この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者、登録支援機関の担当者

指針の位置づけ:労働施策総合推進法第7条にもとづく、事業主が講ずべき措置

この指針は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の第7条に定める事項に関し、事業主が適切に対処できるよう、講ずべき措置を定めたものです。厚生労働省の告示で、全体は第一から第八までの8つの章で構成されています。

指針は、国籍に関係なく、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、雇用保険法、健康保険法などの労働関係法令と社会保険関係法令が外国人労働者にも適用されると明記しています。そのうえで事業主に、これらの法令を守ること、在留資格の範囲内で適正な労働条件と安全衛生を確保すること、労働・社会保険を適用すること、人事管理の運用の透明性と公正性を確保すること、生活支援を行うことを求めています。

対象の「外国人労働者」は、日本国籍を持たない労働者です。特別永住者と、在留資格が「外交」「公用」の人は除かれます。

技能実習生も含まれます。特定技能外国人は、この定義の対象です。

指針の文言には「〜すること」と「〜するよう努めること」があります。前者は守るべき事項、後者は努力義務として書かれています。

どの項目が法令上の義務に当たるかは、元の法令ごとに決まるため、このガイドは個別の適法・違法を断定しません。自社の対応を確認したいときは、労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)、社会保険労務士に相談してください。

出典:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年告示第276号)(確認日:2026年10月14日)、厚生労働省「外国人雇用対策」(外国人雇用管理指針の掲載ページ)(確認日:2026年10月14日)

第一から第八までの章立てと、特定技能で確認する先

指針の各章が何を定めているかを、先に表で確認します。事業主に具体的な措置を求めているのは第四で、第五は雇用状況の届出、第六は雇用労務責任者の選任、第七は在留資格別の留意事項です。

第一は趣旨、第二は基本的考え方、第三は外国人労働者の定義、第八は職業安定機関や労働基準監督機関などの援助と協力を得て指針の事項を実施することを定めた短い章です。実務で項目ごとに読むのは、第四から第七になります。

特定技能の雇用では、指針のほかに、特定技能雇用契約の基準、特定技能所属機関の基準、支援の実施と出入国在留管理庁への届出が重なります。指針の第七の一も、第四から第六までの措置に加えて、これらに留意するよう求めています。

外国人雇用管理指針の章立て(平成19年告示第276号)
章内容このサイトで確認できるガイド
第四の一募集・採用の適正化(労働条件の明示、職業紹介事業者の利用、在留資格の確認)海外からの採用手続、国内在住者の在留資格変更、デポジット・違約金の禁止のガイド
第四の二適正な労働条件の確保(均等待遇、明示、賃金、労働時間、名簿、金品の返還、寄宿舎、公正な待遇)雇用契約書、最低賃金、賃金支払の原則、控除、割増賃金、年次有給休暇、労働者名簿のガイド
第四の三安全衛生の確保(教育、日本語教育、標識、健康診断、健康指導、母性保護、周知)雇入れ時の安全衛生教育、健康診断、熱中症予防のガイド
第四の四労働・社会保険の適用等(制度の周知と手続、保険給付の請求の援助)社会保険・労働保険・税、脱退一時金のガイド
第四の五人事管理、生活支援、苦情・相談、教育訓練、福利厚生、帰国と在留資格変更の援助支援計画、相談・苦情対応、日本語学習支援、住居の確保、一時帰国のガイド
第四の六解雇等の予防と再就職の援助(解雇、雇止め、解雇制限、妊娠・出産)解雇の予告、有期から無期への転換、非自発的離職者の支援のガイド
第四の七労働者派遣又は請負を行う事業主の留意事項分野別の派遣の可否のガイド
第五外国人労働者の雇用状況の届出雇用状況の届出のガイド
第六雇用労務責任者の選任(常時10人以上の雇用)このガイドの該当の節
第七在留資格に応じた措置(特定技能、技能実習、留学、その他)受入れ機関の要件、支援計画のガイド

出典:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年告示第276号)(確認日:2026年10月14日)

