この記事の対象:特定技能外国人の受入れ費用を見積もる企業の担当者、登録支援機関、入社時の手続を整える人事担当者

特定技能外国人を雇い入れるときの健康診断について、実施の時期、11の検査項目、費用を負担するのは誰か、受診時間の賃金を、労働安全衛生規則と厚生労働省の通達から整理します。 金額が未確認の項目は0円とせず、公式資料または個別見積で確認する前提で整理します。

実施の時期と対象:常時使用する労働者を雇い入れるとき

雇入れ時の健康診断は、常時使用する労働者を雇い入れるときに、事業者が医師による診断を受けさせる義務です。特定技能外国人も、この義務の対象になる労働者です。

労働安全衛生法は、事業者が労働者に医師による健康診断を行うことを義務づけています。そのうち雇入れ時のものは、労働安全衛生規則が「常時使用する労働者を雇い入れるとき」と定めています。時期は雇入れの際です。入社後に日を空けて受けさせるのではなく、雇い入れる時点で受診できるよう段取りを組みます。

例外があります。雇入れの前に医師の健康診断を受けてから3か月以内で、その結果を証明する書面を労働者が出した場合は、書面に含まれる検査項目の分は省けます。

労働者の側にも受診の義務があります。事業者が指定した医師を希望しない場合は、他の医師の健康診断を受け、結果の証明書を事業者に出すことでも足ります。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日)、e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日)

費用は事業者が負担する:厚生労働省の通達とよくある質問

法律で事業者に実施が義務づけられている健康診断の費用は、事業者が負担すべきものです。厚生労働省は通達とよくある質問の両方で、この考え方を示しています。

厚生労働省の「よくある質問」は、法で事業者に実施を義務づけている以上、健康診断の費用は当然に事業者が負担すべきものだと説明しています。昭和47年の通達(基発第602号)にも、同じ趣旨の記載があります。

ただし、この説明は「事業者が負担すべき」というところまでです。本人に負担させた場合の扱いまでは、取得した資料では確認できていません。見積書には、雇入れ時の健康診断の費用を受入れ機関の費用として入れておきます。

受診の費用を支援の委託費に含めるのか、別請求にするのかは、このページでは確認できていません。登録支援機関に委託する場合は、見積書で費目を確かめます。

出典:厚生労働省「労働基準関係のよくある質問:健康診断の費用」(確認日:2026年10月3日)、厚生労働省「昭和47年9月18日基発第602号(労働安全衛生法の施行について)」(確認日:2026年10月3日)

受診時間の賃金:一般の健康診断は労使で決める

雇入れ時の健康診断を受けている時間の賃金は、当然に事業者が払うものとはされていません。ただし、厚生労働省は、賃金を支払うことが望ましいとしています。

通達とよくある質問は、受診に要した時間の賃金について、労使が話し合って決めるものだとしています。そのうえで、円滑に受診してもらうためには、その時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいと説明しています。

有害な業務に就く人が受ける特殊健康診断は、受診の時間が労働時間にあたり、賃金の支払いが必要だとされています。雇入れ時の健康診断は一般の健康診断なので、この扱いとは別です。賃金の扱いは、雇用条件書や社内規程に書いておくと、入社後の食い違いを防げます。

出典:厚生労働省「労働基準関係のよくある質問:健康診断の受診時間の賃金」(確認日:2026年10月3日)、厚生労働省「昭和47年9月18日基発第602号(労働安全衛生法の施行について)」(確認日:2026年10月3日)

特定技能での位置づけ:入管の申請用の診断とは別の制度

在留資格の申請に添える健康診断(診断書)と、労働安全衛生法の雇入れ時の健康診断は、別の制度です。運用要領は、受入れ機関の基準として後者の適切な実施を求めています。

出入国在留管理庁の運用要領は、海外から新たに入国する人の場合、在留資格認定証明書の交付申請の日から3か月以内に、医師の診断を受けることを求めています。技能実習生や留学生などが国内から在留資格を変更する場合は、申請の日から1年以内に日本の医療機関で受けた診断でもよいとされています。これは入管への申請書類のための診断です。

