、含水と湧水の有無と状態、可燃性ガスの有無と状態、高温のガスと蒸気の有無と状態の4つです。地山を機械で覆う方法で掘削する場合、可燃性ガスの観察は測定機器を使って行います。
| 条 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 第379条 調査及び記録 | 地山の形状・地質・地層の状態をボーリングなどで調べ、結果を記録する | 掘削の作業の前 |
| 第380条 施工計画 | 調査の結果に適応する施工計画を定め、その計画で作業する | 掘削の作業の前 |
| 第381条 観察及び記録 | 地質、湧水、可燃性ガス、高温のガス・蒸気を観察し、記録する | 毎日 |
点検・可燃性ガスの測定・火気の制限と、落盤と退避の措置
毎日の点検と、地震や発破のあとの点検は、点検者を指名して行わせます。
第382条によると、点検者を指名し、毎日と中震以上の地震のあとに、ずい道等の内部の地山の浮石とき裂の有無と状態、含水と湧水の状態の変化を点検させます。発破を行ったあとも、点検者を指名して、その箇所と周辺の浮石とき裂の有無と状態を点検させます。
可燃性ガスが発生するおそれがあるときは、第382条の2により、測定する人を指名します。測定の時期は、毎日の作業を始める前、中震以上の地震のあと、ガスに異常を認めたときです。
ガスが発生または停滞するおそれがある場所の濃度を測定させ、記録させます。測定でガスが存在した場合、第389条により、作業の性質上やむを得ない場合を除き、火気やマッチ、ライターなどの発火のおそれのある物の持込みを禁止し、その旨を出入口付近の見やすい場所に掲示します。
第389条の4は、ずい道等の内部で火気やアークを使う場所(ガス溶接等の作業を行う場所は別の条文の対象です)に防火担当者を指名し、使用状況の監視と残火の始末の確認を行わせるよう求めています。落盤や肌落ちのおそれがあるときは、第384条により、ずい道支保工を設ける、ロックボルトを施す、浮石を落とすなどの措置をとります。落盤や出水などで急迫した危険があるときは、第389条の7により、ただちに作業を中止して作業従事者を安全な場所に退避させます。
- 点検者と可燃性ガスの測定者を、作業ごとに指名した
- 毎日と、中震以上の地震のあと、発破のあとの点検の流れを決めた
- 可燃性ガスが存在するときの火気持込み禁止の掲示を、出入口付近に用意した
- 火気やアークを使う場所の防火担当者を指名した
- 落盤・出水などの急迫した危険があるときの中止と退避の合図を、作業者に伝えた
ずい道等の掘削等作業主任者と覆工作業主任者
掘削と覆工には、それぞれ技能講習を修了した作業主任者を選任します。
第383条の2は、掘削等の作業(施行令第6条第10号の2の作業)について、ずい道等の掘削等作業主任者技能講習を修了した人のうちから作業主任者を選任するよう求めています。第383条の4は、覆工の作業(同条第10号の3の作業)について、ずい道等の覆工作業主任者技能講習を修了した人から選任するよう求めています。
どちらの主任者にも共通する職務が3つあります。作業の方法と労働者の配置を決めて直接指揮すること。器具、工具、要求性能墜落制止用器具、保護帽の機能を点検して不良品を取り除くこと。
保護具の使用状況を監視することです。掘削等作業主任者には、さらに、換気などの方法を決め、労働者に使わせる呼吸用保護具を選ぶことと、呼吸用保護具の機能の点検と使用状況の監視が加わります。
厚生労働省は、令和2年の粉じん則と安衛則の改正に合わせて、ずい道等の掘削等作業主任者技能講習規程も改正しています。粉じん則と安衛則の改正省令は令和3年4月1日から施行され、一部の規定には経過措置があります。技能講習規程の改正の内容は、告示(令和2年告示第235号)で確認してください。
| 項目 | 掘削等作業主任者 | 覆工作業主任者 |
|---|---|---|
| 受講する技能講習 | ずい道等の掘削等作業主任者技能講習 | ずい道等の覆工作業主任者技能講習 |
