この記事の対象:粉じん作業、石綿、ベンジジンなどの化学物質を取り扱う業務に特定技能外国人を就かせる企業の安全衛生担当者
健康管理手帳は、離職の際または離職の後に、都道府県労働局長が交付する
労働安全衛生法第67条第1項は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で政令で定めるものに従事していた人のうち、厚生労働省令の要件に当たる人に、都道府県労働局長が健康管理手帳を交付すると定めています。
交付の時期は、離職の際または離職の後です。在職中の健康診断を定める制度とは別に、辞めた後も健康診断を受けられるようにするための手帳です。
第2項は、政府が手帳を持つ人の健康診断に関して、厚生労働省令に従い必要な措置を行うと定めています。第3項は、手帳を他人に譲渡し、または貸与してはならないと定めています。
在職中の特殊健康診断の頻度は、特殊健康診断の頻度・個人票の保存で確認できます。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 第1項 | 政令で定める業務に従事していた人で、省令の要件に当たる人に、離職の際または離職の後、都道府県労働局長が手帳を交付する(すでに同じ業務の手帳を持つ人を除く) |
| 第2項 | 手帳を持つ人の健康診断について、政府が省令に従い必要な措置を行う |
| 第3項 | 手帳は他人に譲渡・貸与してはならない |
| 第4項 | 手帳の様式その他の必要事項は省令で定める |
対象の業務は、施行令第23条が第1号から第15号まで挙げている
法第67条第1項の政令で定める業務は、労働安全衛生法施行令第23条が一覧にしています。
粉じん作業は第3号、石綿等の製造または取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所での業務は第11号です。ほかにも、ベンジジン、ベータ―ナフチルアミン、クロム酸、塩化ビニルの重合、オルト―トルイジンなどの化学物質に関する業務が挙げられています。
同じ号でも、取り扱う物の含有率や業務の場所が限られている業務があります。自社の業務が当たるかは、条文の号ごとの条件で確かめます。
有害な物を扱う業務の管理は、化学物質の管理(ラベル・SDS・化学物質管理者)で確認できます。
| 号 | 業務 |
|---|---|
| 第1号 | ベンジジンおよびその塩を製造し、または取り扱う業務 |
| 第2号 | ベータ―ナフチルアミンおよびその塩を製造し、または取り扱う業務 |
| 第3号 | 粉じん作業(じん肺法第2条第1項第3号の粉じん作業)に係る業務 |
| 第4号 | クロム酸、重クロム酸およびそれらの塩を製造し、または取り扱う業務(鉱石から製造する事業場以外の事業場を除く) |
| 第10号 | 塩化ビニルを重合する業務、または密閉されていない遠心分離機を用いてポリ塩化ビニルの懸濁液から水を分離する業務 |
| 第11号 | 石綿等の製造または取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務 |
| 第14号 | オルト―トルイジンを製造し、または取り扱う業務 |
交付は本人の申請に基づく。離職後は住所を管轄する労働局に出す
労働安全衛生規則第53条は、手帳の交付を、要件に当たる人の申請に基づいて所轄の都道府県労働局長が行うと定めています。
離職の後に要件に当たる人は、その人の住所を管轄する都道府県労働局長が交付します。申請は、健康管理手帳交付申請書(様式第七号)に、要件に当たる事実を証する書類を添えて提出します。書類がない場合は、その事実についての申立て書を添えます。
要件は、従事した業務ごとに同条第1項の表で定められています。要件に当たるかどうかは条文の表で決まるため、個別の判断は所轄の都道府県労働局に確認します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請する人 | 要件に当たる本人(離職の際または離職の後) |
| 申請書 | 健康管理手帳交付申請書(様式第七号) |
| 添付書類 | 要件に当たる事実を証する書類(ない場合は申立て書)。業務によっては胸部のエックス線写真などを含む |
| 交付する人 | 所轄の都道府県労働局長(離職の後は、住所を管轄する都道府県労働局長) |
交付のときに、受診の勧告がある。診断結果は手帳に記載される
安衛則第55条は、都道府県労働局長が手帳を交付するときに、受ける人に対して、厚生労働大臣が定める健康診断を受けることを勧告するものとしています。
第57条第1項は、手帳を持つ人が勧告の健康診断を受けるとき、手帳を診断する医療機関に提出するよう求めています。医療機関は、健康診断を行ったときに、結果を手帳に記載します。
医療機関は、遅滞なく様式第九号の報告書を、医療機関の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出します。どの健康診断をどの頻度で受けるかは、厚生労働大臣の定めで決まるため、このガイドでは扱いません。
氏名・住所の変更は30日以内に書替え。紛失は再交付、死亡は返還
手帳を持つ人には、持った後の届出と返還の決まりがあります。
第58条は、氏名または住所を変更したとき、30日以内に健康管理手帳書替申請書(様式第十号)に手帳を添えて、住所を管轄する都道府県労働局長に提出し、書替えを受けるよう求めています。
第59条は、手帳を滅失または損傷したとき、再交付を申請するよう定めています。損傷した場合は申請書にその手帳を添えます。
再交付を受けた後に滅失した手帳を見つけたときは、速やかに返還します。第60条は、手帳を持つ人が死亡したとき、相続人または法定代理人が遅滞なく手帳を返還するよう求めています。
| 場面 | 手続き |
|---|---|
| 氏名・住所を変えた | 30日以内に様式第十号の申請書に手帳を添えて提出し、書替えを受ける |
| 手帳を滅失・損傷した | 様式第十号の申請書を提出して再交付を受ける(損傷は手帳を添える) |
| 滅失した手帳を見つけた | 再交付後は、速やかに返還する |
| 持っている人が死亡した | 相続人または法定代理人が、遅滞なく返還する |
受入れ企業が、条文に照らして確かめる項目
手帳の交付は国の制度で、申請するのは本人です。企業が確かめられるのは、自社の業務が対象業務に当たるかと、辞める人への案内の2点です。
自社の業務が施行令第23条の号に当たる場合は、離職後に手帳の申請ができる可能性があることを、辞める人に伝えられるようにしておきます。申請の可否や要件の判断は、所轄の都道府県労働局が行います。
帰国後に住所が国内にない場合の申請先や取扱いは、このガイドが読んだ条文からは確かめられていません。所轄の労働局に確認してください。この整理は条文との照らし合わせにとどまります。
- 自社の業務が、施行令第23条のどの号に当たるか確認した
- 辞める人に、離職後に手帳の申請ができる場合があることと所轄の労働局を案内できる
- 個別の要件の判断は、所轄の都道府県労働局に確認する
よくある質問
健康管理手帳は、在職中でも交付されますか?
労働安全衛生法第67条第1項は、離職の際または離職の後に交付すると定めています。交付は都道府県労働局長が行います。
健康管理手帳は、誰が申請しますか?
労働安全衛生規則第53条により、要件に当たる本人の申請に基づいて交付されます。申請書は様式第七号で、要件に当たる事実を証する書類を添えます。
対象になる業務には、何がありますか?
労働安全衛生法施行令第23条が第1号から第15号まで挙げています。粉じん作業、石綿の粉じんを発散する場所での業務、ベンジジン、クロム酸、塩化ビニルの重合などが含まれます。
手帳を他の人に貸してもよいですか?
労働安全衛生法第67条第3項は、手帳を他人に譲渡し、または貸与してはならないと定めています。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第23条(健康管理手帳を交付する業務)(確認日:2026年10月30日、次回確認:2027年1月30日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第53条(健康管理手帳の交付)(確認日:2026年10月30日、次回確認:2027年1月30日)