この記事の対象:特定技能外国人を雇う製造・建設などの企業の人事・労務・安全衛生担当者
特殊健康診断の対象:有害業務に常時従事する労働者
労働安全衛生法第66条第2項は、有害な業務で政令で定めるものに従事する労働者に、医師による特別の項目についての健康診断を行うことを事業者に義務づけています。
対象の業務は、同法施行令第22条第1項が6号までの類型で定めています。このページでは、そのうち放射線業務(第2号)、特定化学物質(第3号)、鉛業務(第4号)、有機溶剤(第6号)の4つを扱います。
条文に国籍による区別はありません。特定技能外国人も、日本人の従業員と同じ基準で対象になります。
労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければなりません(法第66条第5項)。ただし、事業者の指定した医師以外の医師による同等の健康診断を受け、その結果を証明する書面を提出したときは、この限りではありません。
一般の定期健康診断とは別の制度です。粉じん作業のじん肺健康診断は、じん肺法の別の制度のため、このページでは扱いません。
対象業務の類型と、受診時間の賃金の扱いは、雇入れ時の健康診断のガイドで確認できます。
実施の時期:雇入れ・配置替えの際と、その後は原則6か月以内ごと
4つの規則は、いずれも雇入れまたは当該業務への配置替えの際に健康診断を行い、その後は定期に行うよう定めています。
有機溶剤の健診の項目は、有機溶剤中毒予防規則第29条第2項が業務の経歴の調査などを定め、第3項が有機溶剤等の区分に応じた項目を別表で定めています。項目の詳細は条文で確認してください。
特定化学物質の健診の期間は、特定化学物質障害予防規則の別表第三の中欄にあり、このページでは数字を転記していません。第39条第4項は、作業環境測定の評価が連続して第1管理区分で、直近3回の健診で新たな異常所見がないなどの条件を満たすときに、別表第三の「六月」を「一年」と読み替える特例を置いています(特別管理物質などに係る業務は特例の対象から除かれます)。
有機溶剤にも同様の特例があります。鉛中毒予防規則第53条第4項にも、評価などの条件を満たすと1年以内ごとに1回でよいとする同種の特例があります。作業場所の評価が連続3回第1管理区分で、直近3回の健診で新たな異常所見がなく、作業方法を変更していないなどの条件を満たすと、定期の健診は1年以内ごとに1回で足りるとされています(有機則第29条第6項)。
| 規則 | 対象となる労働者 | 実施の時期 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 有機溶剤中毒予防規則 | 屋内作業場等(第三種有機溶剤等はタンク等の内部に限る)の有機溶剤業務に常時従事する労働者 | 雇入れの際、配置替えの際、その後6か月以内ごとに1回 | 第29条第1項・第2項 |
| 特定化学物質障害予防規則 | 施行令第22条第1項第3号の業務に常時従事する労働者(石綿等に関する業務などを除く) | 雇入れ又は配置替えの際、その後は別表第三の中欄の期間以内ごとに1回 | 第39条第1項 |
| 特定化学物質障害予防規則(過去の従事者) | 施行令第22条第2項の業務に常時従事させたことがあり、現に使用している労働者 | 別表第三の中欄の期間以内ごとに1回 | 第39条第2項 |
| 鉛中毒予防規則 | 施行令第22条第1項第4号の鉛業務に常時従事する労働者 | 雇入れの際、配置替えの際、その後6か月以内ごとに1回(一部の鉛業務は1年以内ごと) | 第53条第1項 |
| 電離放射線障害防止規則 | 放射線業務に常時従事し、管理区域に立ち入る労働者 | 雇入れ又は配置替えの際、その後6か月以内ごとに1回 | 第56条第1項 |
個人票の作成と保存期間:原則5年、特別管理物質と放射線は30年
特殊健康診断の結果は、規則ごとの個人票にまとめて保存します。法第66条の3は、健康診断の結果を記録しておくことを事業者に義務づけています。
労働者が事業者の指定した医師以外の医師の健康診断を受けて結果を提出した場合(法第66条第5項ただし書)の結果も、各規則の個人票の作成の対象に含まれます。
法第66条の6は、健康診断を受けた労働者に、結果を通知することを求めています。通知の方法は厚生労働省令で定められているので、省令の条文で確認してください。