| 選任が必要な作業 | 施行令第6条第10号の2の作業 | 施行令第6条第10号の3の作業 |
| 作業の指揮・保護具の点検と監視 | 行う | 行う |
| 換気の方法の決定・呼吸用保護具の選択と点検 | 行う | 規定なし |
坑内の粉じん:半月以内ごとの測定・7年保存・電動ファン付き呼吸用保護具
トンネル内の粉じんについては、粉じん則が、換気と、切羽に近い場所の濃度測定を求めています。
粉じん則第6条の2は、粉じん作業を行う坑内作業場(ずい道等の内部で建設の作業を行うもの)で、換気装置による換気、またはこれと同等以上の措置を求めています。第6条の3は、この坑内作業場で、半月以内ごとに1回、定期に、切羽に近接する場所の空気中の粉じんの濃度を測定して評価するよう求めています。
ずい道等の長さが短いなどで測定が著しく困難な場合は除かれます。同時に、粉じん中の遊離けい酸の含有率も測定します。
第6条の4により、測定の結果に応じて換気装置の風量を増やすなどの措置をとり、措置をとったときは効果の確認のために再度測定します。測定の日時、方法、箇所、条件、結果、測定を実施した者の氏名、改善措置の概要、使用させた呼吸用保護具の概要は記録して7年間保存し、作業場の見やすい場所への掲示などで労働者に知らせます。
第27条第3項は、坑内作業場の測定の結果に応じて、有効な防じん機能を持つ電動ファン付き呼吸用保護具(防じん機能を持つ防毒機能付きのものを含む)を使用させるよう求めています。厚生労働省の「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」の概要は、粉じん濃度の目標レベルを2mg/㎥以下としています。使い方は、別の記事の呼吸用保護具の解説も参考になります。
保護具の選び方とフィットテストは、呼吸用保護具の選び方・使い方のガイドで確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 測定の頻度 | 半月以内ごとに1回、定期に(切羽に近接する場所) |
| あわせて測るもの | 粉じん中の遊離けい酸の含有率(含有率が明らかな場合を除く) |
| 記録の保存期間 | 7年間 |
| 測定結果に応じた保護具 | 有効な防じん機能を持つ電動ファン付き呼吸用保護具 |
よくある質問
ずい道等の作業主任者は、1人で掘削と覆工の両方を兼ねられますか?
条文は、掘削等の作業と覆工の作業で、それぞれ別の技能講習を修了した人から選任すると定めています。兼任できるかどうかは条文に書かれていないため、所轄の労働基準監督署に確認してください。
可燃性ガスの測定は毎日必要ですか?
可燃性ガスが発生するおそれがあるときは、測定が必要です。時期は、毎日の作業を開始する前、中震以上の地震のあと、ガスに異常を認めたときで、結果は記録します。
粉じんの濃度測定はどこで、どのくらいの頻度で行いますか?
粉じん作業を行う坑内作業場で、切羽に近接する場所の空気中の粉じんを、半月以内ごとに1回、定期に測定します。ずい道等の長さが短いなどで測定が著しく困難な場合は、この限りではありません。
測定の記録は何年保存しますか?
粉じん則第6条の4第3項により、測定日時、方法、箇所、条件、結果などの記録を7年間保存します。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「粉じん障害防止規則」(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)
- 厚生労働省「令和2年6月の粉じん障害防止規則・労働安全衛生規則等の改正」(トンネル建設工事の粉じん対策・技能講習規程の改正)(確認日:2026年10月24日、次回確認:2027年1月27日)
- 厚生労働省掲載・建災防「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインの概要」(粉じん濃度の目標レベル2mg/㎥以下)(確認日:2026年10月24日、次回確認:2027年1月27日)