一方、受入れ機関の基準にある「健康状況の把握のための措置」には、労働安全衛生法に定める雇入れ時の健康診断や、雇用期間中の定期健康診断を適切に行うことが含まれます。あわせて、本人から健康状況を定期的に聞き取る措置も挙げられています。

申請用の診断の費用を誰が負担するかは、運用要領では確認できていません。ここで説明した「事業者の負担」は、労働安全衛生法に基づく健康診断の話です。

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日)

検査項目・結果の保存・短時間勤務の扱い

雇入れ時の検査項目は11項目です。結果は健康診断個人票に記録し、5年間保存します。

11項目は、既往歴・業務歴の調査、自覚症状・他覚症状の検査、身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査、胸部エックス線検査、血圧の測定、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査、心電図検査です。

結果は、健康診断個人票を作って5年間保存します。雇入れ時の健康診断を受けた人は、実施の日から1年間は、定期の健康診断で同じ項目を省けます。特定の業務に就く人を除き、定期の健康診断は1年以内ごとに1回行います。

パートなど短時間で働く人は、週の所定労働時間が正社員の4分の3以上なら実施の義務があり、2分の1以上4分の3未満なら実施が望ましいとされています。これは労働局のリーフレットの説明で、契約期間による条件もあるため、該当する人がいる場合はリーフレットの表で確認してください。外国人労働者についても、事業主は労働安全衛生法などに基づいて健康診断を行い、目的と内容を本人が理解できる方法で説明するよう、国の指針が求めています。

雇入れ時の健康診断の要点(労働安全衛生規則・厚生労働省の資料)
項目内容見積書・社内で確認すること
対象と時期常時使用する労働者を雇い入れるとき入社日までに受診の日程を押さえているか
受診済みの例外雇入れ前3か月以内の診断で、結果の証明書を出せば相当する項目は省ける証明書の受け取りと保管
費用事業者が負担すべきもの受入れ機関の費用として見積に入れているか
受診時間の賃金労使で決める。支払うことが望ましい雇用条件書か社内規程に定めたか
結果の保存健康診断個人票を作り、5年間保存保存場所と担当者
定期健康診断1年以内ごとに1回(雇入れ時の受診から1年間は相当項目を省ける)次回の実施月
  • 雇入れ時の健康診断の費用を、受入れ機関の費用として見積に入れる
  • 受診時間の賃金を支払うか、雇用条件書か社内規程で決めておく
  • 入国前の申請用の診断書と、雇入れ時の健康診断を、別の書類として管理する
  • 受診結果は健康診断個人票に記録し、5年間保存する
  • 受診の目的と内容は、本人が理解できる言語で説明する

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日)、厚生労働省「労働基準関係のよくある質問:健康診断の費用」(確認日:2026年10月3日)、厚生労働省「労働基準関係のよくある質問:健康診断の受診時間の賃金」(確認日:2026年10月3日)

よくある質問

特定技能外国人の雇入れ時の健康診断の費用は、誰が負担しますか?

厚生労働省は、法で事業者に実施が義務づけられている健康診断の費用を、当然に事業者が負担すべきものとしています。雇入れ時の健康診断もこれにあたります。

雇入れ時の健康診断は、いつまでに受ければよいですか?

労働安全衛生規則は、常時使用する労働者を雇い入れるときに行うと定めています。雇入れ前3か月以内に診断を受け、結果の証明書を出した場合は、相当する項目を省けます。

受診している時間の賃金は、払う必要がありますか?

一般の健康診断の受診時間の賃金は、労使で話し合って決めるものとされています。厚生労働省は、賃金を支払うことが望ましいとしています。

入管に出す健康診断の診断書と、雇入れ時の健康診断は同じものですか?

別の制度です。入管の申請には、申請の日から3か月以内(国内からの変更は1年以内)の診断が求められます。雇入れ時の健康診断は、労働安全衛生法に基づいて事業者が行います。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する

続けて確認する場合は、見積書の費用内訳の確認表を見るで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、受入れ費用の費目を一覧で見るで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、支援計画の10項目を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

続けて確認する場合は、空港送迎と帰国旅費の負担を確認するで条件と確認範囲をつなげられます。

個別の申請可否や審査結果を保証するものではありません。申請時点の最新資料と関係機関の案内を優先してください。