この記事の対象:特定技能外国人を粉じん作業のある現場に配置する製造・建設などの企業の人事・労務・安全衛生担当者

対象:粉じん作業に常時従事する労働者

じん肺法は、粉じん作業に常時従事する労働者に、事業者がじん肺健康診断を行うことを定めています(法第7条から第9条の2)。

粉じん作業は、じん肺法施行規則第2条が、別表に掲げる作業のいずれかに該当するものとしています。別表の例には、金属をアーク溶接する作業(第20号の2)、砂型を用いて鋳物を製造する工程で砂型を造型し、壊し、砂落としするなどの場所における作業(第15号)、ずい道等の建設の作業のうち鉱物等を掘削する場所における作業(第1号の2)があります。各号にはただし書の除外があるため、実際の該当は別表の条文で確認してください。

粉じん障害防止規則第2条第1項第1号ただし書の認定を都道府県労働局長から受けた作業は、粉じん作業から除かれます。

対象の労働者は、労働基準法第9条の労働者です(法第2条第1項第4号。同居の親族のみを使用する事業と家事使用人を除く)。国籍による区別はなく、特定技能外国人も日本人の従業員と同じ基準で対象になります。

実施の時期:就業時・定期・定期外・離職時の4つ

じん肺健康診断は、就業の際、定期、定期外、離職の際の4つの場合に行います。

定期は、粉じん作業に常時従事する労働者は3年以内ごとに1回です。じん肺管理区分が管理二または管理三の労働者は1年以内ごとに1回です(法第8条第1項)。管理区分は、健康診断の結果に基づき管理一から管理四までに区分されます(法第4条第2項)。

定期外は、粉じん作業の労働者が労働安全衛生法第66条第1項または第2項の健康診断でじん肺の所見などを指摘されたときなどに、遅滞なく行います(法第9条)。

離職時は、離職の日まで引き続き1年を超えて使用していた労働者(施行規則第12条)が、離職の際に健康診断を求めたときに行います(法第9条の2)。直前の健康診断から離職の日までの期間が、法の定める期間に満たないときは行わなくてもよいとされています。

じん肺健康診断の実施の時期
区分対象時期条文
就業時新たに常時粉じん作業に従事することとなった労働者(従事する日前1年以内に健診を受け、管理二または管理三イと決定された者などを除く)その就業の際法第7条
定期常時粉じん作業に従事する労働者(管理二・管理三の者を除く)3年以内ごとに1回法第8条第1項第1号
定期常時粉じん作業に従事する労働者で管理二または管理三の者1年以内ごとに1回法第8条第1項第2号
定期常時粉じん作業に従事させたことがあり、現に粉じん作業以外に常時従事する管理二の労働者(省令で定める者を除く)3年以内ごとに1回法第8条第1項第3号
定期同上で管理三の労働者(省令で定める者を除く)1年以内ごとに1回法第8条第1項第4号
定期外じん肺の所見などを指摘された労働者、合併症で1年を超えて休業し復帰した労働者など遅滞なく法第9条
離職時離職の日まで引き続き1年を超えて使用し、離職の際に求めた労働者離職の際(直前の健診から一定期間に満たないときを除く)法第9条の2、施行規則第12条

検査の内容と、労働安全衛生法の健康診断との関係

じん肺健康診断は、粉じん作業の職歴の調査とエックス線写真による検査を基本に行います(法第3条第1項第1号)。

エックス線写真でじん肺の所見がないと診断された者以外には、胸部に関する臨床検査と肺機能検査を行い、じん肺の所見があると診断された者のうち、肺結核にかかっている、またはその疑いがある者には結核精密検査を行います(法第3条第2項・第3項)。検査の方法は厚生労働省令で定められています。

事業者は、じん肺健康診断を行った限度で、労働安全衛生法第66条第1項または第2項の健康診断を行わなくてもよいとされています(法第10条)。

労働者には受診義務があります(法第11条)。ただし、事業者が指定した医師以外の医師の健康診断を受けることを希望し、エックス線写真と結果を証明する書面などを事業者に提出したときは、この限りではありません。

記録・エックス線写真の保存と、結果の通知

事業者は、じん肺健康診断を行ったら、遅滞なく様式第3号で記録を作成します(施行規則第22条第1項)。

記録とエックス線写真は7年間保存します(法第17条第2項)。エックス線写真は、病院、診療所または医師が保存している場合は、事業者が保存しなくてよいとされています(施行規則第22条第2項ただし書)。

健康診断を受けた労働者には、遅滞なく結果を通知します(施行規則第22条の2)。じん肺管理区分は都道府県労働局長が決定し、事業者に通知されます。事業者は通知を受けたとき、遅滞なく労働者に管理区分などを通知します(法第14条)。

毎年の報告:12月31日現在の状況を翌年2月末日までに

事業者は毎年、12月31日現在のじん肺に関する健康管理の実施状況を、翌年2月末日までに報告します(施行規則第37条)。

報告は電子情報処理組織を使用し、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して、所轄の都道府県労働局長に行います。

報告事項には、労働保険番号、事業場の名称と所在地、常時使用する労働者の数、法第8条の定期健康診断の実施年月日と実施機関、粉じん作業の内容と常時従事する労働者の数、じん肺管理区分ごとの労働者の数などがあります。全項目は条文で確認してください。

  • 自社の作業が、施行規則の別表の粉じん作業に当たるか確認している
  • 就業時と、3年または1年以内ごとの定期の健康診断の時期を、労働者ごとに管理している
  • 記録とエックス線写真を7年間保存している
  • 毎年12月31日現在の状況を、翌年2月末日までに報告する段取りがある

よくある質問

じん肺健康診断は何年ごとに受けますか?

粉じん作業に常時従事する労働者は、3年以内ごとに1回です。じん肺管理区分が管理二または管理三の労働者は1年以内ごとに1回です。就業の際にも1回行います。

溶接の作業はじん肺健康診断の対象ですか?

施行規則の別表に、金属をアーク溶接する作業(第20号の2)が掲げられています。ただし、粉じん障害防止規則の認定を受けた作業は除かれます。自社の作業が該当するかは、条文と所轄の労働基準監督署で確認してください。

特定技能外国人も対象になりますか?

対象になります。条文は国籍で区別せず、粉じん作業に常時従事する労働基準法第9条の労働者を対象にしています。

じん肺健康診断の記録は何年保存しますか?

記録とエックス線写真を7年間保存します。エックス線写真は、病院、診療所または医師が保存している場合は、事業者が保存しなくてよいとされています。

毎年の報告はいつまでにしますか?

毎年12月31日現在の実施状況を、翌年2月末日までに、労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に、電子情報処理組織で報告します。

参照した公的一次資料

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