この記事の対象:特定技能外国人を雇う製造業・建設業・自動車整備業・食料品製造業などの受入れ企業の安全衛生担当者、現場の責任者、登録支援機関の担当者

対象は職長など現場で指揮する人と、政令の6業種

労働安全衛生法第60条は、事業場の業種が政令で定めるものに当たるとき、新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く)に、安全又は衛生のための教育を行うよう事業者に求めています。

対象になる人は、肩書きでは決まりません。厚生労働省の労働局のリーフレットは、「リーダー」「班長」「ライン長」など名称を問わず、現場で指揮や命令を行う人が職長等に当たるとしています。条文に国籍による区別はないため、特定技能外国人を班長やリーダーにする場合も、同じ基準で考えます。

対象の業種は、労働安全衛生法施行令第19条が定めています。建設業、製造業(一部を除く)、電気業、ガス業、自動車整備業、機械修理業の6つです。分野名ではなく、事業場の業種で当たるかどうかを確認します。

労働局のリーフレットによると、令和5年4月1日から、食料品製造業(うま味調味料製造業と動植物油脂製造業を除く)が対象に加わりました。同時に、新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業も加わっています。うま味調味料製造業と動植物油脂製造業は、以前から対象でした。

製造業分野で認められる仕事の範囲は、製造業分野のガイドにまとめています。

職長教育の対象業種(施行令第19条)
業種対象から除かれるもの
建設業なし
製造業たばこ製造業、繊維工業(紡績業と染色整理業を除く)、衣服その他の繊維製品製造業、紙加工品製造業(セロファン製造業を除く)
電気業・ガス業なし
自動車整備業・機械修理業なし

教育事項は5つ、合計12時間

教育の内容と時間は、法第60条の2つの事項と、労働安全衛生規則第40条の事項に分かれます。時間は「以上」で、これより短くはできません。

労働局のリーフレットが示す科目は、作業方法の決定と労働者の配置が2時間、指導又は監督の方法が2.5時間、危険性又は有害性等の調査とその結果に基づく措置が4時間、異常時等における措置が1.5時間、その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動が2時間です。合計は12時間になります。

危険性又は有害性等の調査は、いわゆるリスクアセスメントです。職場の危険の芽を洗い出し、結果に基づいて対策を決める内容を、4時間かけて学びます。

職長等の安全衛生教育の科目と時間
科目主な内容時間
作業方法の決定及び労働者の配置作業手順の定め方、労働者の適正な配置の方法2時間
労働者に対する指導又は監督の方法指導及び教育の方法、作業中における監督及び指示の方法2.5時間
危険性又は有害性等の調査とその結果に基づく措置調査の方法、結果に基づく措置、設備・作業等の具体的な改善の方法4時間
異常時等における措置異常時における措置、災害発生時における措置1.5時間
その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動設備・作業場所の保守管理の方法、労働災害防止への関心の保持と創意工夫を引き出す方法2時間

討議方式・15人以内・連続実施が原則

教育の進め方は、昭和47年9月18日付けの労働基準局長通達(基発第601号の1)が、労働安全衛生規則第40条の施行にあたって示しています。

通達は、教育の方法を原則として討議方式とし、講師は教育事項について必要な知識と経験を持つ人とし、受講者は15人以内を1単位とするよう指導するとしています。

教育は、規則に定める時間を連続して行うのが原則です。やむを得ない場合は、長期にわたらない一定の期間内で分割して実施しても差し支えないとされています。

労働災害防止団体などが規則の要件を満たす講習を行った場合、その講習を受けたことが明らかな人は、教育を受けた人として扱えます。外部の講習を使う場合は、修了を証明するものを受け取り、記録を残します。

入社時の教育は雇入れ時の安全衛生教育で確認できます。

  • 班長・リーダー・ライン長など、作業中の労働者を直接指導する人を洗い出した
  • 事業場の業種が施行令第19条の6業種のどれに当たるかを確認した
  • 新しく職務につく人を、12時間の教育へつなげる時期を決めた
  • 外部講習を使う場合は、修了を確認できる書類を受け取る段取りにした

一部を省ける場合と、製造業の能力向上教育

労働安全衛生規則第40条第3項は、表の事項の全部又は一部について十分な知識及び技能があると認められる人には、その教育を省略できるとしています。

平成25年6月14日付けの厚生労働省の通知は、省略につながる研修として、労働安全衛生マネジメント研修とリスクアセスメント担当者(製造業等)研修を挙げ、修了した場合に職長教育のうち危険性又は有害性等の調査に係る教育事項を省略できるとしています。省略できるのはこの科目だけで、ほかの科目は受けます。

製造業については、令和2年3月31日付けの通達(基発0331第7号)が、職長等に新たにその職務に就いたあとおおむね5年ごとと、機械設備等を大幅に変更したときに、能力向上教育に準じた教育を行うものとしています。カリキュラムの合計は360分以上です。

この教育は、最初の12時間の職長教育とは別の、あとから受ける教育です。受けさせた時期を、5年ごとに見直せるよう記録しておくと確認しやすくなります。

特別教育との違いは特別教育が必要な業務で確認できます。

よくある質問

職長教育は誰に受けさせますか?

対象の業種の事業場で、新たに職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する人(作業主任者を除く)になった人です。班長やリーダーなど、名称は問いません。

どの業種が対象ですか?

施行令第19条が、建設業、製造業(たばこ製造業、繊維工業の一部、衣服その他の繊維製品製造業、紙加工品製造業の一部を除く)、電気業、ガス業、自動車整備業、機械修理業を定めています。令和5年4月1日から食料品製造業も対象に加わりました。

教育は何時間ですか?

5つの科目で合計12時間です。作業方法と配置が2時間、指導又は監督の方法が2.5時間、危険性又は有害性等の調査が4時間、異常時等の措置が1.5時間、その他の災害防止活動が2時間です。

一部を省略できますか?

十分な知識と技能があると認められる人は、規則第40条第3項により省略できます。労働安全衛生マネジメント研修などを修了した場合は、危険性又は有害性等の調査に係る教育事項を省略できると通知されています。

参照した公的一次資料

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