第四の一から三:募集・採用、労働条件、安全衛生の主な項目

募集・採用では、労働条件を書面で明示すること、職業紹介事業者を適切に選ぶこと、在留資格上その業務に従事できる人かを確認することが挙げられています。

募集の時に明示する事項は、業務の内容、労働契約の期間、就業の場所、労働時間と休日、賃金、労働・社会保険の適用などです。母国語や平易な日本語など、本人が理解できる方法で明示するよう努めるとされています。国外に住む人を募集する場合は、渡航や帰国の費用の負担の有無と割合、住居の確保などを、あらかじめ明確にするよう努めるとあります。

あっせんを受けるときは、職業安定法などにもとづき、無料の職業紹介を行う地方公共団体、または許可を受けた、もしくは届出をした職業紹介事業者等から受けます。国外の人については、違約金や保証金の徴収の契約を結ぶ者を取次機関にしている事業者からは受けないとされています。

特定技能では、このことが特定技能所属機関の基準にもなっていると、指針は注意を促しています。採用では、在留資格上その業務に従事できない人を採用してはならないと定めています。

適正な労働条件の確保では、国籍を理由とした賃金や労働時間などの差別的取扱いの禁止、労働契約の締結時の書面による明示、最低賃金以上の賃金の全額払い、食費や居住費を賃金から控除する場合に実費を勘案して不当な額としないこと、労働時間の客観的な把握、年次有給休暇の付与が並びます。旅券や在留カードを保管しないこと、退職時に金品を返還することも定められています。

安全衛生では、安全衛生教育を母国語や視聴覚教材など本人が理解できる方法で行うこと、労働災害防止のための指示を理解できるようにする日本語教育、標識や掲示、健康診断、健康指導と健康相談、母性保護の措置、法令の周知が項目になっています。

  • 募集の時に、業務内容・期間・場所・労働時間・賃金・社会保険の適用を書面で示している
  • あっせんを受ける職業紹介事業者が、許可または届出のある者か確認している
  • 採用前に、在留資格上その業務に従事できる人かを確認している
  • 旅券や在留カードを会社で預かっていない
  • 食費・居住費を賃金から控除する場合は、労使協定と実費の範囲を確認している
  • 安全衛生教育を、本人が理解できる言語や教材で行っている

出典:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年告示第276号)(確認日:2026年10月14日)

第四の四から七:労働・社会保険、人事管理、解雇、派遣・請負

労働・社会保険では、制度の内容と給付の請求手続を雇入れ時に本人が理解できる方法で周知すること、被保険者に当たる人の適用手続をとることが定められています。

指針は、雇用保険と労働者災害補償保険について、保険給付の請求などの援助も項目に挙げています。健康保険と厚生年金保険については、公的年金の脱退一時金を受け取った場合の扱いや、社会保障協定の相手国の年金制度に加入していた期間がある場合の通算の可能性も、留意事項として書かれています。

人事管理、教育訓練、福利厚生等の章では、社内規程の多言語化、評価や賃金決定、配置の運用の透明性と公正性、日本語教育や生活習慣を理解するための支援、行政機関や医療機関、金融機関に関する情報提供や同行、苦情・相談の窓口の整備、教育訓練、適切な宿泊施設の確保が努力義務として並びます。帰国と在留資格の変更では、在留期間の更新などの手続のための勤務時間の配慮と、一時帰国の希望への休暇の配慮を求めています。特定技能については、特定技能雇用契約の基準として、契約終了後の帰国旅費を本人が負担できないときは事業主が負担すること、一時帰国を希望したときは必要な休暇を取得させることに留意するよう記載されています。

解雇等の予防では、事業規模の縮小などを理由とする場合でも安易な解雇や雇止めをしないこと、事業主の都合で離職する人が再就職を希望するときは、公共職業安定所と連携して必要な援助を行うよう努めること、業務上の負傷・疾病による休業期間とその後30日間などの解雇制限、婚姻・妊娠・出産を理由とする解雇や不利益取扱いの禁止が定められています。労働者派遣や請負を行う事業主には、派遣就業の内容の明示、請負の名目による実質的な労働者派遣の禁止などが書かれています。

出典:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年告示第276号)(確認日:2026年10月14日)

第五と第六:雇用状況の届出と、雇用労務責任者の選任

事業主は、外国人労働者を新たに雇い入れたとき、または雇っている外国人労働者が離職したときに、氏名、在留資格、在留期間などを確認し、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に届け出ることが、指針の第五に定められています。