| 規則 | 個人票 | 保存期間 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 有機溶剤中毒予防規則 | 有機溶剤等健康診断個人票(様式第3号) | 5年間 | 第30条 |
| 特定化学物質障害予防規則 | 特定化学物質健康診断個人票(様式第2号) | 5年間。特別管理物質を製造し又は取り扱う業務に常時従事し、又は従事した労働者の分は30年間 | 第40条第1項・第2項 |
| 鉛中毒予防規則 | 鉛健康診断個人票(様式第2号) | 5年間 | 第54条 |
| 電離放射線障害防止規則 | 電離放射線健康診断個人票(様式第1号の2) | 30年間。ただし、5年間保存した後に厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは除く | 第57条 |
労働基準監督署への結果報告:定期の健診を行ったら遅滞なく
定期の特殊健康診断を行ったときは、4つの規則のいずれも、遅滞なく所轄労働基準監督署長に結果を報告するよう定めています。
有機溶剤中毒予防規則第30条の3は、電子情報処理組織を使用して報告するとしています。特定化学物質障害予防規則第41条(様式第3号)、鉛中毒予防規則第55条(鉛健康診断結果報告書、様式第3号)、電離放射線障害防止規則第58条(電離放射線健康診断結果報告書、様式第2号)は、報告書を提出すると定めています。
法第120条第1号は、第66条第1項から第3項まで、第66条の3、第66条の6の規定に違反した者を、50万円以下の罰金に処すると定めています。
担当者が確認すること
特殊健康診断の対象になるかどうかは、作業の内容と扱う物質によって決まります。
このページは条文の整理です。自社の作業が対象に当たるか、健診の項目や期間がどうなるかは、産業医、健診機関、所轄の労働基準監督署に確認してください。当サイトは、個別の労務・安全衛生の助言をしません。
健診の費用は、健診機関の見積書で確認します。条文からは費用の水準は分かりません。
- 自社の作業で使う物質と作業を洗い出し、施行令第22条のどの号に当たるか確認している
- 雇入れと配置替えの際に、特殊健康診断を行う段取りがある
- 定期の健診の時期を、規則ごとに台帳で管理している
- 個人票を、規則に定められた期間、保存している
- 定期の健診を行ったあと、遅滞なく労働基準監督署へ報告している
よくある質問
特殊健康診断は何か月ごとに受けますか?
有機溶剤、鉛、電離放射線は、雇入れまたは配置替えの際と、その後6か月以内ごとに1回です。鉛の一部の業務は1年以内ごとです。特定化学物質は、規則の別表第三の中欄に定められた期間です。作業環境測定の評価などの条件を満たすと、6か月が1年になる特例があります。
特定技能外国人も特殊健康診断の対象ですか?
対象です。条文は国籍で区別していません。対象かどうかは、有機溶剤や特定化学物質などを扱う業務に常時従事しているかどうかで決まります。
特殊健康診断の個人票は何年保存しますか?
有機溶剤、特定化学物質、鉛は5年間です。特定化学物質のうち特別管理物質を扱う業務の分は30年間、電離放射線は30年間(5年保存後に指定機関へ引き渡す場合を除く)です。
特殊健康診断の結果は労働基準監督署に報告しますか?
定期の健診を行ったときは、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告します。有機溶剤は電子情報処理組織で、特定化学物質、鉛、電離放射線は規則の様式の報告書で報告する定めです。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」(第4条・第5条・第9条の事業場の規模、第22条の健康診断を行うべき有害な業務)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)
- e-Gov法令検索「特定化学物質障害予防規則」(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)
- e-Gov法令検索「鉛中毒予防規則」(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)
- e-Gov法令検索「電離放射線障害防止規則」(確認日:2026年10月19日、次回確認:2027年1月19日)