この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務・安全衛生担当者
事後措置の流れ:個人票の作成、医師の意見聴取、必要な措置、結果の通知
定期健康診断などを行った後、事業者には結果の記録、異常の所見がある労働者についての医師の意見聴取、必要な措置、本人への結果の通知が求められます。根拠は労働安全衛生法第66条の3から第66条の7です。
健康診断を行うこと自体は法第66条の義務です。このページは、その後に事業者がすることを扱います。
法第66条の7は、結果から特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に、医師または保健師による保健指導を行うよう努めることを求めています。これは努力義務です。
| 段階 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 結果の記録 | 健康診断個人票(様式第5号)を作成し、5年間保存する | 法第66条の3、規則第51条 |
| 医師の意見聴取 | 異常の所見がある労働者について、健康を保つために必要な措置を医師または歯科医師に聴く | 法第66条の4 |
| 措置 | 意見を勘案し、必要があるとき、就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少などを行う | 法第66条の5 |
| 結果の通知 | 健康診断を受けた労働者に、遅滞なく結果を通知する | 法第66条の6、規則第51条の4 |
| 保健指導 | 特に健康の保持に努める必要がある労働者に、医師または保健師による保健指導を行うよう努める | 法第66条の7 |
医師の意見聴取:健康診断の日から3か月以内、意見は個人票に記載
意見聴取の期限は、労働安全衛生規則第51条の2が定めています。通常の健康診断では、健康診断が行われた日から3か月以内に行います。
労働者が事業者の指定した医師以外の医師の健康診断を受け、その結果の書面を事業者に出した場合は、書面を提出した日から3か月以内です。深夜業に従事する労働者が自ら受けた健康診断(法第66条の2)の結果を出した場合は、提出日から2か月以内と短くなっています。
聴いた医師の意見は、健康診断個人票に記載します。医師から意見を聴くために必要な労働者の業務に関する情報を求められたときは、事業者は速やかに提供しなければなりません(規則第51条の2第3項)。
滋賀労働局の「職場の健康診断実施強化月間」のリーフレットは、有所見者への医師の意見聴取と事後措置も事業者の義務で、小規模事業場ほど実施率が低いと注意しています。労働者50人未満の事業場には、地域産業保健センターが健診結果についての医師の意見聴取などを支援しています。
- 異常の所見がある労働者を、結果から洗い出している
- 健康診断の日から3か月以内に、医師の意見を聴いている
- 聴いた意見を個人票に記載している
- 医師に求められた業務の情報(作業内容・労働時間など)を速やかに渡している
就業上の措置:厚生労働省の指針にある3つの就業区分と労働者の意見
厚生労働省の「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」は、医師に判断を求める就業区分の例として、通常勤務、就業制限、要休業の3つを挙げています。
就業制限は、労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換などで勤務の負荷を軽くする区分です。要休業は、療養のため休暇や休職などで一定期間勤務させない区分です。
指針は、医師の意見に基づいて就業上の措置を決めるとき、あらかじめ労働者の意見を聴き、十分な話合いで労働者の了解が得られるよう努めることを求めています。産業医を選任している事業場では、必要に応じて産業医が同席して意見を聴くのが適当とされています。
措置を講じたあとに健康状態がよくなった場合は、医師の意見を聴いたうえで、通常の勤務に戻すなどの対応をします。
結果の通知と報告:本人へ通知、50人以上は監督署へ報告
健康診断の結果は、受けた労働者本人に遅滞なく通知しなければなりません(法第66条の6、規則第51条の4)。条文に国籍による区別はなく、特定技能外国人にも日本人と同じ義務が当てはまります。
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期の健康診断を行ったとき、遅滞なく、電子情報処理組織を使って所轄の労働基準監督署長に結果を報告します(規則第52条第1項)。
指針は、健康診断の結果に基づく就業上の措置は労働者の健康の確保が目的で、必要な範囲を超えた不利益な取扱いをしてはならないとしています。たとえば、結果に基づく措置について医師の意見を聴くなど法令上求められる手順に従わないまま、不利益な取扱いをすることは、行ってはならない例に挙げられています。
このページは条文と指針の整理です。個別の労働者にどの措置をとるかは、産業医や労働基準監督署などに確認してください。当サイトは、個別の労務の助言をしません。
定期健康診断そのものの義務は定期健康診断のガイドで確認できます。
よくある質問
健康診断で異常があったとき、医師の意見はいつまでに聴きますか?
通常の健康診断では、健康診断が行われた日から3か月以内です。労働安全衛生規則第51条の2第1項に定められています。
健康診断の結果は本人に通知する必要がありますか?
はい。労働安全衛生法第66条の6により、健康診断を受けた労働者に結果を通知します。規則第51条の4は、遅滞なく通知すると定めています。
健康診断個人票は何年保存しますか?
5年間です。労働安全衛生規則第51条が、個人票(様式第5号)の作成と5年間の保存を求めています。
医師の意見が出たら、必ず配置転換などをしなければなりませんか?
法第66条の5は、医師の意見を勘案し、必要があると認めるときに、労働者の実情を考慮して措置を講じるものとしています。措置の内容は意見と本人の実情で決まります。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- 厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成8年健康診断結果措置指針公示第1号、平成29年改正)(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年4月19日)
- 滋賀労働局「職場の健康診断実施強化月間」リーフレット(健康診断及び事後措置の実施の徹底)(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年4月19日)