届出の期限は、雇用保険の被保険者かどうかで異なります。被保険者の外国人労働者は、雇入れの届出が雇い入れた日の属する月の翌月10日まで、離職の届出が離職した日の翌日から起算して10日以内です。

被保険者でない外国人労働者は、雇入れも離職も、その日の属する月の翌月末日までに、様式第三号で届け出ます。特定技能の外国人を雇い入れる、または特定技能の外国人が離職する場合の届出には、特定産業分野も含まれます。

確認の対象は、通常の注意力で外国人であると判断できる人です。指針は、届出に必要な事項以外の確認や届出は必要なく、プライバシーの保護の観点からも留意するよう書いています。

第六は、外国人労働者を常時10人以上雇用するときに、人事課長などを雇用労務責任者として選任し、第四に定める事項を管理させることを定めています。特定技能外国人が1人から数人の事業所は、この人数に届かない場合があります。選任の要否は、雇用している外国人労働者の人数で数えて確認します。

出典:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年告示第276号)(確認日:2026年10月14日)、厚生労働省「『外国人雇用状況の届出』について」(確認日:2026年8月21日)

第七:特定技能・技能実習・留学など、在留資格に応じた措置

第七の一は特定技能の在留資格を持つ人についての定めです。第四から第六までの措置に加えて、特定技能雇用契約の基準、特定技能所属機関の基準、一号特定技能外国人支援と必要な届出を適切に実施するよう求めています。

指針は、一号特定技能外国人支援に含まれるものとして、社会保険などの行政手続についての情報提供と相談窓口の案内、必要に応じた窓口への同行、生活のための日本語習得の支援、医療機関に関する情報の提供、苦情・相談への対応、日本人との交流の促進を挙げています。支援の全体は、出入国管理及び難民認定法にもとづく支援計画で確認します。

第七の二は技能実習生、三は留学生、四はその他の在留資格です。留学生については、アルバイトで雇う場合は資格外活動の許可が必要で、原則として週28時間以内に制限されることに留意するよう記載されています。その他の在留資格は、第四から第六までに加えて、出入国管理及び難民認定法などにもとづく措置を実施するとされています。

このガイドは、指針の章立てを整理したもので、個々の事業所が指針に適合しているかを判断するものではありません。指針に沿った改善の指導を受けた場合などは、管轄の公共職業安定所や労働基準監督署の案内に従ってください。

出典:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(平成19年告示第276号)(確認日:2026年10月14日)、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の18 届出・第19条の19〜21 指導助言・報告徴収・改善命令・第19条の26 登録の拒否・第19条の31〜34 登録支援機関への指導・取消し・第71条の3・第71条の4 罰則)(確認日:2026年10月1日)

よくある質問

外国人雇用管理指針は、特定技能外国人にも適用されますか?

指針は、特別永住者と在留資格が「外交」「公用」の人を除く、日本国籍を持たない労働者を「外国人労働者」としています。特定技能外国人はこの定義に入ります。指針の第七の一は、特定技能について第四から第六までの措置に加えて、特定技能雇用契約の基準や支援などに留意するよう求めています。

雇用労務責任者は、必ず選任しなければなりませんか?

指針の第六は、外国人労働者を常時10人以上雇用するときに、人事課長などを雇用労務責任者として選任することを定めています。10人未満の事業所について、同じ形の選任を求める記載は、第六にはありません。

外国人の雇用状況の届出は、いつまでにしますか?

雇用保険の被保険者の外国人は、雇入れの届出が翌月10日まで、離職の届出が離職の翌日から10日以内です。被保険者でない外国人は、雇入れも離職も翌月末日までに、様式第三号で届け出ます。いずれも、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所が届出先です。

指針の「努めること」の項目は、守らなくてもよいのですか?

指針の文言は、守るべき事項と、努力義務の項目に分けて書かれています。努力義務の項目でも、特定技能では特定技能雇用契約の基準や支援の実施の定めに重なるものがあります。自社に当たるかどうかは、元の基準で確認し、迷うときは公共職業安定所や社会保険労務士に相談してください。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)