この記事の対象:足場や屋根、開口部など高さ2メートル以上の場所で特定技能外国人を作業させる企業の安全衛生担当者
原則は作業床:高さ2メートル以上の箇所の措置
労働安全衛生規則は、高さが2メートル以上の箇所で墜落のおそれがあるときの措置を、まず作業床で求めています。
作業床の端や開口部などを除く高さ2メートル以上の箇所で作業を行い、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれがあるときは、足場を組み立てるなどの方法で作業床を設けます(規則第518条第1項)。作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させるなど、墜落の危険を防ぐ措置をとります(第2項)。
高さ2メートル以上の作業床の端や開口部など、墜落のおそれがある箇所には、囲い、手すり、覆いなどを設けます(第519条第1項)。囲い等を設けることが著しく困難なとき、または作業の必要上臨時に取りはずすときは、防網を張り、要求性能墜落制止用器具を使用させるなどの措置をとります(第2項)。
足場の作業床・組立ての資格・点検の決まりは、足場の安全:作業床・組立ての資格・点検の決まりで確認できます。
| 場面 | まず設けるもの | 設けられないとき | 条文 |
|---|---|---|---|
| 作業床の端・開口部以外での作業 | 足場などによる作業床 | 防網、要求性能墜落制止用器具の使用など | 第518条 |
| 作業床の端・開口部など | 囲い、手すり、覆いなど | 防網、要求性能墜落制止用器具の使用など | 第519条 |
墜落制止用器具の使用と、取付設備・器具の点検
要求性能墜落制止用器具を使わせるときは、安全に取り付けるための設備等も事業者が設けます。
高さ2メートル以上の箇所で労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、それを安全に取り付けるための設備等を設けます。使わせるときは、器具と取付け設備等の異常の有無を、随時点検します(規則第521条)。
労働者の側にも義務があります。使用を命じられたときは、使用しなければなりません(第520条)。
墜落制止用器具には、フルハーネス型と胴ベルト型(一本つり)があります。厚生労働省のリーフレットによると、フルハーネス型の使用が原則です。
着用者が墜落したときに地面に到達するおそれのある場合(高さが6.75メートル以下)は、胴ベルト型(一本つり)を使えます。U字つり用の胴ベルトは墜落制止用器具に含まれません。
フルハーネス型を使う作業の特別教育
フルハーネス型を使う高所作業の一部は、特別の教育を受けた労働者に行わせます。
対象は、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところで、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業の業務です。ロープ高所作業は別の業務として扱われ、この号からは除かれています(規則第36条第41号)。特別の教育の根拠は労働安全衛生法第59条第3項です。
厚生労働省のリーフレットでは、学科4.5時間と実技1.5時間です。学科は、作業に関する知識1時間、墜落制止用器具に関する知識2時間、労働災害の防止に関する知識1時間、関係法令0.5時間です。経験や他の特別教育の受講により一部の科目を省略できる場合があり、条件はリーフレットと特別教育規程の原文で確認してください。
作業床がある場所での作業や、胴ベルト型を使う作業は、この号の対象に当たりません。自社の作業が対象かどうかは、作業ごとに規則の原文で確認してください。
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 作業に関する知識 | 1時間 |
| 学科 | 墜落制止用器具(フルハーネス型)に関する知識 | 2時間 |
| 学科 | 労働災害の防止に関する知識 | 1時間 |
| 学科 | 関係法令 | 0.5時間 |
| 実技 | 墜落制止用器具(フルハーネス型)の使用方法等 | 1.5時間 |
食品加工用の粉砕機・混合機の開口部:転落の防止
食品を加工する分野では、高さにかかわらず機械の開口部からの転落にも規則があります。
食品加工用粉砕機または食品加工用混合機の開口部から転落して労働者に危険が生ずるおそれがあるときは、蓋、囲い、高さ90センチメートル以上の柵などを設けます。作業の性質上それが困難なときは、要求性能墜落制止用器具を使わせるなど、転落を防ぐ措置をとります(規則第130条の5第1項)。
開口部から可動部分に接触して危険が生ずるおそれのあるときは、蓋や囲いなどを設けます(第2項)。要求性能墜落制止用器具等の使用を命じられた労働者は、これを使用しなければなりません(第3項)。
よくある質問
高さ何メートルから墜落防止の措置が必要ですか?
労働安全衛生規則第518条と第519条は、高さが2メートル以上の箇所を対象にしています。作業床を設けるのが原則で、設けられないときは防網や要求性能墜落制止用器具の使用などの措置をとります。
フルハーネス型の特別教育は何時間ですか?
厚生労働省のリーフレットでは、学科4.5時間と実技1.5時間です。対象は、高さ2メートル以上で作業床を設けることが困難な場所で、フルハーネス型を用いて行う作業の業務です(規則第36条第41号)。
胴ベルト型の墜落制止用器具は使えますか?
厚生労働省のリーフレットでは、フルハーネス型の使用が原則です。着用者が墜落したときに地面に到達するおそれのある場合(高さが6.75メートル以下)は、胴ベルト型(一本つり)を使えます。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第36条(特別教育を必要とする業務)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- 厚生労働省「墜落制止用器具」改正リーフレット(フルハーネス型の原則と特別教育)(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)