この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者

定期健康診断:常時使用する労働者に1年以内ごとに1回

労働安全衛生規則第44条第1項は、事業者が常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、医師による健康診断を行わなければならないと定めています。

労働安全衛生法第66条第1項が事業者に健康診断の実施を義務づけ、規則第44条が定期健康診断の頻度と項目を定めています。雇入れ時の健康診断とは別の義務です。

労働者の側にも受診の義務があります。法第66条第5項は、事業者が行う健康診断を受けなければならないとし、事業者の指定した医師の健康診断を希望しない場合は、他の医師の同等の健康診断を受けてその結果を証明する書面を事業者に出せば足りるとしています。

雇入れ時の健康診断から実施日の1年間は、受けた項目に相当する項目を省略して定期健康診断を行えます(規則第44条第3項)。雇入れ時健康診断は別のガイドで確認できます。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日)、e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日)

検査項目:11項目と、医師の判断で省略できる項目

規則第44条第1項は、定期健康診断の項目として次の11項目を挙げています。

身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査(第3号)、胸部エックス線検査と喀痰検査(第4号)、貧血・肝機能・血中脂質・血糖の検査(第6号から第9号)、心電図検査(第11号)は、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略できます(第44条第2項)。

省略できるかどうかは、医師が基準に基づいて判断します。

定期健康診断の検査項目(労働安全衛生規則第44条第1項)
号検査項目
第1号既往歴及び業務歴の調査
第2号自覚症状及び他覚症状の有無の検査
第3号身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
第4号胸部エックス線検査及び喀痰検査
第5号血圧の測定
第6号から第9号貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査
第10号尿検査
第11号心電図検査

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日)

特定業務従事者は6か月以内ごとに1回

規則第45条第1項は、第13条第1項第3号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、その業務への配置替えの際と6か月以内ごとに1回、定期に健康診断を行うことを事業者に義務づけています。

第13条第1項第3号には、多量の高熱物体を取り扱う業務、重量物の取扱い等重激な業務、深夜業を含む業務などが挙げられています。該当するかどうかは規則の条文で確認してください。

この場合も、胸部エックス線検査は1年以内ごとに1回で足りるとされています(第45条第1項後段)。

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日)

実施後に必要なこと:結果の通知、個人票の保存、医師の意見聴取、報告

健康診断を行った後にも、事業者には結果の通知、記録の保存、医師からの意見聴取、労働基準監督署への報告(常時50人以上)が求められます。

結果は、受診した労働者に遅滞なく通知します(法第66条の6、規則第51条の4)。

健康診断個人票(様式第5号)を作成し、5年間保存します(規則第51条)。

検査項目に異常の所見がある労働者については、健康を保持するために必要な措置について医師の意見を聴きます(法第66条の4)。意見聴取は、原則として健康診断の実施日から3か月以内に行い(労働者が他の医師の健康診断の結果を証明する書面を出した場合は、その提出日から3か月以内)、意見を個人票に記載します(規則第51条の2第1項)。

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期の健康診断を行ったときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して所轄の労働基準監督署長に報告します(規則第52条第1項)。報告事項には、実施年月日、実施機関、受診者数、項目ごとの異常所見のある人数、産業医の氏名などがあります。

定期健康診断の後に必要なこと
手続内容根拠
結果の通知受診した労働者に遅滞なく通知する法第66条の6、規則第51条の4
個人票の保存健康診断個人票を作成し5年間保存する規則第51条
医師の意見聴取異常の所見がある労働者について、原則として実施日から3か月以内に意見を聴き個人票に記載する法第66条の4、規則第51条の2
労働基準監督署への報告常時50人以上の事業者が遅滞なく報告する規則第52条第1項
  • 1年以内ごとに1回の実施日を、労働者ごとに管理している
  • 深夜業などの特定業務従事者がいるか確認し、いる場合は6か月以内ごとに実施している
  • 結果を受診した労働者に遅滞なく通知している
  • 健康診断個人票を5年間保存している
  • 常時50人以上の事業場は、労働基準監督署への報告の準備がある

出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日)、e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日)

費用と受診時間の賃金:費用は事業者の負担、賃金は労使で協議

厚生労働省のFAQは、法により事業者に実施が義務づけられている健康診断の費用は、当然に事業者が負担すべきものとしています。

受診に要した時間の賃金について、同省のFAQは、一般健康診断は業務遂行との直接の関連において行われるものではないため、賃金は労使間の協議によって定めるべきものとしています。ただし、円滑な受診を考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいとしています。

労働安全衛生法第66条第1項に違反した場合の罰則は、同法第120条(50万円以下の罰金)に定められています。個別の事案の判断は、労働基準監督署に確認してください。

出典:厚生労働省「労働基準関係のよくある質問:健康診断の費用」(確認日:2026年10月3日)、厚生労働省「労働基準関係のよくある質問:健康診断の受診時間の賃金」(確認日:2026年10月3日)、e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日)

よくある質問

定期健康診断は何年に1回ですか?

労働安全衛生規則第44条第1項は、1年以内ごとに1回、定期に実施するよう定めています。

雇入れ時の健康診断を受けたばかりの人も定期健康診断が必要ですか?

雇入れ時の健康診断の実施日から1年間は、受けた項目に相当する項目を省略して定期健康診断を行えます(規則第44条第3項)。

深夜業をしている人の健康診断は、年1回でよいですか?

深夜業を含む業務など、規則第13条第1項第3号の業務に常時従事する労働者は、6か月以内ごとに1回です(規則第45条第1項)。

健康診断の結果は労働基準監督署に報告しますか?

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期の健康診断を行ったとき、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告します(規則第52条第1項)。

健康診断の費用は労働者に負担させてよいですか?

厚生労働省のFAQは、法により事業者に実施が義務づけられている健康診断の費用は、当然に事業者が負担すべきものとしています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

この記事の条件を引き継いで、未確認費目を整理する(金額は概算で、見積の代わりではありません)